首位との直接対決を前に、神戸が貴重な勝点3を手にした。G大阪が北九州と引き分けたため、勝点差は0。得失点差で今節での首位奪還こそお預けとなったものの、次節に勝利すれば文句無しの返り咲き。富山のGK守田達弥に神懸かり的なファインセーブの連発で苦しめられたが、87分にゴールをこじ開け意地を見せた。
前半、神戸はシュート数(神戸7、富山4)で上回ったものの、内容的にはほぼ互角だった。神戸・安達亮監督は「相手の5バックのところを崩し切ることにこだわり過ぎた。5バックを崩して得点するのは、J1昇格に向けていくつかある課題の中の一つだと思っているので」と振り返る。富山の基本フォーメーションは3バックだが、実質的には5バックになる時間帯も多かった。0−0の結果を考えると神戸は富山の5バックを崩し切れなかったことになるが、見方を変えれば小川慶治朗やマジーニョの圧力が富山の両ワイド(國吉貴博、木村勝太)に効いていたとも言える。ただ、引いた相手を崩すというテーマはまだ克服できていたかと言えば疑問符が付く。
前半の狙いとしては、相手DFの裏を突くこと。4日前の練習で、守備の選手でボール回しした後にボランチが左右のコーナーへロングボールを放り込むメニューがあったことを考えると、特に富山の両ワイドの後方(3バックの両脇)を狙っていたと思われる。パスを入れるタイミングは、國吉あるいは木村がDFラインに入る前。立ち上がりから神戸はこのエリアにロングボールを入れ、2トップの都倉賢やポポが左右に流れてボールを受けるシーンが何度か見られた。約39分には岩波拓也が右コーナーへロングボールを入れ、パスを受けたポポが中央の小川に折り返す決定的なシーンもあった。シュート7本のうち1本でも決まっていれば、“狙い通り”と呼べたかも知れないが、結局は“空振り”で終わった。
一方の富山は中盤でワンタッチパスをつなぎながら、神戸DFの裏へ長めのスルーパスを通す攻撃パターンを披露した。12分には朝日大輔からオーバーラップした木村へつなぎ、ペナルティエリアへ侵入。17分にはクリアボールを國吉がヘッドで前へ跳ね返し、1トップの苔口卓也が裏へ抜け出して決定機も作った。神戸と同じくシュートが決まっていれば“狙い通り”と言えたのかも知れない。
そんな消化不良の前半を経て迎えた後半。ガラリと狙いを変えたのは神戸だった。両サイドバックの奥井諒と林佳祐が積極的にアーリークロスを入れ、最終ラインからトップにハイボールを送ってセカンドボールを狙った。富山の守備を意地でもこじ開けようと試みた。60分には都倉を下げて田代有三を投入し、さらに攻撃のテンポを上げる。63分には林から小川へスルーパスを通し、マジーニョ、田代へとワンタッチパスで相手を翻弄する場面もあった。だが、決まらない。
富山も52分に大西容平から絶妙なスルーパスを受けた苔口が、神戸の岩波とイ グァンソンを置き去りにして決定機を演出。だが、この好機を逃したことで流れを神戸に握られる。結局、両者とも無得点のまま、残り10分を迎えることになった。
依然として富山GK守田の好セーブが続く中、静寂を破ったのは神戸のマジーニョだった。88分、ポポからのピンポイントクロスを頭であわせたマジーニョは「ポポからクロスが来ると感じた段階で、斜めにランニングして、ゴールに向かってポジションを取りました」と先制点を振り返る。最後まで諦めない意地のゴールに、神戸サポーターは沸いた。
富山の安間貴義監督はこの失点について「どうしてもうちに高さがない分、田代に目を奪われてしまった。そこへマジーニョが2列目からしっかり入ってきた。(試合を通して)そんなに背後を取られた記憶はないが、あの1回をしっかりゴールに入れてくるあたりは、昇格争いをしてJ1を見据えているチームと、もう1個突破しないといけないチームの差かも知れない」と話した。センターバックの平出涼は「(マジーニョ選手に)僕の目の前で決められてしまったので悔しい。田代選手に意識が向いてしまった」と悔しさを言葉ににじませた。
後半のシュート数:神戸15、富山4。トータルでは神戸22、富山8。この数字から考えて1−0というスコアは少し寂しい気もする。だが、1試合1得点がJ1昇格へ直結しかねないシビアなリーグ後半戦において、この勝利で首位G大阪と勝点で並んだことの方が評価すべき点といえるだろう。
次節の直接対決に勝てば、神戸は文句無しの首位返り咲き。理想的なシナリオは整った。
以上
2013.07.15 Reported by 白井邦彦















