両チームのサポーターは、あの夏を覚えているだろうか。
2012年のJ1で優勝した広島と、準優勝の仙台。この2チームが直接対決した第16節と第25節は、いずれも上位対決にふさわしい熱戦だった。
特にユアテックスタジアム仙台で開催された第16節では、90分を通して両者が攻守で持ち味を発揮。2-2というスコアの中にフットボールの楽しみが詰まっていた。仙台が13本のパスをつなぎウイルソンのゴールで先制すれば、広島もミキッチのクロスに佐藤寿人が芸術的なボレーで合わせて同点に。そして青山敏弘のクロスを高萩洋次郎が折り返し、森崎浩司が叩きこんだアクロバティックなゴールで広島が逆転。だが、富田晋伍の強烈なプレッシャーで広島のパスワークを途切れさせた仙台が、それを拾ったウイルソンの2点目で追いついた。そんな試合だった。
そしてこの両者が、2013シーズンの前半最終戦で顔を合わせる。
広島はリーグ戦再開から3連勝中で、この節の結果次第では首位も見えてくる。集中力が落ちやすいこの夏場の戦いでも、後半アディショナルタイムに決着をつける勝負強さを有しており、王者の風格を見せている。10年連続2桁得点記録という偉業を達成した佐藤はその初年度である2004年に所属していた仙台相手にゴールを狙うだろうし、高萩洋次郎の高度なパスセンス、青山敏弘の献身的なバランス制御、西川周作の鋭い状況判断などなど、多彩なタレントがパスワークのなかで生きている。ここ数試合ではパク ヒョンジンの左足が繰り出すFKや野津田岳人のドリブルといった特技も、終盤の勝負どころで威力を発揮した。
上積みを続ける広島のスタイルに、仙台はどう対抗するか。注目点は多いが、このカードでは毎回のように熱い攻防が繰り広げられる場所をここでは挙げたい。仙台から見て左サイドと、最終ライン前後をめぐり、両チームは高度な駆け引きを繰り広げるだろう。
仙台左サイド即ち広島右サイドは、上述のJ1第16節で広島が2得点ともに起点とした場所である。特にミキッチの高速突破は脅威だが、これを食い止めればその裏を突くチャンスも期待できる。
現在サイドバックで出場を重ねているルーキー・蜂須賀孝治は、今年2月の宮崎キャンプで広島と対戦した際に、ミキッチに正面から応戦して踏ん張った。そのイメージを大事にする一方で、「ワンタッチでのコンビネーションでイシさん(石川直樹)との間を狙ってくることもあるので、その判断に気をつけたい」と、複数の選択肢を頭に入れる。相手が素早い連係でサイドバックとセンターバックの間にギャップを作り、裏を取るかたちもまた警戒対象だからだ。最後尾に構える林卓人は「自分と最終ラインとの連係だけでなく、ボランチともコミュニケーションをよく取って、マークを受け渡したりパスを切ったりしたい」として、相手の流動的な攻撃陣を仙台ゴールから遠い位置で止めることに意欲を見せる。
そして仙台としては、ボールを奪ったならば相手の守備隊形が整う前にフィニッシュまでの流れを完結させたい。具体的には、相手両サイドが下がって5バック気味になる前に、サイドの裏を突きクロスを上げたいところだ。その先にはクロスに合わせるのが得意な赤嶺真吾や、「こぼれ球を狙えるポジショニングも意識している」という武藤雄樹が待っている。蜂須賀や梁勇基、場合によっては石川に左からのクロスを期待でき、右にもクロスの名手として太田吉彰がいる。同じ右サイドの菅井直樹についてはクロス以上にフィニッシュを期待したい。
今節は両チームの日本代表メンバーが注目されて報じられることもありそうだが、皆さんにはまずは両クラブがそれぞれ長い時間をかけて積み上げてきたもの、そして今季に新しく加えたものを味わってほしい。そこに、Jリーグの大きな楽しみがある。
以上
2013.07.16 Reported by 板垣晴朗
J’s GOALニュース
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