連日、記録的な猛暑が福岡を襲っている。この1週間の平均気温は35.3度。35度を下回ったのはたった1日だけしかない。中でも日差しの強い雁の巣球技場では、ただ練習を見ているだけでも汗が吹き出し、肌が焼けて行くのが分かるほどだ。しかし、その厳しいコンディションの中で、福岡は変わらぬハードなトレーニングを積んできた。険しい顔で檄を飛ばすマリヤン・プシュニク監督。互いに声を掛け合いながら、互いを鼓舞する選手たち。練習場には緊張感が漂い、1人、1人が高い集中力でボールを追う。どんな状況でも、やるべきことをやり抜く。自分を正面から見つめ、自分を成長させるために常に100%の力を発揮する。その姿勢は、チームが始動した1月14日から少しも変わることはない。
積み重ねてきた日々は、確実にチームに変化をもたらしてきた。その変化が顕著に表れてきたのが7月の戦い。高い位置からのアグレッシブなプレスと奪ってから縦に速い攻撃に加え、ボールをポゼッションしながらゲームをコントロールし、大きなサイドチェンジをまじえて両サイドから駆け上がるパターンが随所に見られるようになってきた。第26節の京都戦には敗れたものの、京都のストロングポイントを消すことに成功し、意図する形から決定機も演出した。石津大介は「試合をしていても自分たちが支配しているような感じがある。シーズン当初に比べれば、自分たちの良さを出していける試合が増えてきた」と手応えを話す。
そして8月、福岡は今シーズン最大の山場を迎える。対戦相手は東京V、G大阪、長崎、水戸、神戸の5チーム。G大阪、神戸、長崎は福岡の上位チーム。東京Vは11位とは言え、個の能力に優れ、経験ある選手がチームを引っ張る実力チームで、水戸は4戦負けなしと好調を維持するチーム。強敵、難敵相手との5試合は、今シーズンの行方を左右すると言っても過言ではない。プシュニク監督は「8月は我々にとってチャレンジの月になる」と話す。そのひとつ、ひとつの試合を制することが、目標である6位以内に向けて、大きな一歩を刻むことになる。
その初戦に迎える相手は東京V。「個の力関係で言えば相手の方が上。高原、小池、西、森、鈴木ら、いい選手が顔を揃えているし、チームとしてのまとまりもある。そのチームに勝つためには、我々が、彼らよりも良いチームであることを証明しなければならない。必要なものは、決意、闘争心、そして1対1に勝つこと。中でも最も大切なのは1対1の攻防。相手に余裕やスペースを与えてしまったら間違いなく難しい試合になる。だが、スペースを与えなければ、相手にとって難しい試合になるはず」とプシュニク監督は話す。
勝敗を分けるポイントは両サイドでの攻防だろう。3−5−2の布陣で戦う東京Vは、両ウイングを高い位置に置いて攻撃に人数をかけてくる。起点を作るのは森勇介と小池純輝の2人。ここで主導権を奪われると、東京Vの最大の特長である迫力ある攻撃にさらされることになる。しかし、どんな時でも相手のウイークポイントは、相手のストロングポイントのそばにあるもの。両サイドでの主導権を与えず、素早くその背後を突くことが出来れば、福岡にとって警戒すべき両サイドは、チャンスの芽に変わる。互いに丁々発止の駆け引きが行われるであろうサイドの攻防からは目が離せない。
そして、福岡にとってのもう一つのポイントは、決めきる力を発揮できるかということ。自分たちのリズムで試合を進めながらも前節の京都戦に敗れたのは、まさにこの部分での力が京都に及ばなかったから。それは、福岡が更なる変化を遂げるために乗り越えなければいけない壁でもある。「いい時間帯で点を取り切れなかったのが京都戦。ゴールに行くまでの過程は本当にいい形が増えてきている。後は、そこを決めきるかどうか。東京Vはいい選手が揃っているが、いい時間帯で自分たちが点を取れれば勝点3は取れる。自信を持ってやっていきたい」と話すのは西田剛。トレーニングを積み重ね、試合を重ねることで、少しずつ自分たちを変えてきたのが福岡。更なる変化への足掛かりを東京V戦で掴みたいところだ。
以上
2013.08.03 Reported by 中倉一志
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