「ポジティブな部分をたくさん表現できた試合」(岡山・影山雅永監督)という言葉も、「本当に大きな勝点3だと思う」(G大阪・長谷川健太監督)という言葉も、どちらも真実の思いだろう。ゲームはG大阪が前半終盤にシフトチェンジするまでは岡山の良さが存分に現れていた。その後はG大阪の巧さ、テクニックに押されたものの、終了までの粘りは岡山の誇り、J2の誇りと言っていいだろう。
岡山はFW久木田紳吾がトップのポジションで今季初スタメン。G大阪はトップにFWロチャ、トップ下にFW宇佐美貴史を据える、前節の途中からと同じフォーメーションで臨んだ。ゲーム序盤、まず岡山のリズムを作り出したのは、前節J出場100試合を数えたGK中林洋次かもしれない。前半4分、G大阪のCB今野泰幸のフィードを受けた右SH大森晃太郎がクロスを送り、宇佐美がシュート。続く6分、DF今野がやや遠目からシュートを放つが、いずれも中林が止めて、スタジアムは大きな歓声に包まれる。ホームの強みを出しながら岡山は久木田、シャドーの桑田慎一朗、関戸健二、さらには両ワイドの田中奏一、田所諒が絡んでボールを前に進め、フィニッシュまで持ち込む。
「この大観衆の中でとにかくゴールを決めたいと思っていた」と言う久木田は、早い時間から強気にチャンスシーンを作り出していた。そして前半14分。ボランチの千明聖典、桑田と渡ったボールを久木田が受け、シュート。これがDFに当たってゴールイン。「くさびを入れるポジショニング、入るためのポジショニングなどは最近意識してやっているので、そこから前を向けてよかった」と久木田。岡山は前回6月の対戦でも先制したが、その後、ボールに寄せて行く姿勢がしぼみ、引き気味となった。その反省を踏まえて進めた前半の残り、岡山は優位を保った。中でもボランチの仙石廉はボールを奪い、さばき、攻撃に絡んで岡山の攻撃のリズムを勢いづけた。
パスの合わないシーンやあっさりと奪われるシーンのあったG大阪だったが、前半のうちに長谷川監督が手を打つ。理由は、「あそこでもう1点取られたら、たぶんこの試合、終わっていたんで」。前半37分、左SH二川孝弘に替えて内田を入れ、遠藤保仁をトップ下のポジションに上げると、遠藤が躍動。そして前半43分。右SH大森がPA内で折り返しのボールを宇佐美に送ると、宇佐美が素早くシュート。これが決まる。「ファーストタッチしてからすぐシュートで、コースがどこまで良かったのかはわからないですけど」と宇佐美。
そのままの流れで、後半に入るとガンバらしい得点シーンが続いた。後半10分。宇佐美、大森と狭いエリアを短くつないで遠藤へ。遠藤がドリブルで前に運びDFを引きつけながら、大森へヒールパス。大森が放ったシュートはGK中林が身体を伸ばして弾くが、こぼれ球をロチャが決めて2−1に。その3分後、遠藤のCKをロチャがヘディングで流し込んで3−1とリードを広げる。このゴールについてGK中林は、「あれは今どうこう出来るものではないです。もちろん先に触りたいですけど、あそこまで精度の高いキックと質の高いヘディングは…」と唸ったゴールだった。
G大阪の思うままの展開を許したが、岡山はこの後、MF石原崇兆とFW押谷祐樹を投入。ホームの声援の後押しを受けた岡山の終盤は「気持ち」が強く出た。G大阪出身のDF植田龍仁朗の攻撃参加も、ゲームの始まりから、身体を張って手強い2トップを止め続けたDF竹田忠嗣もDF後藤圭太も仲間に力を与えていた。そして後半39分、石原のクロスを押谷が振り向きざまのヘディングで決めて1点差に詰め寄る。その後も攻撃を続けたが、同点のゴールは生まれなかった。
終盤にかけて再びギアを上げられる岡山にとって、今回対戦したG大阪は、負かすことが出来そうで、しかし結果、負かすことの出来ないチームだった。遠藤は、「大事な試合であることは十分わかっていたし、でもまあ普通にやれば結果は出るかなと思っていた。攻撃面では前線にターゲットが出来たのでこれからもっと良くなると思う。失点については相手が前掛かりになった時、極力我慢しながらいけたら」と遠藤。岡山にとって今季初の連敗となり、失点数はリーグ最少から陥落。しかし前節・岐阜戦からクオリティを上げているボールの運び方は、2連敗の痛みとともにじわりと身体にしみ込んだのではないだろうか。
以上
2013.08.05 Reported by 尾原千明













