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【J2日記】山形:断水騒動を乗り越えて(13.08.07)

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オフの7月29日に誕生日を迎えたキム ボンヨンは30日に水をかけられた。チーム随一のイタズラっ子だけに、周りの選手もここぞとばかり遠慮無しに水をかけていた

常澤聡の誕生日は7月31日。危険を察知し、スパイクだけは濡らさないようにといち早く脱いでいたが、キム ボムヨンがそのスパイクに水をたっぷりとかけていた

7月は勝利がなく、1分け4敗。そうした記録を水に流してしまいたい山形を襲ったのが断水だった。

7月18日の大雨で浄水場の処理が機能しなくなり、山形のクラブハウスや練習場がある天童市など6市2町で断水が発生。徐々に復旧が進んでいた22日に再び大雨に見舞われた。天童市では最長8日間断水した地区もあった。

この影響で、山形のクラブハウスでもさまざまな支障を来した。 トイレで水を流すことができず、練習後の風呂やシャワーも使用することができなくなった。また、トレーニングで使用するドリンクを冷やしたり、練習後に欠かせないアイシングのための大量の氷は製氷機でつくっていたが、それも不可能に。さらに、大型のドラム式洗濯機と乾燥機で行っていた練習着の洗濯もできなくなった。

こうした不便を選手の負担にするまいと頑張ったのが3人のマネージャーたちだ。

風呂は断水前にためていた水で23日にはかろうじて体にかけるだけかけることができた。
氷は23日、24日の分までは確保していた水で対応。25日の午後練習までには断水が復旧していたが、万が一の事態に備え、事前に氷提供の手配をしていた山形市のホテル等に予定どおり受け取りに出かけている。

洗濯もマネージャーチームが手分けし、東に隣接する中山町や南に隣接する山形市のコインランドリーに持ち込んだ。中山町はやがて隣接する寒河江市から利用者が押し寄せ、天童市に近い山形市北部は天童市からの他の利用者で空きがないため、さらに南下。空いている洗濯機にたどり付くまでにも苦労があったそうだ。

熊本戦移動日の26日には風呂とシャワーでトレーニングの汗を流し、通常どおり出発することができた。断水の時期を乗り切れたのは、偏にマネージャーたちの努力のたまもの。ところが、クラブハウスを管理する菅賢洋サブマネージャーは「断水で水がなくてどうしようかなという時に、選手に助けられた思いです」と話す。「選手が一人一人、各家から持ってきてくれたんですよ」

実は小林亮や石井秀典などが中心となり、自宅からクラブハウスに水を持ち込むよう、他の選手たちに呼びかけたとのこと。断水していない地域に住むほとんどの選手が賛同し、クラブハウスには大型のタンクやペットボトルなどでたくさんの水が持ち込まれている。菅サブマネージャーは「さすがに風呂にためることはできませんでしたが、それまでトイレで流す水や手洗いの水も風呂の中の貴重な水を使っていたので、本当に助かりました」と振り返った。

水の心配が解消した7月の最終週にはキム ボムヨンや常澤聡の誕生日を祝い、恒例の「バースデー水かけ」が行われた。水のある地球(ほし)に生まれたよろこびを再確認した山形の選手たちは、困難を乗り越え、8月の反転攻勢に挑んでいる。

以上

2013.08.07 Reported by 佐藤円
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