連日、猛暑に見舞われている関西地方。その証拠に、毎日、朝の９時から始まる練習を終えたガンバ大阪の選手たちは、汗でぐっしょり。真っ黒に日焼けした顔のみならず、汗を含み、色が変わってしまった練習着からも暑さがヒシと伝わってくる。それでも、他クラブを意識することなく「勝ち続ける限りは首位で居続けられる」というモチベーションで日々の練習に向き合えているのは、少なからず選手たちの気持ちを軽くしているはず。特に、26節・東京V戦での重苦しい引き分けの後に行われた27節・岡山戦は、チームとして「ここからもう一度浮上できるかどうか、という意味で非常に重要なゲームと捉えていた（長谷川健太監督）」からこそ、逆転勝利をおさめたことは、意味深い『勝点３』だったと言える。そのいい流れを終盤戦の戦いに向けてしっかりと繋げるためにも、今節、３試合ぶりのホーム戦で『連勝』を飾りたい。

そのために期待したいのが攻撃力の爆発だ。前節の岡山戦は序盤、なかなか攻撃のリズムを見出せない中、早々に長谷川監督が動き、37分にMF内田達也を投入。それに伴いボランチのMF遠藤保仁を１列前に挙げることで流れを引き寄せ、逆転勝利に繋げた。その一戦然り、またこれまでの戦いを振り返っても、『攻撃』でリズムを見出すことがG大阪にとっての勝利の方程式だと考えれば、今節もそこは意識したいところ。気になる布陣については、「前節もそうでしたが、遠藤を前に置けば、単純に彼が得点に絡むシーンが増える。その攻撃力をいかすためにも、今節もおそらく２列目で使うことになるでしょう」という長谷川監督の言葉を聞く限り、岡山戦の37分以降に敷いた布陣で挑むことになりそう。前節の岡山戦で初めて二人揃っての先発を果たし、揃ってゴールを決めるなど試合を重ねるごとにフィットが伺えるFWロチャ、MF宇佐美貴史はもちろん、間違いなく攻撃を活性化させ、勢いづけるであろうMF遠藤のパフォーマンスにも注目したい。
「もしもよりゴールに近いポジションに入ることになれば、必然的によりゴールを意識するとは思いますが、それだけではなく、攻撃の組み立てというところでも自分が積極的に絡みながらリズムを作りたい（MF遠藤保仁）」
「ヤットさんは僕の特徴を理解した上で『こういうタイミングで、こういうパスを欲しい』というパスを必ず送り込んでくれる。僕はそれをしっかりゴールに繋げる仕事をしたい。失点はもちろんないに越したことはないけど、今のガンバの攻撃は、例え失点したとしてもそれ以上のゴールを獲れる力がある。だからこそ、まずは相手への警戒より、自分たちの戦い、サッカー、攻撃をしっかり作り上げることでゲームの流れを引き寄せ、結果を出したい（宇佐美貴史）」
「出場した２試合とも、ゴールを決められていることは、もともと備えていたゴールに対する自信をより深めている。この状態を途切れさせることのないようゴールを獲り続ける事で更にパフォーマンスを高めていきたい（FWロチャ）」

G大阪とは逆に、前節は２点を先行しながらも、アディショナルタイムにまさかの逆転負けを喫したアビスパ福岡。それにより、今季二度目の連敗を喫することになった。それでも東京V戦の前半然り、内容は決して悪くはない。もちろん、後半に入ってからの戦い方や、アディショナルタイムで失点を喫しての敗戦が東京V戦で４試合目、という事実からも、試合の展開、流れに対する共通理解をより深める必要があるのは間違いないが、そこばかりを意識してナーバスになり過ぎるのも流れを悪くしてしまう。それよりも東京V戦でMF石津大介が12試合ぶりに挙げたゴールを始めとする、プラスの要素を自信として敵地に乗り込みたい。注目はそのFW石津。前節、２ゴールを挙げた石津は実は、今季の14節・G大阪戦でも途中出場でピッチに立ち、ミドルシュートと相手DFの股を抜く技ありシュートで２ゴールを挙げている。先発となれば、FW坂田大輔やMF城後寿らとともに、前線を勢いづけることだろう。

リーグ戦における両者の対戦成績は、J1、J2リーグをあわせて、G大阪が７勝２分２敗。うちホームでは４勝1分とG大阪は一度も負けていない。ホームのG大阪がそのデータ通りにホームでの強さを示すのか。あるいは連敗脱出、プレイオフ圏への復帰を狙う福岡が鬼門で結果を残すのか。熱い戦いを期待している。

以上

2013.08.10 Reported by 高村美砂