夏休みど真ん中に開催されるこの第28節。北海道札幌市にある厚別公園競技場では、現在勝点38で9位につける札幌が、同31で15位の横浜FCと対戦する。今節、唯一のデーゲームだ。
ホームの札幌は前節、敵地で富山と対戦して1−3のスコアで敗戦。前半に先制点を奪われながらも、後半途中に負いつき、数多くのチャンスを作り出し押し込むものの決めきれず。逆にカウンターから2点目、3点目を失うという悔しい展開だった。シュート数も相手の16本を上回る18本を放っていただけに、なんとももったいない形で試合を落としたと言って然るべきだろう。今シーズン初の3連勝をかけて戦ったものの、叶わなかった。
「この結果が、いまのチームの力を示している」。試合後、財前恵一監督はそうシンプルに口にした。今シーズンはここまで何度か3連勝のチャンスがありながらも果たせず。同じように、勝てば6位以内に突入する可能性があるという場面ではことごとく星を落としてきた。この富山戦を前にして、多くの選手が「目指しているサッカーが形になってきた」と手応えや自信を口にしていただけに、ここで勝って3連勝を果たすあるいは6位以内により肉薄することができていたならば、チームには間違いなく大きな勢いが生まれていたはず。それだけに、やはり悔しい1敗となった。
とはいえ、ネガティブな部分ばかり見ていても仕方がない。痛い1敗を喫したとはいえ、プレーオフ出場圏内の6位とはまだ2ゲーム差(勝点6差)。そしてホームゲームでは現在4連勝中とあって、「ここからまた勝っていくしかない」と富山戦の得点によりクラブの日本人選手史上初となる4試合連続得点を達成した内村圭宏も力を込める。新加入のベトナム人FWレ コン ビンも早ければこの試合から出場可能となるため、気持ちを新たにプラス要素を積み上げていきたいところだ。
一方、敵地に乗り込む横浜FCの前節は、ホームで北九州と対戦して1−2で敗戦。東京V戦(2−3)、神戸戦(0−1)に続き3連敗となってしまった。その前の2戦もドローだったため、5試合連続未勝利という苦しい状況にある。
そうした状況に直面し、山口素弘監督はこう話す。
「こういう苦しいときに、なかなか結果が出ないときにどういう行動をするか。どういう気持ちでサッカーに取り組むかということが非常に重要になってくる」
昨シーズンはプレーオフに進出し、今シーズンはいよいよ本腰を入れてJ1昇格にチャレンジするシーズン。それだけに、8月の時点で15位という状況は当然、歯がゆい状況にあると言うしかない。ただし、それでもまだ浮上のチャンスは大いにあるわけで、ここでしっかりとした戦いができれば、まだまだ巻き返しができると指揮官は考えているのだろう。
そうした部分も踏まえて北九州戦をあらためて考えていきたいのだが、相手に2点を先行される苦しい状況となり、さらに残り15分を過ぎたあたりで森下俊が一発退場となって10人になる事態。力のないチームであれば、そこで気持ちが折れて、そのままタイムアップまで押し込まれたままのはず。しかし、横浜FCは10人になった直後に得点し、詰め寄った。少ない残り時間もアグレッシブに敵陣へと攻め込んでいた。十分に、そこから流れを変えるだけの力を持つチームであるということを、自分達の力で示しているわけである。
指揮官はこうも言った。「僕自身も、これでへこたれるわけにはいかないですし、へこたれるつもりは毛頭ありませんので、何度倒されようが戦います」と。まだまだ上位浮上を諦める気配は一向に感じさせない。この試合から、新たな勢いを生むつもりだ。
さて、そんなチーム同士の対戦だが、見どころとなりそうなのは立ち上がりの攻防だろう。前節はともに悔しい敗戦を喫しており、何としてもこの試合から流れを変えたいところ。その意味でも序盤からどちらもアグレッシブに攻守を仕掛けてくることが予想されるため、そこでどちらが主導権を奪うことができるのか。この部分が、まずは試合の展開を大きく左右することになるはずである。夏場のデーゲームということも考えながらの攻防だけに、アグレッシブさの「質」にも着目したい。質の悪いアグレッシブさは、単に体力の消耗につながるだけなので、その部分もポイントとなりそうだ。
以上
2013.08.10 Reported by 斉藤宏則
J’s GOALニュース
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