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【J2:第28節 東京V vs 長崎】プレビュー:上位チームに食らいついていかなければいけない東京Vと、“上位”に食らいついていたい長崎。執念を実らせるのは?(13.08.11)

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前節の福岡戦、東京Vは今季初の逆転勝利をおさめた。「せっかく苦しんで、最後に勝ちにもっていけたんだから、それを無駄にしないためにも、長崎という上位チームを相手に勝つことができるか。この試合は本当に大事だと思う」飯尾一慶キャプテンは、今節を今後の鍵を握る重要な一戦として位置づける。真価問われる一戦となりそうだ。

0−2のビハインドから、後半アディショナルタイムで2点を奪い逆転勝利という劇的な形で勝点3をもぎとった東京Vだが、試合を振り返る選手たちはみな、「それよりも、先に2失点もしたことの方が問題」だと、一同に口を揃える。「今回はたまたま逆転できたけど、普通に考えたら、そんなに簡単に毎試合3点も取れることはない」(飯尾)。第19節から9試合、無失点で終えられたことがなく、特にここ3試合は複数失点が続いてしまっている。また、前節で勝つまで、先制された試合はすべて勝てていなかったことからも、森勇介は、「まず失点をしないこと」を、最大のテーマに掲げた。

ただ、だからといって決して「消極的になるとか、守備的という意味ではない」(森)。あくまで、これまで通りの攻撃的スタイルの中で修正していく。そこで大きな課題となっているのが、守備時のDFラインと前線選手の意思疎通ではないだろうか。前から追って奪いに行く前線と、下がり気味になってしまうDFライン。その間のスペースが広がることで、一人一人の守備負担が増え、対戦相手にもそこで人数をかけられ、チャンスを作られるということが少なくないように見える。まず、チーム全体でボールの取り所をはっきりとさせ、そこから連動した守備ができるかが鍵と言えそうだ。
もう1つの失点対策、という意味でも、この試合で大きな注目点になるのがシステムである。三浦泰年監督はしばらく、アンカーを置く3-5-2布陣で固定してきたが、ここ数試合は、後半途中から西紀寛をボランチに配する、ダブルボランチの4-4-2へと状況に応じて変更している。それにより、1ボランチのシステム上の宿命「空いたアンカーの両脇を使われる」という弱点が軽減され、守備が安定することで、前々節vsG大阪戦、前節vs福岡戦で魅せた泥臭く粘り強い攻撃へとつながっていると言えよう。選手たちにとっては、「あまり大きな変化はない」と口にする選手が多く、「どっちが攻撃的とか守備的とかというものではない。相手が前にかけてくる人数によって、マッチする方を(監督が)選んでいると思う」と、飯尾はシステム変更による戸惑いなどは一切ないと語る。そうした点からも、スタートから4-4-2布陣をとってくる可能性は十分考えられるだけに、指揮官がどちらを選択するのか、楽しみである。

攻撃面では、第24節vs札幌戦を機に、非常に粘り強い攻撃ができていると言ってもいいのではないだろうか。特に森が攻撃に加担できている時の東京Vは、クロスもあれば、中でのアイデア豊富な崩しもあり、ミドルシュートもあるという、多彩な選択肢を駆使して決定機を作れることが多い。高原直泰、常盤聡、飯尾一慶が絡んだコンビネーションプレーも共通理解が深まっていることは一目瞭然で、質の高い形が試合ごとに見られるようにもなってきている。また、逆サイドの小池純輝のスピード溢れる突破も有効だ。「とにかく、走れば何か起こるかもしれない。走って走って、“まず最初に動き出す人”になりたい」と、小池。前節がデビュー戦となった安在和樹も、試合終了間際で投入された直後から走りまくり、相手の脅威となって存在感を示すなど、サイド突破からの攻撃も大いに期待したい。

対する長崎は、ここ3試合白星から遠ざかっている。新規参入チームにとっては、研究されることで必ず訪れると言ってもいいであろう「二巡目の壁」が、少なからず影響を及ぼしているのかもしれない。今節の相手・東京Vも、前回の対戦では苦杯を舐めさせられているだけに、リベンジの思いを強く抱いて向かってくることは間違いない。それをかいくぐる意味でも期待したいのが、やはり小松塁、奥埜博亮の新加入組だ。「守備から攻撃への切り替えが特に早い」(東京V・鈴木)、「まとまっている。全員が同じことを考えて、全部を出し切ってやっている。いかにも“高木さんのチーム”という印象」(飯尾)、「よく走って、アグレッシヴにやってくる。サイドにドリブルで崩してくる選手がいて、前に大きい選手がいる」(小池)といった印象を東京Vの選手たちが受けたこれまでの長崎のサッカーに、さらに190cmの長身の小松、キープ力ある奥埜が加わったことで、よりオプションが増えたことは間違いない。

元東京Vの指揮官でもあった知将・高木琢也監督が、いかに相手の分析に長けているかは、周知のところだろう。「彼らの形にさせないようにしたい」東京V・森も、全力で阻止することを誓った。

以上

2013.08.10 Reported by 上岡真里江
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