個々の運動量、プレッシャーの強度、球際、攻守の切り替えの早さ、連動性、ゴールに迫る迫力など、ありとあらゆる面で長崎が鳥取を大きく上回った。結果は3―0だったが、内容を見れば、もっと差がついていてもおかしくなかった、まさに完勝だった。
長崎は序盤から主導権を握り、前線からのチェイシングで鳥取を追い込むと、苦し紛れのロングボールも、山口貴弘を中心に的確にはね返して主導権を握る。幸野志有人が「セカンドボールはかなり拾えたと思うし、前半からワンサイドとまではいかないけど、かなり圧倒できたと思う」と振り返った通り、ほとんどチャンスを作らせなかった。ただ、ボール奪取後の攻撃で、なかなか最後の一線を越えることができない。30分過ぎからはゴールに迫るシーンも増えたが、鳥取の粘りの守備に遭って得点は奪えなかった。
一方の鳥取は、マイボールになっても、すぐに長崎のプレッシャーを受けて追い込まれ、最後は前線に向けて、やみくもにロングボールを蹴ることしかできなかった。25分にドゥドゥのロングスローからCKを獲得し、尾崎瑛一郎のキックが中央に合わずにゴール前を通過したが、これが前半唯一のチャンス。シュートはゼロで、勝機を見いだせない状況が続いた。
0―0で迎えた後半、50分に試合が動いた。鳥取のペナルティエリア内で、長崎の岡本拓也がドゥドゥのショルダーチャージを受けて倒され、PKを獲得。長崎は、6節にホームで対戦した時も、PKで鳥取から先制点を決めている佐藤洸一が蹴ったが、コースを呼んだ鳥取GK小針清允にキャッチされ、先制のチャンスを逃した。
鳥取にしてみれば、ここが流れを変える最大のチャンスだった。PKストップでスタジアムは大いに沸き、55分にはCKのサインプレーから永里源気が初シュートを放ったが、勢いは長続きしない。
均衡が破れたのは60分。鳥取陣内で、ことごとくセカンドボールを拾った長崎が波状攻撃を続け、奥埜博亮のパスから、井上裕大が小針の頭上を抜くミドルシュートを決めた。本人は「パスが思ったよりも強くて、うまく合わせられたかな、という感じ。もう少しコースを狙っていこうと思っていたんですけど、パスが早かったので、合わせた感じで、入ってよかった」と振り返り、高木琢也監督は「めったに練習でも出ないようなシュート」と語ったファインゴールだった。
これで勢いに乗った長崎は、その後も鳥取を圧倒し続けた。ほとんどチャンスを与えず、80分に井上が、この日2点目となるロングシュートを決めて勝負あり。90分には交代出場の小松塁が2試合連続ゴールを決め、ダメを押した。
長崎はこれで2連勝。25節からの5試合未勝利から一転、2連勝で上位に食らいつき、この日は鳥取を完全に封じた。高木監督は「点を取ってからも、終わり方を含めて良かったと思いますし、途中から代わって入った3選手も、時間帯、持ち場など、個々のプレーを理解してやってくれた90分間だったと思う」と語り、今後に向けて大きな手応えをつかんだようだった。
対照的に鳥取は、ほとんどチャンスをつかめず、前節のG大阪戦での1―7とは質の違う惨敗を喫した。前田浩二監督は「力負けというのが率直な印象。今度から(次の試合まで)1週間というサイクルになるので、しっかり立て直していきたい」と語ったが、この日の低調なプレーぶりには、J2残留争いの重圧による影響も多分に感じられ、今後の巻き返しの難しさを痛感させられる一戦となった。
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2013.08.26 Reported by 石倉利英













