昨年の天皇杯3回戦も、そして今シーズンのJ1第15節、わずか1ヵ月半前の対戦も柏と湘南との一戦は接戦となった。湘南が先制点を挙げ、土壇場で柏が逆転するという展開で2試合とも勝利を収めたが、勝ったことよりも苦しめられた印象の方が強い。
過去2戦の対戦では、柏は湘南の機動力や縦へのスピードに手を焼いた。湘南の持ち味は前節の甲府戦でも存分に見られており、1−2で敗れたとはいえ内容的には湘南が勝ってもおかしくはない試合だった。上記したように守から攻へ切り替わった瞬間の縦へ攻撃は鋭く、まるでスイッチが入ったかのように複数の選手が能動的にスペースを狙う。
この夏には新戦力を補強して選手層には厚みも加わった。前回対戦では出場しなかったウェリントンをはじめ、ステボ、大竹洋平など、これまでの湘南の縦への速いイメージとは異なる特徴を持った選手が加入し、チームとして仕掛ける幅の広さでは前回対戦や天皇杯3回戦の時とは比べ物にはならないだろう。
シーズンの途中に加入した選手の融合は難しい面があるので、即座に結果に結び付くというわけにはいかないし、実際にここ4試合は未勝利と結果が出ていない。それでも前節の甲府戦では大竹のスルーパスにウェリントンや高山薫が飛び込み、決定的なシーンを作ったように実戦を繰り返すことで既存戦力と新戦力の融合は解消の方向に進む。
その湘南を迎え入れる柏は、どう戦うべきか。
大谷秀和が大宮戦でテーマに挙げていた「運動量を増やすこと」は前節に限らず、相手を上回るためには最低限の条件である。夏場の連戦で体力的には苦しい面もあるだろうが、まずは大宮戦で見せたように運動量を増やし、動きの質を上げることが大前提にある。
その上で、湘南のストロングポイントを抑え込むことになる。もちろん縦へ速い湘南のアタッカーを封じることも大事だが、まずは攻撃のスイッチを入れる永木亮太とハン グギョン、この2人に仕事をさせずに、柏が中盤のせめぎ合いで上回ることが重要だ。
それに関しては、大宮戦を振り返り「澤(昌克)君にボランチをケアさせて3人で相手のボランチを見るようにしたので、中盤はやりやすかった。攻撃では、2トップに入れる時に澤君がボランチの位置からスタートするので、相手にはつかまえにくかったと思う」と大谷が話すように、トップ下とダブルボランチの3枚で、湘南のダブルボランチをケアする形を取れれば守備面も安定し、第20節大分戦、第21節仙台戦と続いた拙攻による2試合連続スコアレスドローの根本的な問題、中盤から前と後ろの距離が開き過ぎた点も、攻撃に転じる時の最初の一手においてボランチとトップ下との距離が近くなり、スムーズな攻撃を仕掛けられるはずだ。
気になるのは柏がどういうシステムで臨むかだ。これまで3バックのチームとの対戦では、同じく3バックにして相手に合わせる出方の多い柏。湘南の前線3枚に3バックをぶつけ、ウイングバックがそれぞれのサイドをケアし、ダブルボランチが相手のダブルボランチを見る。こうしてミラーゲームに持ち込めば湘南のストロングポイントを消しやすいが、3バック時の柏は攻撃が停滞する傾向がある。それに前節の大宮戦で田中順也や澤が攻守における献身的な姿勢でチームに活力を与えてくれたとあって、4バックで前節の戦いをそのまま踏襲するというやり方も十分に考えられる。
3バックで湘南の特徴を消しにいくのか、それとも4バックで自分たちの勢いと特徴を継続させることを選択するのか。ここはネルシーニョ監督がどこにプライオリティーを求めるかで変わってくる。
前節、降格圏脱出のチャンスの機会を逃した湘南は、必勝を期して日立台へ乗り込んでくるだろう。だが前節の勝利で8戦無敗となり、上位陣の尻尾が見えてきた柏にとっても、最低限来シーズンのAFCチャンピオンズリーグの出場権を獲得するためにも勝ち続けなければならない。その意地と意地とがぶつかり合う一戦だけに、昨年の天皇杯3回戦、今シーズンのJ1第15節と同様、1点を争う緊迫した攻防が予想される。
以上
2013.08.27 Reported by 鈴木潤
J’s GOALニュース
一覧へ【J1:第23節 柏 vs 湘南】プレビュー:“8戦無敗”の柏が勢いを継続するか、“4戦未勝利”の湘南が浮上の足がかりをつかむか。1ヵ月半ぶりに迎えたリターンマッチ。(13.08.27)















