前節、逆転負けを喫した鹿島戦後の横浜FMのミックスゾーン。中澤佑二は、記者の「中澤さん、コメントをお願いします」という呼びかけを振り切り、苦笑いを浮かべながら無言でチームバスに乗り込んだ。今シーズン、彼がコメントなしでスタジアムを去るのは、負傷退場した13節の鳥栖戦以外は初めて。普段はほぼ毎日更新されていた彼のブログを開いても、試合後2日間は更新されていない。それらの現象から推測するに、少なからず、対峙した大迫勇也に2点を決められたショックがあったことは察しがつく。
とはいえ連戦だ。しかも今節の相手は勝点1差に肉薄する3位・浦和レッズ。百戦錬磨の男が中3日でどう気持ちの整理をつけ、難敵に挑むのか。ある意味、横浜FMで今節、最もフォーカスされる選手かもしれない。
対する浦和は前節、敵地で清水相手に2−0で気持ちよく快勝した。清水のラインコントロールが不安定だったことを差し引いても、前線に人数を掛け、パスで揺さぶった相手守備の急所を突く本来の“ミシャ・スタイル”は、やはり脅威。さらに「セットプレー、特にクロスから失点がここ数試合多かったので、そこについてもう1回しっかりと話し合うことをしました」と槙野智章が清水戦後に述べたように、守りの集中力も保ち、リーグ戦8試合ぶりのシャットアウトに成功。槙野は胸を張り、こうも言っていた。「良い守備から良い攻撃が生まれたかなと思います」と。浦和は攻守のバランスのチューニングが上手く整った状態で、日産スタジアムに乗り込むようだ。今節は首位浮上へのチャンス。7月17日の前回の対戦からそれほど時が経っておらず、2−3で逆転負けした苦い記憶が鮮明に蘇るだろう。モチベーションも最高潮に達するに違いない。
逆に前節の横浜FMは、攻守のバランスに乱れをきたしていた。前半こそ小椋祥平の果敢なボールハントからのショートカウンターで先制したが、後半に入ると「追加点を取りに行こうというチーム全体の話だったので、早めに決着をつけたいと、ちょっと慌て過ぎたかもしれない」(榎本哲也)と攻守が分断。また、この日は「全体的に動きが重かった」(兵藤慎剛)。その結果、中盤が間延びし、2失点を許す。大迫のフィニッシュは“ハンパない”の一言に尽きる。だが、その前に2アシストを決めた本山雅志を潰し切れなかったことが、逆転負けの一番の要因だったのではないか。
その試合を欠場した負傷中の富澤清太郎は、今節も出場は微妙。最終ラインの前で構える“第3のセンターバック”的な唯一無二の仕事をこなし続けてきた職人ボランチの不在によって、攻守の歯車に多少のズレが生じることは仕方のないことかもしれない。ただ、浦和はスカウティングによって、その隙を見逃さないはず。柏木陽介、原口元気の2シャドーを自由にさせ、1トップ興梠慎三にスルーパスを通されるようだと、鹿島戦と同じ轍を踏んでしまうだろう。
「今日(鹿島戦)の反省を生かして、粘り強く戦いたい」と浦和戦に向けて言ったのは中村俊輔。彼を中心に富澤不在の方策を見出し、攻守のバランスを取り戻せるか。それ次第でこの一戦の大勢が決まる。
以上
2013.08.27 Reported by 小林智明(インサイド)
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