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【J2:第33節 栃木 vs 札幌】プレビュー:J史上最高齢となる71歳の指揮官に再建を託した栃木。8位・札幌を打ち破り、ファン・サポーターに歓喜を届けたい。(13.09.15)

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松田浩監督の電撃辞任が伝えられた金曜日の練習場は動揺に包まれ、大半の選手は精神的なダメージを被り、パフォーマンスは著しく低下した。しかし、一夜明けた土曜日の非公開練習後の取材対応では、若干ではあるものの気持ちの揺れは収まりつつあるように感じ取れた。多少なりとも気持ちの整理がついたのだろう。古巣戦を明日に控え、近藤祐介はこう決意を述べた。
「今は形じゃないと思う。泥臭くても、笑われてもいいから勝点3を取りたい。とにかく、不格好でもいいから勝点3が欲しい」
西岡大輝が言葉を重ねる。「チームがバタバタしている状況で必要なのは勝利。勝てばチームの雰囲気も良くなるはず」。指揮官を辞任に追い込んでしまった、という責任を選手達は感じている。であるならば、それをピッチで表現する必要がある。松本新体制の初陣となる札幌戦で、胸にある思いを形にしたい。

松本育夫監督に許された準備期間は、試合当日までわずか1日。限られた時間の中で松本監督は、「11人でやるサッカー」をコンセプトに据えた。強調したのは、タイトな守備、ボール奪取とそれに伴う攻撃回数の増加、そして相手を凌駕する精神力の3点だ。「監督が代わってもやることは大きく変わらない」と高木和正が言うように、これまでと大きな変更点はない。大胆な改革を行えば現場が混乱する。そのリスクを回避するために、松本監督は松田体制のベースに少しアレンジを加えることを決断したと言う。つまり、堅実な守備を軸にしたサッカーが、残り10試合でも栃木の根幹を成すことに変わりはない。

ただ、リーグ前半戦に比べて守備の局面における厳しさが薄れていると松本監督は感じており、そこの徹底をまずは求めている。前回の札幌戦では高い位置でボールを奪ったことが先制点に結び付き、今季初勝利を引き寄せている。タイトな守備で特に内村圭宏と前田俊介(あるいはフェホ)のホットラインを遮断し、逆に前回同様に素早いアタックを仕掛けることで、センターバックの連携面に不安を抱える札幌を打ち破りたい。

0‐1で苦杯を舐めた前節の愛媛戦の反省点は、前半から相手を圧倒した後半のような試合運びができなかったことにある。その点を踏まえて西岡は、「いい守備からいい攻撃をしたいけど、受けに回るのではなく、相手を潰すハードコンタクトを意識したい」と話す。グラウンド状態と雨の予報から割り出される戦い方は、自ずと限られてくる。互いにポゼッションを放棄し、ロングボールの比率が増すだろう。その中でセカンドボール争奪戦が勝敗を分ける鍵になるはずだ。ファーストディフェンダーが的を絞り、エアバトルで優位に立ち、全体をコンパクトに保てれば、セカンドボールは拾いやすくなる。拾って拾って拾いまくることで、主導権を掌握して試合を運びたい。

8位・札幌は岡山のミスに乗じて2点を奪ったものの、前節はアディショナルタイムに追い付かれて勝点2を喪失した。とはいえ、現在3戦無敗。調子は悪くない。「裏に出るタイミングは一級品。シュートも巧いし、速い」と近藤が警戒する内村は、3戦連続ゴール中と絶好調だ。内村は愛媛在籍時から“栃木キラー”として広く知られており、今回の対戦でもチームを勝利に導くゴールをもたらす気概に満ちているはずだ。1トップでもトップ下でも、裏に抜けるタイミングは抜群。持ちうる武器で組織的な守備を突破できるか。内村のプレーが札幌の命運を握っていると言っても過言ではない。

非公開練習後、玉のような大粒の汗をかきながら取材陣の前に現れた松本監督。開口一番、「明日の試合では、選手が僕を男にしてくれるでしょう」と言い放った。元々、選手達が持っている能力は高い。あとはその能力を最大限に引き出すためのスイッチを探すことが必要だと感じている。それは細かな戦術調整であり、強靭なメンタルを植え付けることでもある。稀代のモチベーターが瀕死のチームを、どう蘇生させるのか。J史上最高齢、71歳の指揮官の情熱が選手に伝播した時、ファン・サポーターが待ちわびた瞬間が必ず訪れるはずだ。

以上

2013.09.14 Reported by 大塚秀毅
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