前半の展開は千葉にとって嫌なものだった。キックオフ直後には町田也真人が神戸の岩波拓也からボールを奪い、ペナルティエリアに切り込んでシュートを放つも神戸の河本裕之に阻まれ、24分にはオフサイドぎりぎりでDFの背後に抜け出し、町田のパスを受けた田中佑昌がGKと1対1になって打ったシュートは徳重健太にセーブされてしまう。そして、千葉が2度目の決定機を逃した直後の26分、神戸は左サイドの相馬崇人のクロスから右サイドに走りこんだ小川慶治朗がダイレクトシュートを決めて先制。神戸に2度目の決定機を確実にモノにされ、首位に立つチームの決定力の高さを見せつけられた。
だが、そんな前半でも千葉は3連敗時とは違う姿を少し見せていた。神戸は前回対戦時(第18節)と同様にロングボールを入れてきたが、今節は田代有三がベンチスタートで、ロングボールはFWに当てるよりはディフェンスラインの背後を狙う形。もちろん前半の神戸は前への推進力があり、選手が適切な距離感で連動しながらパスをつないで千葉陣内に攻め入っていた。だが、裏のスペースを狙うパスが味方の動きと合わずに千葉が助かる場面も何回かあり、千葉が一方的に押し込まれることはなかった。さらに、細かく動いて相手の間でボールを受けてさばく町田の効果と、無駄な横パスを減らしてシンプルにディフェンスラインの背後を狙う攻撃で、3連敗時には少なかった『前へ』の姿勢が多く見られた。
また、町田が「相手のボランチを消しながらセンターバックにアプローチをかけることがケンペスとうまくできたのかなと思います」と話したように、守備でも『前へ』の意識が高かった。2−1と逆転したあとの76分、ケンペスが2度目の警告で退場処分となり、鈴木淳監督はすかさずDFの竹内彬を町田に代えて入れて守備固めを行なった。それでも、『前へ』の意識が低かったら神戸の猛攻を受けてズルズルと全体が下がり、セカンドボールが拾えずに波状攻撃を受け続けて肉体的にも精神的にも疲弊し、守備の綻びを作ってしまうこともあり得た。だが、今節はGK岡本昌弘が「これまでもみんなで言っているんですけど、前だけとか後ろだけではなくて全体をコンパクトにして上げ下げするという基本的な普通のことを、体力的にとか状況的に難しいこともあるかもしれなくても続けてやろうとしていかないとダメかなと思う」と言うように何とか全体を押し上げようとしつつ、前半は神戸が上回ったこぼれ球への反応や球際での激しい競り合いで後半は千葉がやや上回った。
52分の千葉の同点ゴールは、米倉恒貴のクロスがDFにブロックされたあとのこぼれ球を町田が拾ってパスをつなぎ、再び米倉が入れたクロスをケンペスがヘディングで落としたのを田中がうまくシュートしたもの。そして65分にケンペスが決めた逆転ゴールは技ありのスーパーゴールではあったが、鈴木監督の早めの効果的な交代出場となった森本貴幸がボールをヒールパスでうまく町田に渡し、町田は神戸の森岡亮太にボールを奪われかけるもマイボールにしてケンペスにパスしたことから生まれた。いずれも粘り強いプレーが生んだ得点だった。
小川は神戸の敗因を「1点先行して気持ちが受け身になって足が止まった。それで流動的にできず、カウンター攻撃の質が良くなかった」というふうに話した。また、神戸の安達亮監督は反撃するため、マジーニョと小川を下げたが、マジーニョは米倉の良さを消していた面もあり、小川の攻守に献身的な動きは千葉には厄介だっただけに、千葉には有利に作用したかもしれない。
終盤には森本や米倉がこれでもかという時間稼ぎのプレーを見せたが、今の千葉にはなりふりかまわずに得る勝点3がチーム崩壊を防ぐものだった。また、その時にスタンドから湧き上がった、熱気に満ちあふれた千葉サポーターの声援は選手を強く後押しした。攻守にミスがまだ多い千葉のJ1昇格への道程は厳しいが、まだ十分戦えることは証明した。
以上
2013.10.07 Reported by 赤沼圭子















