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【ヤマザキナビスコカップ 浦和 vs 川崎F】レポート:攻め続けながら守られた80分間の鬱憤を興梠慎三の決勝弾が晴らす。内容で圧倒した浦和が川崎Fを下し決勝進出を決める。(13.10.13)

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ハイプレスの浦和に対し、我慢の川崎F。大久保嘉人が先発したことを除けば、試合内容を含め事前の予測はある程度当たっていた。そして試合は浦和の一方的なものとなっていた。

この試合を前にした柏木陽介が口にしていたことがある。それが守備について語った「前から押し込むイメージの方がオレはいい」というもの。そして浦和は、この柏木の宣言通りに前線からの守備を完遂した。川崎Fのボールホルダーに対し惜しみない運動量でプレスを仕掛け、試合を作らせなかった。等々力でのファーストレグは、ともに自陣に軸足を置く試合展開だった。しかしこの日の浦和の前への積極性は、前回の対戦のそれを上回るものになる。勝たねばならないという切迫した状況と、前線からのプレスによる大宮戦などの成功体験。そしてホームのサポーターの後押しが一体となり、浦和は川崎Fを押し込んだ。

いいところ無く前半を終えた川崎Fに対し、ペトロヴィッチ監督がハーフタイムに残したコメントは印象的なものだった。すなわち「私が浦和に来て最も素晴らしいゲームをしている」というもの。その言葉を裏付けるかのように、前半終了時に発表されたボール支配率は浦和の65%に対し川崎Fは35%にとどまっていた。浦和は川崎Fに対し、倍近くの時間でボールを保持し続け、試合を支配し続けた。その秘密は浦和の選手たちが試合後に口にした”6秒”というキーワードに隠されていた。

鈴木啓太が話す。「(試合後に原口元気が言っていた奪われた後、6秒追うというのは)取られた後、引いて守るよりはプレスに行くのが世界の主流になっている。もちろん引いて守る時間帯があってもいいが、まずはボールを取りに行って、取れない時に下がればいい。そこは今日うまくいった。そのことはみんな聞いてくれてよかった(チームメイトに対して鈴木がそう呼びかけていた)」

鈴木が呼びかけた、前からのプレスについては槙野智章も「トップレベルの選手が走ってますし、切り替えのところ(での守備)は出そうと思っていました。マンチェスター・シティとバイエルンの試合を見てもそうですしね」と述べている。ただ、ボールを奪われた直後にプレスに行くというのは、それをかわされた時に一気に難しい局面になるという点で表裏一体の難しさがある。そして川崎Fはそうしたパスワークを磨いていた。準決勝敗退直後の風間八宏監督は会見の場で「相手が前から来るのはわかっていますし、そういうことを上手く切り抜けるためのトレーニングはやっています」と述べている。ただし、結果的に浦和のプレスをかいくぐれなかった理由として”自信の欠如”を上げ、次のように説明する。

「もっともっとボールをみんなが持って、余裕を持たなければならない。そこでミスをしてしまうと、また守備の時間になってしまうということだと思います」(風間監督)

川崎Fの選手から余裕を奪い取った浦和の積極的な守備は、今Jリーグで最も危険な男である大久保への縦パスを阻止する事となる。このセカンドレグの試合中、ほとんどプレーすることができなかった大久保は「プレスに来るのは分かっているので、それをかいくぐらないと。どこのチームもああやってくるし、俺ら下位のチームに弱いのは、浦和と同じ(攻守の切り替えが早かった)」と述べ浦和の積極的な前からのディフェンスをチームメイトがかいくぐれなかったことを悔やんだ。

浦和は、川崎Fのストロングポイントを消し、そして試合を支配した。しかし、0−0で試合が終われば浦和は準決勝敗退となる。そして川崎Fに1点を先制されれば一気に難しい状況になる。そんな差し迫った試合展開の中、ペトロヴィッチ監督は攻撃的な手を打ち続けた。後半67分の平川忠亮に代えて梅崎司を投入した采配に続き、69分には原口元気に代えてマルシオ・リシャルデスをピッチに送り出す。そして三枚目が、79分の宇賀神友弥から関口訓充への交代采配だった。

この日の川崎Fは、興梠慎三を中心とした中央での崩しを警戒していた。そして中央を崩されないという目的については、ほぼそれを達成していたと言っていい。しかし、中を閉めれば外が空く。特に右サイドの田中裕介のサイドは、宇賀神友弥にいいようにやられていた。

山本真希はサイドを使われ続けていたことについて「中を閉めれば外を使われるのは当たり前なので、外に出た時にしっかりカバーリングをしていこうという話はしてました」と述べ、この日の第一目標を達成するに際して仕方のない現象だったと説明している。ただ、それにしてもこの日の浦和にとってサイドからの攻撃は、川崎Fに脅威を与え続けており、サイドを使おうと意図したペトロヴィッチ監督の考えは正しかった。

なお、ペトロヴィッチ監督は試合後、この三枚の交代についてその意図を「より攻撃的に行きたかった。交代選手を入れて、マルシオ、関口、梅崎と、三人とも攻撃的な選手ですが、攻撃的な選手を三人入れてより相手にプレッシャーをかけて行きたかった。それが交代の狙いです」と明快に述べている。

前半からサイドを崩され続けていた川崎Fは、関口の交代出場の直後に3バックへとシステムを変更。梅崎と関口というフレッシュな選手がサイドに入る以上、そこをケアするのはある意味適正な判断だと言える。そしてその川崎Fの采配を関口は簡単に振りきった。後半80分のこの場面、関口は森谷賢太郎との1対1を制し、絶妙なクロスを中央に。川崎Fの守備陣のポジショニングは決して悪いものではなかったが、それを上回るクロスに興梠が飛び込み、浦和が待望の先制点を決めた。

川崎Fが持っていたアドバンテージが失われ、逆転されたこの瞬間から川崎Fが猛然と攻勢に出る。83分には山本に代えて矢島卓郎がピッチへと入ると、87分にはその矢島が持ち込み、レナトを経由して小林悠が決定的なシュートを放つ。しかしわずかに枠をそれて同点ゴールならず。猛然と追いすがる川崎Fに対し、浦和は老練な試合運びを見せて時間を使う一方、90+3分には決定的な場面を作り出して川崎Fを脅かした。ゴールこそ決まらなかったが、結局試合はそのまま1−0で終了。浦和がホームで内容を伴って川崎にFに快勝し、ホームのサポーターの前で見事に決勝進出を決めた。

一方で敗れた川崎Fは、事前の対策やこれまで作ってきたパスワークを思うように発揮できなかった。悪い試合はすべて同じ傾向が出つつあり、それを解消するのが今後の課題となる。いずれにしても、この敗戦により準決勝敗退となった。

以上

2013.10.13 Reported by 江藤高志
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