曇り空の肌寒いホーム最終戦となった愛媛・ニンジニアスタジアム。前半16分にアライールを退場で欠き、1点、また1点とゴールを許した愛媛にとっては非常に厳しい試合展開になった。
しかし、そのままでは終われないホーム最終戦。石丸清隆監督は「2点先行されても選手は諦めず、すごく気持ちが入ったいいゲームだったと思う」と振り返ったが、愛媛は最終的にその2点のビハインドを追いつき、最後は石井謙伍も退場で欠いて9人になってもなお、逆転の雰囲気を作り出す程に盛り返す、見応えのある激闘を演じた。
こうした動きのある試合展開になりそうな気配は、序盤から漂っていた。攻守の切り替えが早く、互いに奪っては相手ゴールを目指す展開でスタート。相手のミスからショートカウンターという形も多く、早い時間帯にスコアが動いてもおかしくない攻防から試合ははじまった。その中で愛媛は前半6分に波状攻撃をしかける。大きなサイドチェンジから右サイドの石井謙伍が抜け出すと、折り返しのクリアを愛媛は再び拾い、代健司から東浩史を経由して最後は逆サイドの三原向平がシュート。これは枠をとらえることができなかったが、愛媛らしいサイドを使った攻撃で先制点を目指していた。
しかし、前半16分にアライールが退場となると、状況は一変。福岡が圧倒的に試合を支配するようになった。一時は秋元陽太が坂田大輔のPKをストップし、愛媛は踏みとどまったものの、前半27分にスローインから石津大介にミドルシュートを決められて失点してしまう。アライールが退場になった場面、そしてこの先制点の場面ともに福岡のパスワークは見事だったが、愛媛はあまりにも簡単にシュートまで持ち込まれてしまった。数的不利が原因の失点でもなく、それは後半の2失点目にも言えることで悔やまれる失点になってしまった。
その後半19分、愛媛は右サイドから入れられたボールに対して、中央にいたのは5人。福岡の攻撃陣でペナルティエリア内に入ってきていたのはプノセバッチと金森健志の2人だけだったが、金森の突破を止めることはできなかった。組織を崩されたというよりも、数的に有利な状況でも突破されたのはいただけなかった。今シーズン、このように最後の局面で踏ん張りきれなかった場面は散見されてきただけに、この点に関しては来シーズンに課題を持ち越してしまったたといえるだろう。
また、愛媛にとっては2点目を入れられるまでの流れも悪かった。愛媛は前半38分に渡辺亮太を投入しており、彼のポストプレーで反撃の芽が出てきていた。実際に、後半最初のチャンスは愛媛に訪れた。後半11分、加藤大のラストパスに渡辺が抜け出してシュート。これは福岡の守備に阻まれたものの、こぼれ球が東の下へ。しかし、東のシュートは枠をとらえることすらできなかった。同点のチャンスを逃した後の失点。フィニッシュを決められない拙攻、耐え切れない守備が生む試合運びのまずさはチーム全体の問題。こうした勝負弱さを克服しなければ、仮に80分間いいサッカーをしたとしても、愛媛はより上のステージにたどり着くことはできないだろう。
一方で、福岡もこうした有利な状況でも勝ち切れない脆さを露呈してしまう。10人の愛媛に対して圧倒的にボールを保持しながら、秋元の好セーブがあったとはいえなかなか追加点を奪うことができなかった。そればかりか渡辺が投入されてからは相手を勢いづかせてしまい、ゲームをコントロールすることができなかった。1点を返された後もリードをしていたはずだったが、判定にナイーブになったり、試合を落ち着かせることができずセットプレーから同点に追いつかれてしまった。試合の大部分を1人多い状況で進めていただけに、もう少し違ったゲーム展開に持ち込みたかったところだ。
こうしてチームとしては課題を残した両チームだが、もちろんシーズンを振り返ると成果も挙げた。福岡で言えばゴールを決めた石津や金森がチームの中心選手に成長し、愛媛もチーム最多得点を挙げた加藤がこの試合はゴールこそなかったが落ち着いてゲームを組み立て、同点のきっかけを作った。そしてこの試合では期待され続けた渡辺にJ初ゴールが生まれ、1得点1アシストの活躍。ルーキーが結果を手にしたことも来季につながる成果だ。そして渡辺が「1人少ない中でも自分の近くに誰かしらいてくれた。チームの運動量もあって、そこを使うことができた」と振り返ったが、今日は劣勢でも相手を上回る運動量でドローに持ち込むという粘りをチームとして見せることができた。あとはこれを今後につなげることが必要になる。
特に愛媛に関しては将来的に、10年間チームを支え続けた赤井秀一の夢を叶えなければならない。ホーム最終戦でミスター愛媛・赤井が心残りだとしたJ1への夢。志半ばでチームを去るもののためにも、残された選手は赤井も含めたクラブ功労者たちの意志を受け継ぎ、来季以降も前進していかなければならない。
以上
2013.11.18 Reported by 近藤義博













