今日の試合速報

開幕招待
開幕招待

チケット購入はこちら

J’s GOALニュース

一覧へ

【J1:第33節 広島 vs 湘南】プレビュー:優勝のためにも、中島浩司のためにも。高ぶる想いに満ちた広島は攻撃サッカーを貫く湘南を迎え撃つ(13.11.29)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
エディオンスタジアム広島のメインスタンドに掲げられた、3本の横断幕。「お前らが一番強いんだ、さあ行こうぜ!!」「気持ちで圧倒しろ」。そして「最後に笑うのは俺たちだ」
サポーターの想いは、横断幕のメッセージと、前日練習終了後に響き渡った「サンフレッチェ・コール」に集約されていた。
2度の降格、経営危機。20年を超える広島の歴史は屈辱と悔しさが充満している。それでも、サポーターはずっと選手を信じ、チームを信じ、クラブを信じた。苦しい時ほどクラブへの声援を増やし、周囲から「まだ、応援してるの?」と冷ややかな視線を浴びせられても、情熱は途切れることもなく、サポートの熱量は大きくなっていった。2009年のJ1復帰以来、ずっと維持してきた賞金圏内は今季も確定。シーズン最後まで優勝の可能性を残して戦い続けている広島の道程は、サポーターとクラブが共に一丸となって創り上げてきた奇跡だ。ローカルクラブが成し遂げた輝かしい実績は、誇らしい。

ただ、今はまだ、戦いの途中である。もし横浜FMが1分1敗で広島が連勝すれば、浦和次第ではあるが優勝の可能性は残されている。思えば2007年、浦和が残り2試合で1勝すれば優勝という状況で鹿島と横浜FCに敗れ、連勝した鹿島が大逆転したケースもある。最後まで諦める必要もない。

「僕たちは連勝するしかない。全力を尽くして闘って、勝って。それでも及ばなかった時は、そこは反省して来季に活かせばいい」
水本裕貴は力強く語った。その想いは、チーム全体に貫かれている。

そして、もう一つ。広島には勝たねばならない理由がある。
2009年に移籍して以来、チームを支え続けた中島浩司が現役引退を決意。明日は彼にとって、ホームラストマッチとなる(天皇杯も残っているが、リーグとしては)。様々なアイディアを繰り出し相手を幻惑し、常に「楽しさ」と「美しさ」にこだわったプレーを表現してくれたベテランは、チームの誰からも慕われる人格者でもあった。
昨年、そして今年。中島の試合出場機会は限られていた。それでも、昨年は磐田戦で勝負を決めるゴールを流し込み、今季は若い選手たちに「ここに(パスを)入れてみぃ」「思い切ってやってみぃ」と叱咤激励し、若者の成長を促した。「ナカジはいつも、チームを助けてくれた。彼の存在がチームに与える安定感もモチベーションも違う」と言う森保監督は、今季のリーグ戦で1度も、彼をベンチから外さなかった。試合出場はたった1試合、わずか7分に過ぎなくても、中島は広島にとって巨大な星。かつてペトロヴィッチ前監督(現浦和)がゴールドマンと絶賛した男のファイナルを飾るためにも、勝利は必須だ。
ただ、湘南は難敵である。J2降格が決まったとはいえ、いや、だからこそ、広島にとって難しい相手である。
まず、メンタル。「降格」という結果が出たことで、確かに落胆はある。だが、一方で「来季にむけて自分たちの力を見せつけたい」というモチベーションもまた、確かに存在する。例えば広島は降格の後を受けた天皇杯で必ず結果を出した。2002年は準決勝まで、2007年は決勝進出。悔しい敗戦の後だからこそ、チームが一つになり「力を証明しよう」という動機づけが生まれたのだ。昨年の札幌は降格決定直後の浦和戦で勝利して彼らの優勝の夢を打ち砕き、G大阪も天皇杯の決勝に進出。降格したからといって、チームが砕け散るわけではない・
特に湘南は、曹貴裁監督を中心に持ち前のハイプレス・ハイラインという攻撃サッカーをJ1に堂々とぶつけて闘い抜いてきたチームだ。結果は残念だったが、自らのサッカー哲学を信じ、貫く潔さは、チーム・サポーターを一つにまとめる魅力は十分。だからこそ、降格決定後にクラブは監督に続投のオファーを出し、選手たちも「ここで気持ちを抜いたプレーを見せれば、これまでの時間が無駄になる」(大野和成)と湘南らしく戦いぬくことを決意を固めている。
後半戦の無得点試合はわずか1試合と、湘南の攻撃面は間違いなく成長している。広島戦は10番を背負った菊池大介が出場停止、ボランチのハン グギョンも肉離れで出場は微妙。しかし、彼らは誰かに頼って闘うスタイルではない。果敢でアグレッシブな湘南スタイルは、絶対勝利を目指す広島にとって大きな壁となるだろう。

今日の練習後、中島浩司はファン ソッコをつかまえ、30分以上にわたって話を続けていた。どういう内容だったのか、それはわからない。ただ、間違いなく言えるのは、中島という「ピッチの哲学者」は、広島に勇気と安心を与える存在だということ。2013年、ホームでのラスト・パフォーマンス。広島は、サポーターのためにも、中島のためにも、そして連覇への希望のためにも、勝利を求めて走り抜く。

以上

2013.11.29 Reported by 中野和也
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2025/12/21(日) 10:00 知られざる副審の日常とジャッジの裏側——Jリーグ プロフェッショナルレフェリー・西橋勲に密着