千葉に2-0で快勝した前節の流れをそのまま持ち込み、栃木は幸先良くホームで先制点を挙げた。それだけに、追い付かれてのドローには悔しさだけが残った。
「1点で終わらずに、もう1点取れていればチームは楽になっていた」
開幕2連勝を飾る機会を喫した要因を、先制弾の瀬沼優司はそう話した。現段階では1‐0で逃げ切れるほど、守備組織は成熟していない。そう考えると、やはり2点目が遠かったことが、勝点2の喪失に繋がったと言えるだろう。とりわけ、先制後は一気に押し切れる時間帯もチャンスもあったことから、詰めの甘さが浮き彫りとなった。
どちらかと言えば、試合への入り方は横浜FCの方がスムーズだった。ところが、先制したのは、ホームの栃木。開幕弾を決めている瀬沼が、廣瀬浩二とのパス交換から抜け出し、GK南雄太の股下を射抜いた。恐ろしいほど冷静な一発を呼び込んだのは、イ・ミンスのボール奪取。松下年宏から強奪したプレーは、日頃のトレーニングの賜物だった。その後も栃木は高い位置で面白いようにボールを掻っ攫い、サイドからの侵略に成功する。
しかし、繰り出したカウンターから致命傷を与えられずにいると、逆に一発のパスでサイドバックの背後を取られ、横浜FCに拙い対応を突かれて被弾してしまう。近藤とイとの間でマークの受け渡しの確認は取れていたのか、GK鈴木智幸とチャ・ヨンファンはコミュニケーションを図れていたのか。次節に向けて検証されるべき事象だろう。
失点を機にトーンダウンした栃木とは対照的に、横浜FCは攻勢に転じる。前半の終盤から流れを掌握し続けた。後半は前半の栃木がそうしたように、ロングボールで最終ラインを押し下げ、セカンドボールを拾ってから攻める形がハマったのだ。82分にはサイドチェンジから小野瀬康介に千載一遇の絶好機が巡って来た。だが、ここはGK鈴木智に右手1本で防がれ、逸機してしまう。
中盤を省略して相手の最終ラインの背後を取る、陣取り合戦に敗れた栃木。全体が間延びしてしまい、瀬沼に苦し紛れのパスを出すしかなかった。もう少し繋ぐ意識が働いていれば、展開は違ったモノとなっていた可能性が高い。劣勢を攻勢に転じさせる術を磨く必要性を痛感させられた。
同点に追い付きながら押し切れなかった横浜FCだが、「非常にいい形も見せてくれたし、狙いを持ったこともやってくれた」と山口素弘監督。後半は一昨年の快進撃を想起させるようなパス回しも見られ、松下と安英学のボランチコンビの機転の良さが際立った。ターゲットを利した縦に速い攻撃と、ポゼッションする時間帯のバランスが取れれば、自ずとチャンスの数も増えていくだろう。守備はある程度、計算が立つだけに、攻撃面を改善したい。
阪倉体制初の連勝を逃した栃木だが、やろうとすることは表現できた。攻守の切り替えに関する浸透度の高さを、先制点のシーンが象徴的だったように改めて示せたと言える。その一方で、失点後の試合の進め方には課題を残した。特に押し込まれた後半は、引いて守りを固めるのか、それとも相手陣内から追い込んでいくのか、意思疎通が図れていなかった。この現象は、プレシーズンマッチの柏戦でも見られた。
勝ち切れなかったことで課題はネガティブに捉えられがちだが、「まだまだ強くなれる証拠」(廣瀬)でもある。指揮官も「今日も課題がたくさん出たけど、それはポジティブな部分でもある」と述べている。今季のチームは年間を通して成長することを、大きなテーマとして掲げている。そう考えれば、早い段階で修正点が出て来るのは、むしろ大歓迎だ。肝要なのは、出た問題をクリアにしていくこと。痛みを伴いながらも、阪倉トチギは少しずつ大きくなっていく。
以上
2014.03.10 Reported by 大塚秀毅
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