ほとんどいいところなしだった開幕戦に比べれば、攻守両面で改善が見られた千葉。それでも、フィニッシュの場面での連係や個人のシュートミスでなかなか決定機を作れず、刻一刻と時間が経過した。そんな千葉に勝点３をもたらすゴールとなったのは、山中亮輔の豪快なスーパーミドルシュートだった。

今節の千葉は３月４日に負傷したケンペスに代わって森本貴幸が１トップに入り、開幕戦は谷澤達也が入ったトップ下に開幕戦は負傷欠場の町田也真人が入った。守備の意識が高く、それを実践する動きの量が多い森本と、攻守に運動量が豊富な町田の効果もあり、前線からの守備が開幕戦よりも組織的だった千葉は、岡山が得意な縦に速い攻撃を自由にはさせなかった。千葉の佐藤健太郎は試合後に「岡山はたぶん大事にボールを運ぼうとしていたと思う」と話したが、今季の岡山が攻撃力アップのため、最終ラインからパスをつないでのビルドアップの精度を高めようとしていたことも一因だろう。26分には岡山の左ウイングバックの田所諒がパスの出しどころを探すうちに千葉のボランチの山口慶のプレッシャーを受け、前にパスを出せずに悔しがる素振りを見せた。岡山はサイドを変えるパスなどでピッチの横幅いっぱいを使ったワイドな攻撃は見せたが、岡山ならではの縦方向の攻撃のパワーはいつものレベルではなく、前半の半ばまでは千葉が主導権を握っていた。
千葉は攻撃面でも変化が見られた。森本が動き回りながら前線で起点になろうとしたのに加え、町田が的確なポジショニングでボールを引き出し、縦方向への攻撃を組み立てようとしたのも大きい。山口慶と佐藤健太郎のダブルボランチもより前へ出て行こうとするのが見られた。だが、全体的にシュートを積極的に打つ姿勢も見られたが、前半の８本のうちゴールマウスの中に飛んだのは20分の山中の１本だけとシュートの精度が低かった。

シュートの精度を言えば、25分の荒田智之がこの試合のチーム初シュートだった岡山も、前半の５本のうちゴールマウスの中に飛んだのは31分の島田譲の１本だけと苦しんだ。64分にクロスに合わせた林容平のボレーシュートはゴールポストのわずか横。それ以外はペナルティエリア外からのミドルシュートが多く、竹田忠嗣は「何本かはそこでシュートを打たないでもう一個何かしたらよかったんじゃないかなと後ろから見ていてちょっと思ったんですけど、フクアリは試合前にピッチに水を撒いているのもあってシュートをどんどん打っていかないといけないという意識が選手たちにあったと思う」と崩しのバリエーションの必要性も口にした。前節のスタメンの押谷祐樹に代わって１トップに入った荒田は背後に出る動きが得意だが、それを生かすパスも少なかったし、荒田自身は前でボールを収められなかった。竹田はさらに「攻撃に関しては、自分たちが今トライしていることが自分たちで主導権を握ってボールを動かしていくことなので、そこを強気にやってみんながどんどん自信をつけて勝点３が取れれば、もっと自信がつくと思う。まず１点取れればＦＷの選手も落ち着きが出ると思うし、ＦＷの選手をフォローする動きが中盤の選手にもっと増えたらチャンスになると思う。そこは今、乗り越えていかないといけないところ」と話したが、今はワンランク上の結果が出るまで我慢しながら継続する時期のようだ。

クロスバーに当たりながらも決まった山中のシュートという個の強さで、今季初勝利となった千葉。得点シーンでは交代出場の竹内彬のボール奪取とパスの判断の良さ、岡山のＤＦを引きつける森本のランニングも光った。今節は攻守の連動性に向上の兆しが見られたが、昨季も攻守の連動性は試合ごとに良くなったり、悪くなったりを繰り返して確かな上積みが感じられなかった。スタメンが誰であれ、今日の出来がこの１試合で終わることなく、さらに着実にレベルアップしていくことが何よりも必要だ。

以上

2014.03.10 Reported by 赤沼圭子