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【J2:第2節 熊本 vs 松本】レポート:新加入サビアの1発で松本が連勝。熊本は持ち味を発揮できず、ホーム連勝はならず。(14.03.10)

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シュート数は熊本9本、松本が8本と、内容的にはほぼ五分である。だが一瞬の隙を逃さなかったのは松本だ。70分、左からの鐵戸裕史のクロスをサビアが頭で仕留めて決勝点。松本が連勝を飾り、熊本は1勝1敗で9位となった。

この試合、熊本は4-2-3-1、松本は3-4-3と、いずれも開幕戦と全く同じメンバー、布陣でキックオフを迎えている。前節の勝利を受け、熊本の小野剛監督は、課題があることは認めつつ「大きく変えなくてはいけない部分はないと思う」と話し、試合の2日前には「特定の選手についても含め、必要以上に相手の情報を与えるより、自分たちがやろうとすることをしっかりやることの方が大事」とも述べている。一方、松本の反町康治監督は「向こうのストロングなところも考えてゲームのプランを作らなきゃいけない」という考えのもと、あえて前節と同じ布陣をとった。ただ、戦い方に関して言えば、「もう一戦ありますし、(熊本対策として準備したことについては)触れることはできませんけれども」とかわしながらも、前節とはまた違った対応で熊本の良さを潰すためのアレンジが加えられていたように思う。

具体的には、巻誠一郎をはじめとした熊本の前からのプレッシングを回避しつつ、スペースを消して熊本の機動性を抑えた点だ。攻撃時にはシンプルに、少ないタッチでボールを動かして間合いを詰めさせず、セカンドボール争いでも優位に立つと、ピッチを広く使って大きく揺さぶりをかけ、熊本に奪いどころを定めさせないボールの動かし方を展開。風の影響や芝の深いピッチ条件もあって前半はほぼ決定機を作れなかったものの、徐々に主導権を握っていった。守備ではボールを失ってもすぐにプレスバックをかけ、対面で遅らせながら後方は素早く帰陣し、最終ラインでは数的優位を作って対応。ワイドも含めて左右の距離感を保ちながらブロックを作るため、中盤でも熊本に効果的な縦パスをほとんど入れさせない。押し込まれると3バックに両ウイングバックが加わる5枚、時にはここにボランチ1人も加わって6人が並ぶラインを敷いてスペースを消している。間を取らせない守備時の距離感や切り替えの早さを支えたのが、選手個々の、ひいてはチーム全体の運動量であったことも見逃せない。

対して熊本は、狙った形でボールを奪えないためどうしても全体のラインが下がる、と言うか前後がストレッチされていった。「裏を取りたいけどなかなか取れなくて、サイドの裏にボールを流し込みたくてもうまく流し込めなかった」と園田拓也が話した通り、攻撃に転じてもスペースをうまく使えない状態。そのため自陣から組み立てていこうとするが、サポートのアングルや距離感が悪いこともあって、前述の通り間で受ける縦パスが少なく、ボールの落ち着きどころを作れなかった。しかしながら、サビアとの関係を意識して動いていた船山貴之と岩上祐三をうまくつかまえきれない場面があったものの最後の局面ではしっかりと跳ね返しており、守備に関して大きな問題がなかったのも確かではあった。

後半に入ると、熊本は3バックの裏というよりもウイングバックの裏、ボランチ横のスペースを狙う形で、47分に右から左へつないで仲間隼斗、51分には養父雄仁から中山雄登、そして齊藤和樹、55分にもスローインのリスタートから右の深い位置で中山と、松本ゴールに迫る場面を作るが決められず。そうした流れの中、「ゲームを落ち着かせながら、つなぎながら攻撃できるように」(小野監督)という狙いで岡本賢明がタッチライン際で準備をしている段階で、松本に先制ゴールが生まれる。クリアボールが船山に当たって鐵戸の足元へ転がり、少し運んだ鐵戸はフリーの状態でクロス。ファーサイドのケアも含め熊本DFも人数は揃っていたのだが、うまくマークを外したサビアがニアでしっかり合わせて枠を捉えた。その後、熊本は76分に澤田崇、最後は85分に高橋祐太郎を入れて同点を狙うが、ミスもあって落ち着きどころを作れないまま。後半のシュート数では松本の2本に対して5本と上回ったがネットは揺らせず、今季初黒星を喫した。

松本は順位こそ下げたものの連勝。「こういう試合でも勝点1ではなくて3を取れたというのは、少しずつ進化しているかなと思う」と反町監督が言うように、勝負強さを発揮して序盤から勝点を積み上げていくことができれば、昨季わずかなところで逃したプレーオフ圏に手が届く可能性は十分。次節はホーム開幕を待ちわびる地元サポーターの前で3連勝を狙う。
熊本としては、内容が互角だっただけに残念な敗戦だった。たしかに最後の精度や個の能力が勝敗を分けた要因の1つではあるが、それ以外で違いを見つけるとすれば、ゲームの中での対応力に若干の差があったという見方もできる。特に若い選手が並んだ2列目は、巻との関係をうまく作れた場面は前節に比べれば少なく、相手がスペースを消し込んだ中での攻め方には、まだまだ改善や工夫の余地がある。「今日みたいな我慢比べのようなゲームをモノにできるかどうか」(岡本)が、躍進のための鍵。次節は昇格候補筆頭に挙げられる磐田との初対戦となるが、再び今季目指すことを確認して、気持ちを切り替えて臨みたい。

以上

2014.03.10 Reported by 井芹貴志
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