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2021年6月11日(金) 18:00

【後編】プロフェショナルレフェリー佐藤 隆治しか知らない世界

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【後編】プロフェショナルレフェリー佐藤 隆治しか知らない世界
【後編】プロフェショナルレフェリー佐藤 隆治しか知らない世界

「上手い!」「速い!」と思わず唸ることも……。審判員しか味わえない特別な瞬間とは?

>前編はこちら

どれだけ高いお金を出しても見られない瞬間を僕たちは見ることができる。

おそらくレフェリーは、一番いい場所で試合を見られる立場だと思います。テレビで見ている方も、スタンドで見ている方も、ベンチの監督にも、知り得ない光景を見ることができます。例えば選手の息遣いだったり、インパクトの瞬間の迫力ある音だったり、真っ芯で捕らえられたブレていくシュートの軌道だったり。真後ろから見ていると、信じられないような軌道でボールが飛んでいくんですよ。怒られるかもしれないですけど、入る前に、「あっ、入る!!」って思わず口走っちゃうこともあります(笑)。

審判員はある程度次のプレーを予測しながら、ポジションを取っています。そのヒントとなるのが、選手の目線。選手の目線を頼りに、次はここに出すんだろうなって、予測を付けて動いているんです。

でも、優れた選手はこちらの予測を上回ってくる。目線とは全く違うところにパスを出すんです。AからB、あるいはCもあるかなと予測を付けていたら、Dに出すの?って。そうするとレフェリーは置いていかれてしまう。だいたいそういう予測外のプレーはビッグチャンスになるので、こちらとすれば、焦りますよね。

元鹿島の小笠原満男選手(写真右)の予想外のプレーには、佐藤主審も何度も焦らされたという
元鹿島の小笠原満男選手(写真右)の予想外のプレーには、佐藤主審も何度も焦らされたという

そういったプレーで特に印象に残っているのは、中村 憲剛選手や、小笠原 満男選手。彼らのプレーには、何度も焦らされました(笑)。すごいシュートを見た時もそうですけど、そんな瞬間は思わず「上手い!」って、唸ってしまいます。僕だけかもしれないですけど(笑)。そんなすごいプレーを間近で見られるのは、審判員の醍醐味ですね。どれだけ高いお金を出しても見られない瞬間を僕たちは見ることができる。それは審判員の特権だと思っています。

足の速いFWがいるチームも意識しますね。僕は長距離は苦手ですけど、短距離は好きなので、負けないように追いつこうと必死に走る。でも、向こうはもっと速いから追いつけない。「速いなっ!」って唸る瞬間です。

上手かったり、強かったり、速かったり。いろんなプレーで驚かされて、焦ることも多々あります。こっちは必死についていこうとするけれど、そういうプレーが出た瞬間って、後追いでスタンドから地響きのような大歓声が生まれるんです。すごいプレーと歓声がシンクロしてする時は、焦りながらも鳥肌が立ちます。それも僕にとって審判員をやっていて特別な感情を抱く瞬間です。今はコロナ禍なので静かなスタジアムですが、満員のスタジアムの大歓声の中で笛を吹ける日が戻ってくることを願っています。

常にVARに判定を任せるような安易なレフェリングはしたくない。

ヨーロッパだけでなく、Jリーグも含めアジアのサッカー界にもVARが普及し始めています。これからのサッカーは、間違いなくVARのサッカーに変わっていきます。賛否両論ありますが、VARは劇薬みたいなものだと思っています。大事故は防げるが、副反応もある。選手もサポーターもレフェリーも、ある程度の副反応は受け入れる必要があるものの、レフェリーとしてはそれを極力小さくする努力をしなければいけないと思っています。

僕が目指すのはVARの登場なしで、4人の審判団だけでスムーズに試合を進めていくこと。リアルタイムで適切なジャッジをすることを追求していきたいと思っています。

一方でVARというツールを上手く利用することも必要不可欠だと思っています。逆に言えば、VARに使われるレフェリーにはなりたくない。常にVARに判定を任せるような安易なレフェリングはしたくない。そうするとそれだけチェックしたり、見直す時間がかかり、試合の流れが滞ってしまう。結果的には正しいジャッジに修正されるかもしれないけど、1試合で2回も3回もVARで試合が止まってしまっては、サッカーの面白味は失われていくと思います。

もちろん、これだけスピードが速いサッカーになって来たので、リアルタイムで物理的に事実を正しく掴むことが難しいケースもあります。そういった時にVARというツールをレフェリーが上手く使えれば、試合もスムーズに進んでいくはずですし、ジャッジも安定する。選手や監督はもちろん、サポーターの方も納得してくれるはずです。VARを上手く使いながら、それでも試合の流れを損なわない。そんなレフェリングを追求していきたいと思っています。

 

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