本文へ移動

今日の試合速報

第17節 6.1(土) 15:00KO 国立競技場 鹿島vs横浜FM 国立競技場に10,000名様無料ご招待
第17節 6.1(土) 15:00KO 国立競技場 鹿島vs横浜FM 国立競技場に10,000名様無料ご招待

J’s GOALニュース

一覧へ

【J1 2ndステージ 第15節 大分 vs 仙台戦レポート】ピッチの上に描かれた天国と地獄。(03.11.30)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
大分 1 - 1 仙台 (14:04:大分ス) 入場者数 33,278人
-激闘の1日を写真でチェック!This Week Photo-


 スタジアムへと向かうシャトルバスの中で、大分サポーターの高校生がこんな会話をしていた。

「今日は絶対にしびれる試合になるよな」
「そぉーっちゃ(そうだね)」
「J1残りてーな」

 試合を前にして、気持ちを高ぶらせながら交わされているそういう会話を聞いていて、大分の試合が彼らにとってちゃんと娯楽の1つとして認められているんだな、という確信を持てた。シャトルバスの乗り口には、試合2時間半前だというのにすでに多くの列ができていた。

 もちろん娯楽となるには理由はある。この大分対仙台という対戦は、両チームがJ1残留をかけた直接対決だった。条件はホームゲームだということも含めて大分に有利で、仙台は勝利するしかなかった。点がほしい仙台は、思い切った策に出てきた。

---

 試合が始まると左サイドハーフに根本。右には岩本が布陣していた。点がほしい仙台の気持ちが伝わる形だった。しかしその気持ちが、仙台にとってはあだとなる。

 この日の仙台の右サイドには問題が二つあった。1つは右サイドバック村上と、大分の左サイドハーフ寺川との力の差。そしてもう1つは、岩本が攻撃の意識を強く持ちすぎていたという点である。

 前半12分。寺川が左サイドでボールを受けると、フリーでオーバーラップしてきた有村につないだ。彼は相手選手からのプレッシャーを受けることなくゴール正面へマイナス方向のクロスを入れる。ニアサイドに走りこんだ高松に意識が集中したことでゴール正面に移動していた梅田がフリーになっていた。

 梅田本人は有村のクロスをほめたが、技術的には簡単ではないはずのシュートがダイレクトでゴールネットを揺らした。3万人を越える大分サポーターが歓喜に沸いた。

 仙台はさらに苦しい立場に追いやられた。

 試合開始後、まだまだ早い時間帯である前半の30分にベルデニック監督は二人の選手を代えてきた。1人は攻撃的に行くための森保から金への交代。そしてもう1人が右サイドの安定を狙った岩本から財前への交代だった。この交代によって仙台は4-3-3という布陣に移行し、得点を狙った。

 ハーフタイムに修正の指示が入ったのだろう。後半が始まると仙台の右サイドは安定した。穴がなくなったことで大分は攻め手をなくし、得意の守備戦を始める。点は取れないが、点も取られないという大分の固い守備は、セカンドステージ首位の16失点という数字と、唯一の一桁の数字である7得点という結果にも現れている。

 仙台は大分の穴を探すのに苦労した。ポストに嫌われる場面もあった。それでも仙台は攻め続けた。残留への希望をつなぐゴールが生まれたのが71分のこと。右サイドを駆け上がった山下から途中交代出場の福田へとクロスが入ると、この折り返しを根本が合わせて同点ゴールとなる。

 ここから試合は緊迫の度合いを深める。戦術論や技術論を超越した精神力の中で両チームは戦いを続けていた。ホームの大分にとってそれは、アドバンテージをもたらす状況だった。

 試合後に小林監督は「今日のゲームのラスト20分は、サポーターの皆さんの力です。もし今日のゲームがアウェイだったら、ぞっとしてます」とサポーターの力を強調している。また溝畑GMも同じようなことを口にしている。
「このチームの最初の試合のお客さんが3人というところから始まって、今日は3万3千人ということで、みんなの勝利だと思います。最後の45分というのは、気持ちで。サポーターの声が。ポストに当たったのもサポーターの声。引き分けましたが来年またJ1でやれるのはうれしいですね」

 悲鳴とため息と歓声が交錯する中、4分のロスタイムに突入する。溝畑GMが回想する。

「99年に山形とやった時とまったく同じ4分だったんですね。で4分という数字でいやな思いがよぎって。天国から地獄へと落ちる経験をしているので、今日は1秒1分がすごく長く感じましたね」

 4年前と決定的に違うことがあれば、当時のスタジアムは大挙して駆けつけたにわかサポーターに囲まれていたという点。J1初年度で320,597名を動員した今年の大分は、大勢のサポーターに囲まれるのは慣れていた。サポーターの存在はプレッシャーではなく、心の支えになっていた。

 結局スコアはそのまま動くことはなかった。岡田主審が試合終了を告げる笛を吹く。大分のJ1残留が決まると同時に仙台のJ2への降格も決まった。ピッチの上には、濃淡のはっきりした影が浮かび上がっていた。

2003.11.30 Reported by 江藤高志

- J1リーグ2ndステージ 順位表 - J1リーグ 年間順位表 -
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
サッカーのポジション解説
サッカーの試合時間・タイムルール
インテンシティ
オフサイド
ビルドアップ

テレビ放送

一覧へ

明治安田J1リーグ 第10節
2024年4月27日(土)14:00 Kick off

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/04/25(木) 00:00 ハイライト:奈良vs広島【ルヴァンカップ 1stラウンド 2回戦】