反町監督が、コンスタントに1万人を集めるようになった観客動員について「二部リーグでこれだけのお客さんが入るのはスペインではありえないし世界的に見てもすごい。ありがたいですし、選手にも『感謝しなければ』と言ってます」と話していたのは2001年の第35節のことだった。最終的に37,075人の観客を集めたこの試合の光景は、現在の新潟にとっては普通の姿である。
反町監督の就任初シーズンとなった2001年は、新潟にとってはいくつかの追い風が吹いたシーズンでもあった。ビッグスワンの完成がその筆頭に上げられ、コンフェデレーションズカップの開催によって日本代表の試合が新潟で行われたことも、対価を支払ってサッカーを見る、という行為の普及に貢献している。こうした追い風を受けながら反町監督のチーム作りは続き、シーズンを通して昇格を狙えるポジションをキープし続けた。現実的な目標としてJ1昇格が見えたこともあって、新潟のサッカー熱は習慣として定着していった。
最終的に667,447名もの観客を集めた2003年シーズンは、昇格すべくして昇格したとも言える一年だった。3年越しの夢をかなえる原動力となったのは観客の後押しであり、観客を集められたのはチームが好調を維持したからだ。お互いにお互いを高め合いながら成長した結果が悲願のJ1昇格につながった。J2では日常となっていたあのスタジアムの熱狂がようやくJ1に上陸することになる。
ちなみに先日開催されたJリーグプレスカンファレンスで反町監督は「私たちは新入生なので、いじめられないようにがんばりたい」と新しいリーグへの意気込みをリラックスした表情で述べている。またJ1への復帰となる山口も3月4日の清水とのプレシーズンマッチの試合後に「そんなに重たくは考えていませんし、楽しみにしてます」と語っている。もちろんリーグ戦が始まれば過緊張状態に陥る選手もいるのだろうが、そうしたチームにあってこの二人の落ち着きはプラスになるだろう。
毎年スタートダッシュに失敗する新潟だが、今年のリーグ戦はどのような入りを見せてくれるのか。熱狂的なサポーターの応援ともども楽しみにしたい。
【新戦力・注目のキープレーヤー】
ある程度働きが計算できるのが、復帰する形でチームに合流することになった鈴木慎と寺川の両翼の選手だ。ともに新潟での活躍が認められて一足先にJ1への移籍を果たした選手で、その能力とともに厳しいJ1でのプレーの経験はチームにとって力になる。
左サイドハーフの鈴木慎も右サイドハーフの寺川も共にタテへの突破力を持つ選手であり、攻撃の起点としての活躍が期待されるが、特に注目してもらいたいのは寺川のドリブル突破だ。大きなストライドとともに特徴的な前傾姿勢でのドリブルは躍動感にあふれている。左右両方を使えるが、特に利き足の右足から放たれるクロスボールは大きな武器になるだろう。今年の新潟の両サイドからの攻撃は見ものである。ちなみに彼ら二人に対して反町監督は「前のチームでやってきたプレースタイルをうちのサッカーになじませる必要がある」と述べており、復帰した新潟で求められているサッカーを表現するにはもうしばらく時間がかかるかもしれない。
攻撃的なポジションの選手で言うと、J2得点王となったマルクスを放出してまで獲得したエジミウソンに注目したい。本人によると見てほしいプレーとして「センターバックの前でボールをもらって前を向き、勝負を仕掛けるプレー」をあげており、シュートに入る前のディフェンダーとの1対1の勝負が楽しめそうだ。ただし現時点では、2トップを組むことが有力視されている上野とのコンビネーションが十分に作れているとは言いがたく、開幕までにどれだけ完成に近づけられるのかがポイントになりそう。お互いのプレーの特徴をつかみ、エジミウソンは反町監督の戦術を早く理解する必要があるといえる。
C大阪ではストッパーで起用されていた喜多は、右サイドバックでのプレーが試されている。彼もまた「C大阪でのプレーの残像が残っている」(反町監督)とのことだが、フィードのタイミングは悪くなく、前に出て行ったときの裏のケアをうまくできるようになれば、戦力として使えそうだ。このポジションには三田がおり、彼との競争が激化することで、より高いレベルのプレーが見られることが期待される。
【開幕時の布陣予想】
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昨シーズンの活躍を見てもポストプレーヤーとしての上野ははずせない。彼とコンビを組むのは新加入のエジミウソン。「現時点では80〜85%」(エジミウソン)というこの2トップのコンビネーションを開幕までにいかに高められるのか。守備機会が増えるであろう新潟にとっては死活問題だ。
左右両サイドハーフは鈴木慎、寺川で決まり。ここにケガで出遅れたファビーニョが復帰した時にどうなるのか注目したい。
ボランチの一枚には山口が座るとして、そのパートナーとして広島から移籍の桑原が出場する可能性が高い。山口によるとブラジル合宿を通してプレーしており息は合ってきているとのことだ。
ディフェンスラインは2枚のセンターバックは昨年から引き続いて丸山、アンデルソンがコンビを組むことになりそうだが、両サイドバックは変化がありそう。
前述のとおり右サイドバックには喜多の起用が有力視されているが、左サイドバックでも昨年のシーズン中に加入し、新潟の攻撃の起点となっていた鈴木健に対して宮沢がポジション争いを挑んでいる。鈴木健のスタミナと精度の高いクロスは魅力だが、守る機会が増えることになるであろうJ1では正確なフィードボールの必要性は高い。そうした観点で見れば、正確な左足のキックを持つ宮沢はフィットするのかもしれない。
GKは驚異的な反応を見せる野沢で間違いないだろう。
2004.3.10 Reported by 江藤高志
以上
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