We shall return──。1年でのJ1復帰を合言葉に迎えた2003年。若き司令塔・山瀬とエースストライカーの小倉が抜けたものの、01年のJ1得点王・ウィルの復帰に加え、元ブラジル代表のベットとホベルッチを獲得してJ2屈指の陣容をそろえた札幌は、当然ながら昇格候補に挙げられていた。
ところが、開幕戦で横浜FCに1-3とまさかの黒星を喫すると、勝ったり負けたりでなかなか波に乗れない状態が続いた。そこにはいくつかの誤算があったわけだが、中でも大きかったのが外国人トリオの不出来だ。ジョアン・カルロス監督は、01年にチームをJ1残留に導いたウィルを中心にチーム作りを進めたが、大砲はケガで戦線離脱すると、挙句には暴力事件まで起してしまい、4試合に出場しただけで解雇。元ブラジル代表の2人も、指揮官の戦術にフィットすることができず、シーズン終了を迎えることなく、帰国した。そしてジョアン・カルロス監督も8月、成績不振の責任を取って辞任した。結局、戦い方を含め、最後までチームとしてまとまれなかった札幌は、屈辱の9位という結果で03年を終えた。
2年連続で外国人を含めた選手補強に失敗し、監督がシーズン途中に辞任・解任に追い込まれた事実を踏まえ、札幌は昨シーズン終了後、大きく方針を転換した。これまでは外国人選手に依存したチーム作りを進めてきたのだが、今後は目先の補強ではなく、若手育成を通じたチーム力の底上げに重点を置く。過去2年の失敗を糧に、長期的な視点に立って、安定した成績を残せるチーム作りを推し進めることにしたのだ。
それは今季の戦力補強からも見てとれる。外国人選手の補強は一切行なわず、入団したのはユースや高校・大学出身の、いわゆる“新卒プレーヤー”ばかり。そして彼ら原石を磨き上げるため、昨シーズン磐田で指揮を執った柳下正明氏を新監督に招聘した。柳下氏は今年の天皇杯決勝で磐田を優勝に導いているが、ユースやサテライトでの指導経験が長く、選手育成の手腕は高く評価されている。また磐田退団が決まった際、中山や名波らが留任を求めたというエピソードが話題になるなど、選手からの信頼も厚い。「5か年計画」を掲げる札幌には、うってつけの指揮官と言えるだろう。
では、新生・札幌は新指揮官のもと、どのようなサッカーを目指すのだろうか? 柳下監督が打ち出したのは「アクションサッカー」だ。これまでの札幌と言えば、前線に得点能力の高い外国人ストライカーを据え、全員で守備を固めてあとは前線の外国人に攻撃を託すという、カウンターを得意としていた。しかし、柳下監督は「攻撃的に自分たちから動き出し、自分たちが主導権を握って試合をコントロールする」ことを目指す。
もちろん、若手中心のチームが1年目から柳下監督の理想とするサッカーを完全に体現できることはないだろう。指揮官も「磐田も最初はこんな感じだった。強くなるまで3年くらいかかっている」と先を見据えている。
5年後にはJ1で安定した成績を残す──。今年はそのための土台作りに取り組む。
【新戦力・注目のキープレーヤー】
新戦力に関しては、前述のように今季新たに加わったのはすべてルーキーで、日本人も含めて移籍組はいない。ルーキーはいずれも将来性のある素材だが、中でもMF鎌田は持ち味であるスピード感溢れるドリブルを武器に、レギュラーの座に近い存在。道都大卒だが、高校卒業後に社会人チームで1年間プレーした経験がある。またDF河端は札幌大在学中の昨年、特別指定選手として札幌に在籍し、9月27日の湘南戦ではプロデビューを果たしている。1対1に強いセンターバックで、昨年の経験をうまく自信に変えることができれば出場機会も増えそうだ。
一方、キープレーヤーは数少ないベテラン選手たちになるだろう。平均年齢22歳と非常に若いチームだけに、彼がいかに若手を引っ張っていけるかが、チーム浮沈のカギになる。その意味で、今季からチームリーダーに就任した佐藤尽にかかる期待は大きい。地元・北海道出身の佐藤は最終ラインの統率者としてプレーでの面はもちろんこと、プロとしての心構えなどメンタル面でも若い選手たちに教えていくことが必要になる。それはチーム一の古株となった大森にも同じことが言える。
また若手で期待したいのはFW新居辰基だ。札幌ユースからトップチームへの昇格“第2号”の彼は、チームがJ1でプレーしていた02年4月20日の鹿島戦でJリーグデビューを果たすと、その試合でいきなり初ゴールもマークした。スピードを生かしたDF背後への飛び出しが武器で、名古屋のベテランDF秋田に「あの選手はスピードがある」と評価されたほど。また、何ごとにも動じない性格はプロ向き。2年目の昨シーズンはJ2でわずか3得点と結果を残せなかったが、オフにはブラジルへの短期留学も経験し、プレーの面でもメンタル面でも多くのことを吸収してきた。もう、柱となる外国人ストライカーはいない。昨季リーグ6位に終わった得点力のアップは、この若武者にかかっている。
【開幕時の布陣予想】
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基本フォーメーションは3-5-2。GKは昨季レギュラーの座をつかんだ藤ヶ谷で間違いないだろう。最終ラインは佐藤を中心にフィジカルの強さと高さが武器の曽田、クレバーな守備を見せる西澤で形成。中盤の底は左足からピンポイントパスを繰り出す三原と、成長著しい22歳の中尾のコンビになりそうだ。
攻撃を司るトップ下は昨年に引き続き砂川が務めることになりそうだが、両サイドのMFは混戦模様だ。左は2年目の尾崎とルーキーの鎌田が、右はともに2年目の岡田と市村の同期コンビが激しく定位置争いを演じる。
また2トップは、昨シーズンのチーム得点王・堀井はほぼ確定だが、パートナーは新居と相川のどちらかだろう。この2人がしのぎを削ってハイレベルな競争を繰り広げれば、弱冠20歳の2トップ誕生もあるかもしれない。
2004.3.10 Reported by スポマガ WORLD SOCCER
以上
札幌、鹿児島キャンプレポート
2004シーズン 開幕直前・クラブ別戦力分析レポート

















