2004年3月13日J1 1stステージ 第1節
広島 1-1 清水 (16:05/広島ビ) 入場者数 19,072人
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左サイドに流れてボールを受けようとした眞中に対し、森崎和がスッと身体を寄せる。眞中がヘッドで落としたボールをコントロールした森崎和の姿を見て、チアゴがスタートを切る。この時、森崎和とチアゴの間には、アイコンタクトが成立していた。
森崎和、ワンタッチで出したスルーパス。2人のDFの間を引き裂き、チアゴの走ってきた場所にピタリ、と合わせた。奪えそうで奪えないコースとスピード、優しいタッチで受け手のコントロールを容易にする森崎和のパスと、その森崎和の能力を信じ、彼からパスを引き出すために速い動き出しを見せたチアゴ。広島の紫のユニフォームに身を包んだ8番と10番、言葉の壁がある彼ら2人の間には、サッカーをやっているもの同士だけが通じ合える目に見えない糸が、はっきりとつながっていた。
スルーパスを受けたチアゴは、ストライカーらしいプレイを選択する。清水DF鶴見が、厳しく身体を寄せる。しかし、チアゴは構わず身体をぶつけながら縦にドリブルで走る。全くバランスを崩さないチアゴ。逆に身体を寄せてきた鶴見が倒れ、チアゴはそのまま内側に切れ込んだ。その時、PA内に猛然と走り込んできたのは、森崎和、眞中、そして松浦。強いタッチで放たれたボールをGK西部ははじいてしまう。
ビッグチャンス!だが、主審は鶴見が倒れたのをチアゴのファウルと認定。チャンスはゲームの番人の手で、取り上げられてしまった。
が、試合開始早々に見せたこのシーンに、新しい広島の魅力が凝縮している。起点は、吉田のロングパスだったが、そこから眞中→森崎和と、2本のワンタッチパスでチャンスをつくり、さらに「3人目の動き」で相手のスペースをつく。PA近くでは思い切って勝負し、さらに3人の選手が積極的に飛び込んでくる。
しっかりとしたコミュニケーション、速い判断、チャレンジする意欲。キャンプから取り組んできたコンセプトが、開始早々から形になったのだ。
特に、森崎和とチアゴの間の信頼関係は、時間を重ねるごとに揺るぎないものとなっていく。10分には、この二人でビッグチャンスをつくった。スローインを受けようとしたチアゴは、しっかりと森崎和のポジションを見て、ヘッドで正確にボールを落とした。一方、そのボールをキープした森崎和は、チアゴの方を見ない。チアゴのクレバーなポジション感覚と戦術能力を信じ、相手に囲まれながら、2タッチでノールックパスを右足アウトサイドで流した。ボールは、チアゴの走るスペースにピタリと落とされた。
フリーになったチアゴの放ったシュートは、コントロールを重視し力をセーブして放たれたもの。西部の好セーブにゴールを阻まれはしたが、チアゴのゴール前での冷静さが際立っていた。が、それもさることながら、森崎和が本来持っている攻撃的な能力とクリエイティブな才能を、チアゴのサッカーでのコミュニケーション能力と頭脳的な動きが引き出していた。それが、広島の未来にとって、大きな財産となりつつある。
広島のよさは、それだけではない。中盤での強烈なプレスで清水に自由を与えず、ワンタッチパスで速くボールを回す。全体が流動的に動き、「3人目の動き」があらゆるところで起こる。そして、意識が何よりも攻撃的だ。それは、攻めにかかった時だけではない。守備でも後ろに下がるのではなく、自分たちの意図で相手にボールを動かさせ、意図した形でボールを奪うことができていた。特に前半は広島のこの組織的な動きが抜群に機能し、清水にほとんどチャンスらしいチャンスを与えず、シュートわずか1本に押さえ込んだのである。
後半は、広島の運動量が落ちたこともあって、中盤にスペースができたために、清水にも決定的なシーンが生まれ出した。が、広島の新外国人選手・チアゴが圧倒的な存在感でピッチ上に君臨したのに対し、清水のブラジル人トリオの輝きは薄い。元セレソンの肩書きをもつアラウージョは途中交代を余儀なくされ、ジャメーリは同点ゴールのアシストこそあったものの、あとはミスを繰り返していた。ファビーニョも広島の中盤を抑えられず、チャンスの芽を摘むこともできなかった。アントニーニョ監督が「引き分けでよし、としなければ」とホッと胸をなでおろしたのも、この試合内容を見れば至極当然のことだった。
「こういう試合だから、絶対に勝ちたかった」。記者会見で、小野監督は悔しそうに言葉をしぼり出した。しかし、2年ぶりのJ1の舞台で広島が表現したサッカーは、約2万人を飲み込んだビッグアーチのサポーターに、可能性と夢を与えたことは間違いない。なにせこの美しいサッカーを演じた舞台に立った役者たちはまだまだ呼吸を合わせられる余地は十分に残しているわけだし、何といっても森崎浩司・大木勉・駒野友一といった主役級の役者が、まだこの舞台に立っていないのだから。
2004.3.13 Reported by 中野和也
以上
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