6月19日(土)J1 第14節 広島 vs 新潟(15:30KICKOFF/広島ビ)
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昇格チーム同士の対決、と言っても、おそらく両チームともそういう感慨はないだろう。広島は鹿島・横浜FMというJ1強豪チームの高い壁にぶつかり、5月を3勝2分で乗り切った勢いを消沈させた。新潟は前節、99%手にしていたホーム初勝利をロスタイムで失った衝撃に打ちのめされた。J2で戦っていた昨年、この両チームは戦略と闘志の限りを尽くした名勝負を繰り広げたのだが、しかしそれはすでに過去のこと。小野監督(広島)にしても反町監督(新潟)にしても、ある意味ショック状態にあるチームを建て直すためにも、この試合で勝ち点3をとることしか、考えていないだろう。
現在のチーム状況を考えてみる。まず広島。新潟戦には、主力がそろわない。3バックの要・リカルドが出場停止。FWチアゴはケガが長びいており、おそらく出場は無理だろう。さらに、森崎和幸が横浜FM戦の終盤に足を痛めていたことも気になる。特に大きいのが、リカルドの穴だ。リーグ第3位の失点数を誇る広島のディフェンスを、優れたカバーリングセンスとスピードでリカルドは支えてきた。その彼の替わりができる人材は、正直いない。
考え方としては、二つある。一つは、4バックにシステムを変えて臨むこと。リカルド抜きの4バックは、練習の中で何度かやったことがあるし、新潟が3トップ気味のシステムを採用していることからも、システム変更の可能性はある。もう一つは、3バックのまま、リカルドのポジションに新しい選手を投入すること。駒野・服部という両アウトサイドのタレントを高い位置におけることもアドバンテージだ。しかし、どちらにしても、ほとんど修正の時間がないのが、辛い。
また、チアゴ不在も大きな痛手だ。「チアゴを中心に攻撃をつくり、その精度があがってきていた。それだけに彼がいないのは、正直痛い」と小野監督。高さと技術を兼ね備え、前線でのターゲットとして機能していたチアゴの不在は、シャドーストライカーに位置してゴールに絡んでいた森崎兄弟のプレーにも影響を及ぼしている。「彼がいないと点が取れない、というのでは、話にならない」と小野監督は語るが、チアゴもまた替わりのきかないプレーヤーだけに厳しい。
一方の新潟。ほぼベストメンバーで戦えるのは、大きなメリットだ。ただ、気になるのはベテランが多いこと。前節の先発メンバーで30代の選手が5人を占めているが、彼らベテランにとって8日間で3試合、大分→新潟→広島という移動は厳しい。
もちろん彼らは、そのあたりの調整方法も心得ているだろう。が、そうは言ってもこの暑さの中でのコンディション維持は、ベテラン選手だけでなく若い選手にとっても難しい。まして土曜日の広島はジメジメした空気が支配しそう。スタミナ面は、新潟だけでなく広島にとっても、一つの鍵を握るかもしれない。
昨年、反町監督は広島の良さを徹底して消す戦術で臨み、3-1で快勝した経験を持つ。あの時は、広島のストロングポイントである中盤を徹底して押さえ込み、高いラインの裏をつくカウンターで得点を重ねた。この経験を活かし、今回も広島の中盤に仕事をさせない形をつくってくるだろう。特に今年の新潟には、広島の中盤を知り尽くしている桑原裕義がいる。森崎兄弟の性格や癖まで把握している彼の存在は、広島にとっては厄介だ。
攻撃陣を見ると、昨年のリーグ後半から「点取り屋」としての才能が花開き、前節も2得点をあげている上野の勝負強さは要注意だし、チームトップの4得点をマークしている若きストライカー・エジミウソンも不気味だ。それに、今年新潟に戻ってきた寺川と鈴木慎というアウトサイド・アタッカーも強力。昨年の新潟に対して通用したことは、今年は通用しないだろう。
この試合を最後に、セザール・サンパイオが広島のサポーターに別れを告げるということで、クラブは彼のためにセレモニーを用意している。また、サポーターも、サンパイオとの別れを惜しむべく、精一杯の声援を彼に降り注ぐことだろう。ワールドカップ・ファイナリストの肩書きをもちながら、あえて昨年、当時J2の広島に移籍、広島のJ1昇格に多大な貢献を果たした偉大な英雄・サンパイオ。彼のためにも、広島は絶対に、勝ちにこだわりたい。
攻守の要を欠く新潟戦において、広島はかなり厳しい立場に立たされている。それでも、チームすべての力を結集させて戦い、サンパイオに捧げる勝利をもぎとりたい、と選手たちは思っている。こういう苦しい時、サンパイオがどんな言葉をかけ、どんな行動をとって、チームに貢献したのか。今の広島の若者たちは、みんなその目で見ていたのだから。
以上
2004.06.18 Reported by 中野和也
J’s GOALニュース
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