7月24日(土)ヤマザキナビスコカップ第6節 Aグループ
広島 1 - 3 東京V (18:00KICKOFF/広島ス) 入場者数5,583人
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ズドーン、という音が、広島スタジアムに響きわたった。それは、広島サポーターの大歓声でもあったし、高柳一誠が放ったそのシュートのすさまじさが招いた耳鳴りだったのかもしれない。
高柳はまだ17歳、広島ユースの選手だ。U-19日本代表ではボランチとして起用されているが、もともとはアウトサイドのスペシャリストとして育てられてきた選手だ。五輪代表に招集された駒野の代役を探し続けている小野監督にとって、高柳は「とにかく試してみたかった選手」(小野監督)。これまでU-19やU-18日本代表に招集され続けてきたために、スケジュールがかみ合わなかった。この日の起用は、小野監督にしてみれば奇策でも何でもなく、必然だったし、満を持した起用だったのである。
が、前半は厳しい戦いを強いられた。この試合に勝利すれば、ほぼ決勝トーナメント進出を手にすることができるという意識が強く働きすぎたのか、チーム全体を過緊張が襲っていたこともあり、いつものアグレッシブな広島のサッカーが全く表現できなかった。そういうチームのムードに、ただでさえデビューの緊迫感に覆われていた高柳はさらにガチガチになっていた。
東京Vは、徹底して高柳のサイドを狙ってくる。相馬が高い位置にポジションをとり、その裏から平野がどんどんオーバーラップを仕掛けてきた。「スピードだけならユースにも速い選手はいるけれど、トップの選手には強さがある」と高柳の言葉どおり、そのフィジカルの強さに彼は圧倒されてしまう。自然とポジションが下がり、それに引きずられるようにチーム全体のゾーンも引いてしまい、結果的に東京Vのボール支配を許してしまった。先制点のPKも、高柳のサイドからフリーで入れられたクロスをきっかけに奪われたものだ。
しかし、前半24分にベットが投入されて3-5-2になってからは、高柳のプレイは変わった。「預けて走る」は、広島のパスサッカーの基本なのだが、その預けどころがはっきりとしたことで、サンフレッチェ・サッカーの申し子というべき高柳のプレイが、明確になった。それまで、相手の圧力に押されまくっていた高柳だが、ベットがボールをキープしてくれることで前にどんどん飛び出していけるようになったのである。
後半、高柳のプレイはさらに輝きを増す。前半はペナルティエリア近くまでしかいけなかった高柳だが、ハーフタイムを挟んで「超攻撃的」と表現していいアグレッシブさを増していた。
54分、右サイドを高柳は果敢に攻め込む。長いパスにラインのギリギリで追いつき、完ぺきなクロス!惜しくもゴールにはならなかったが、このプレイによって高柳のエンジンにガソリンが注ぎ込まれた。
71分、森崎和のロングパスに反応して飛び出した高柳は、相馬とウベタに囲まれてもあきらめず、切り返しで突破し、クロス。高柳の果敢なチャレンジに、スタジアムはどよめきと拍手が巻き起こった。
この試合、1-3で広島は東京Vに敗れ、決勝トーナメント進出はならなかった。ベットを中心に攻め込み、本来のスピーディな攻撃を構築したにもかかわらず、安易なミスで失点を重ね、広島はまたも東京Vの前にヒザを屈した。「東京V相手だといつもこうなる。当然、そうなるには理由がある」と小野監督は語っていたが、東京Vの緩急をつけたゲーム展開の老獪さに、まだ青さの残る広島の若者たちが翻弄されている、と見るべきだろう。
しかし、若さは時に思いもかけない状況を引き起こす。ベットの落としに対して飛び込んだ高柳のミドルシュートは、まさに若いパワーの爆発だった。決して角度がある場所ではない。しかし、高柳はクロスなど全く考えていない。こぼれてきたボールに思い切り、右足をぶつけていった。ボールは、強烈なドライブがかかり、あっという間にネットに吸い込まれたのだ。
このゴールがなかったら、おそらく広島スタジアムはもっと怒号に包まれていたに違いない。老獪さに押しつぶされ、チャンスを作りながらノラリクラリと逃げ切られたこの試合に対するサポーターのストレスは、頂点に達していたことだろう。その苛立ちを少しでも和らげることができたのは、ビビっていた前半とは全く違う姿を後半に見せてくれた、17歳の少年の思い切りだった。
確かにこの試合は、東京Vの経験に広島は敗れた。しかし、高柳のような若者が次々と現れてくる広島のNEXTは、違う。そういう予感を漂わせた、敗戦の夜だった。
2004.07.24 Reported by 中野 和也
以上
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