7月27日（火）J2 24節 福岡 vs 大宮（19:00KICK OFF/博多球）
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　勝ち点3差以内に5チームがひしめき合うという、まれに見る大混戦が続くJ2の2位争い。その激しい争いに身を置く福岡と大宮が博多の森で顔をあわせる。第3クールで混戦から抜け出し、J1昇格のゴールに向けて一気に走り抜けたい両チームにとっては負けられない試合。どちらに軍配が上がるにせよ、激しい試合になることだけは間違いなさそうだ。

　今シーズンの両チームの戦いぶりを振り返ってみると、その状況は驚くほどよく似ている。ほとんどの試合を有利に進めながら、欲しいときに得点が奪えず、自らリズムを崩したところで守りきれずに失点を喫し、結局は勝ち点を落とすということを続けてきた。ボールを支配して相手の隙をうかがい、ポストプレーからシンプルにボールを回してサイドへ展開するというサッカーはできているのだが、それが結果に結びつかないままにシーズンの半分を消化した。

　しかし、ここへ来て両チームの状況に差ができつつある。
　
　大宮は苦しいシーズンを送りながらも第2クール終盤を4連勝で飾り、次第にサッカーの内容に結果が伴うようになってきた。ゴールを奪う最後の気迫。勝負どころで守りきる粘り強さ。これまで何度となく指摘されてきた課題を克服しつつある。第3クール初戦の仙台戦では引き分けたが、これは開始直後に数的不利に追い込まれ、常にリードを許すという展開から追いついたもの。その気迫あふれるプレー振りは、チームが上昇気流に乗っていることを表している。

　対する福岡は、相変わらず厳しい状況が続く。16節から19節まで4連勝を果たし、一時は2位争いから抜け出すかと思われたが、その後、再び失速。仕切り直しになるはずだった前節の京都戦では、我慢比べの試合でチャンスを決められず、自分たちのミスから決勝ゴールを奪われた。試合内容自体は悪くはないのだが勝ちきれないという課題は依然として残されたままだ。「最後は気持ちの問題」しかし、これを表現できずにいる。昨年の後半に見せた爆発的な強さをどうやって取り戻すか。それが大きな課題になっている。

　だからといって、大宮が有利とはいえないところが今年のJ2だ。これまでを見ると、どのチームも3〜4試合をサイクルに好不調の波がやってくる。どのチームにも抜け出すチャンスがあり、しかし、どのチームもチャンスを掴み損ねては混戦模様に拍車をかけているからだ。そういう意味では、大宮にとっては一気に抜け出すきっかけを掴む大事な試合。そして福岡にとっては、再び上昇気流に乗るための譲れない一戦になる。

　ポイントは2つ。ここまで固定したメンバーで戦ってきた大宮は、次節はトゥットと若松が出場停止。この穴をどうやって埋めるのか。とりわけ、トゥットの出場停止は攻撃面に大きな影響を与える。攻撃をバレーに頼らざるを得ないようだと再び決定力不足という癖が顔を出す危険性が高い。シーズン途中で移籍してきた盛田、あるいは、高橋泰や横山聡らがトゥットの代わりを務めることになるだろうが、どこまでバレーをフォローできるかが鍵を握る。

　もうひとつは、ホームで戦う福岡がサポーターの声援を力に代えて気迫あふれる戦いを挑めるかどうか。技術・戦術はJ2屈指であることは誰もが認めるところ。いつものように戦えば、大宮相手でさえ、主導権を握り、決定的なチャンスを作り出すことは間違いない。対戦成績も1勝1分と分がいい。問題は、フィニィッシュのところで身体ごとボールを押し込むようなプレーができるかどうか。気迫を表現できるようになれば、大宮戦はもちろん、2位争いから抜け出すことは難しいことではない。

　2位の甲府に勝ち点3、大宮には勝ち点2差をつけられている福岡にとっては、敗戦はJ1昇格争いから一歩も、二歩も後退することを意味する。どんな事情であれ、ホームゲームでの敗戦はサポーターが許さないだろう。その危機感をプラスの力に変えることが福岡に求められていることだ。いずれにせよ、両チームともディシプリンのあるチーム。極端にどちらかに天秤が傾く試合にはならないはず。結局は、勝つという気持ちの強いチームにサッカーの神様が微笑むことになるだろう。
　
以上

2004.07.26 Reported by 中倉一志