8月1日（日）レアルマドリード ジャパンツアー2004 東京Ｖ vs レアルマドリード（18：56KICK OFF/味スタ）
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考えてみてほしい。『本当に本当に本当に』楽しみなことが明日訪れるとしたら。しかも、あり得ないと思っていたこと、想像だにしなかったことが実現する時、人はどんな気持ちになり、どんな表情をするのだろうか？　それが仮に自分だったら？　想像するだけで、顔がにやけて来はしないだろうか？
日本サッカー界においては最高峰のＪ１リーグ、それも歴史と栄光に彩られた東京ヴェルディ1969に所属し日常を戦う選手たちにとってさえ、明日に控えた『銀河系選抜』レアルマドリードとの対決は楽しみでならないもののようだ。

まずは、チーム日本人最年長のMF林健太郎。いつもクールに構え、言葉少なに記者陣の前を立ち去る彼だが、「全員が楽しみにしてると思いますよ」と言いつつ、この日は緩んだ表情を見せた。チーム最年長はまるでサッカー少年のような笑顔を見せ、早々にクラブハウスを後にしたが、その後に帰宅する選手たちの笑顔も負けてはいなかった。

先発が予定されるFW桜井。練習後、まるで気配を消したかのようにささっと帰宅する彼も、今日ばかりは笑みをたやさず語る。
「ピッチで一緒にやって初めて分かることを感じたい。とにかく勝負していきたい」自慢のサクドリ（サクライ・ドリブル）が炸裂するだろう。
「やばいよね、いつもしないような勝負もしちゃいそうだよ」と言うのは、ここ2試合連続ゴールを決め、好調のMF小林大だ。「ポジション的にもどんどん勝負して行けと監督から言われている」という彼。本来の持ち味であるパスセンスだけでなく、明日は果敢に勝負をかけていくシーンにも注目したい。
98年フランスワールドカップ出場、既に30歳を迎えたMF平野でさえ、「もちろん代表戦とは違うけど、今までのサッカー人生でいちばんわくわくしてるね」と、興奮を隠さない。

確かに、公式戦の真剣勝負とは違う。アルディレス監督も「特別な試合だから、ピッチに立つことを楽しんでほしい」と言い、「自分より上のレベルから得られるものを吸収し、自分のレベルを確認してほしい」と、この試合ならではの課題を選手に託す。

「やばいっす。試合が決定してから3か月間、このために捧げてきました。外出も控え、ひたすらトレーニングしてきました」とにやけた顔で語るのはベンチスタートのMF玉乃。
アトレチコ・マドリードユースに所属した経験を持つ彼は「アトレチコ時代はともかく、僕はレアル派。昨季は全試合テレビで見てるんで、ベンチからさけびまくりますよ。もちろん少しでもいいからピッチに立ちたい」にやけた顔を引き締めた。そしてさらに「市原戦みたいな展開で、真剣勝負に持ち込みたいですよね」と続けた。

7月29日に国立競技場で行われた市原 vs レアルマドリード。前半6分に市原FWマルキーニョスに決められ、レアルマドリードは本気を出した。その後は試合を支配し続け、結局1-3の勝利を収めた。来日自体、「ジャパンツアー2004」などと銘打ち、興行目的主体の印象があるが、試合そのものはそうはいかない。スペイン帰国後、親善試合1試合をはさみチャンピオンズリーグの予選3回戦が10日（もしくは11日）には行われる。チーム内のポジション争いも、もはや最終段階だ。
火曜日に来日、木曜日に行われた市原戦よりはコンディションもよく、スペイン地元紙マルカも東京V戦にはジダン、ロナウドも出場するとの見方だ。今季からカマーチョ監督に代わり、レアルの弱みと言われたディフェンスに新戦力サムエルを獲得。市原戦ではディフェンスラインの押上げを徹底しようとするものの、いまひとつコンビネーションが合わなかったところが唯一の弱点か。
東京Vはチームとして、自慢の中盤でのパス回しがレアル相手にどこまで通用するのか試したいところ。「中盤の支配率にはこだわりたい」とMF小林慶が語る中盤対決にも注目したい。

レアル戦を翌日に控え、東京Vの選手たちはサッカー少年の面影を取り戻し、若手もベテランも一様に笑顔でクラブハウスを後にした。
「普通ではあり得ない試合、プロになってほんとに良かった」と無邪気に喜ぶ彼等のピュアな本気が炸裂する。
キックオフは明日、8月1日18時56分だ。

2004.7.23 Reported by 了戒 美子


以上