8月8日(日) 2004 J2リーグ戦 第26節
福岡 1 - 0 甲府 (19:00/博多球/9,722人)
得点者:'85 山形恭平(福岡)
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キックオフ時点で気温29.0度、湿度71%。サッカーをするには過酷と言える気候条件の中での試合は、どちらが最後まで辛抱できるかという我慢比べの試合になった。立ち上がりこそ、甲府は藤田と土橋がポジションチェンジを繰り返しながらサイドから攻め上がる姿勢を見せたが、それも15分まで。以降、自陣に下がって必要なとき以外は前に出るそぶりを見せない。まずは守備を固めて失点をしないことに重点を置き、相手の隙を見つけたらカウンターを仕掛けるのが狙いだ。
「前半は我々のプラン通りの内容だった」(松永英機監督・甲府)
こういうパターンに甲府はめっぽう強さを発揮する。そして、この我慢強さを武器にして、福岡に対して今年は1勝1分の成績を残している。この日も、福岡にボールをキープさせるものの、決してチャンスを与えない。派手さはない。しかし、11人が連動して作り上げる守備網に福岡をしっかりと絡めていく。あとは仕掛けるチャンスを待つだけでいい。辛抱強くチャンスのときが来るのを待つのは、甲府のお家芸だ。
「甲府はチームワークであるとか、我々が目標としているディシプリンの高いチーム。そのディシプリンの部分で相手に負けなければ、(試合は)絶対に負けない」(松田浩監督・福岡)。
この日の福岡はいつもの福岡とは違っていた。ボールを持たされてもムキになって攻め込まない。丁寧にシンプルにボールを回して隙を窺う。前線への縦パスが思うように入らないが、それでも慌てず、ボールをしっかりと回して同じことを繰り返す。ディシプリンを意識して、11人が決まりごとを確実に繰り返す。無理はせず。そしてあくまでもセーフティに。
無理をして攻め上がればバランスが崩れる。しかも、この暑さでは激しく動き回ることは体力の消耗につながり、それは後半の戦いで後手を踏むことを意味する。互いに仕掛けるべき時間帯を探るような時間帯が続く。結局、前半に放ったシュートは、福岡の2本と、甲府の3本。そして勝負は後半に持ち越された。決定機と呼べるほどのチャンスは互いになかったが、それも両チームは承知の上。ともにまずは無失点で行くという狙い通りのサッカーで前半を終えた。
我慢比べの続く試合。しかし、後半に入ると両チームの間に徐々に違いが見え始める。後半開始直後に、福岡はエジウソン、ホベルトとつないで右サイドへ展開。平島が右サイドを駆け上がる。さらに、オフサイドになったものの、林が絶妙のタイミングで甲府DFの裏を取る。そして50分、エジウソンが大きく左へ展開すると、古賀が左サイドを突破してクロスボールを上げる。暑さのせいか、ゴール前でのキレを欠き、得点にはならないが、福岡が少しずつ自分たちの形を表現し始めたのだ。
もちろん甲府も、堅い守りからのカウンターという自分たちのサッカーを展開する。しかし、消耗しきった両チームは最後の詰めに割く力を持ち合わせていない。それでも、福岡が優位に試合を進めたのは、甲府よりも少しだけ攻撃に対する意識が強かったからだ。「半分は0−0で終われれば、すごくいい試合じゃないかなということも思っていた」。松田監督は引き分けも視野に入れていた。しかし、選手たちは辛抱強く我慢しながらも、わずかな隙を突く姿勢を常に持ち続けていた。
それは目立った差ではなかったかもしれない。しかし、絶えず前に出る姿勢を維持することで、福岡は甲府に無言の圧力をかけ続けた。そして、75分、古賀に代わって宮崎が登場すると流れがぐっと福岡に傾く。そして85分、ペナルティエリア内でスローインを受けようとした太田をアライールが抱え込むようにして倒した。判定はもちろんPK。甲府が我慢比べに痺れを切らした瞬間だった。この瞬間、福岡の事実上の勝利が確定した。
勝った福岡は勝ち点40の4位に順位を上げ、同じく勝ち点40の甲府は、得失点差で3位。しかし、多少の順位の変動があったとはいえ、2位の大宮から7位の仙台まで、勝ち点差4の間に6チームがひしめき合うという混戦模様は変わらない。「得点というのは水物。それよりも、まずは無失点で試合を進めるということのほうがJ2のリーグでは大事」。松田監督は試合を振り返ったが、特に真夏のリーグ戦、しかも8月だけで7試合も消化するというハードスケジュールの中では、守備の計算が出来るチームが確実に勝ち点を稼げることは間違いない。
休む間もなく、水曜日にはまた厳しい戦いが待っている。精神的な疲労に加えて、肉体的な疲労までもが選手に降りかかる。そんな中での我慢比べは、想像以上の負荷が選手たちにかかっていく。しかし、J1昇格争いはここからが正念場。この我慢比べを制したものにだけJ1昇格のゴールが待っている。果たして、どのチームがこのサバイバル戦に生き残るのか。J2の2位争いからは目が離せない。
2004.8.9 Reported by 中倉一志
以上
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