10月17日(日) 2004 J1リーグ戦 2ndステージ 第9節
広島 2 - 2 G大阪 (14:02/広島ビ/12,224人)
得点者:'15 小村徳男(広島)、'33 森崎浩司(広島)、'51 吉原宏太(G大阪)、'57 吉原宏太(G大阪)
----------
ナビスコカップ準決勝の東京ダービーのように、3-0から同点に追いつくことも、まれにサッカーにはある。しかし、同程度のレベル同士のチームの対戦であれば、3点差がついてしまうと、ほぼ勝利は確定する。しかし、2点差はサッカーにとって「危険な点差」。Jリーグでも2点差を追いつき、追い越されるというシーンは、日常でよく見ている。そういう意味で「3点目」というのは、サッカーにとって大きなポイントだ。
広島が「勝ち点2を落とした」のは、もちろん、吉原宏太のスピードを抑え切れなかった、という要素もある。しかし、最大の要因は「3点目」をとれなかったことだ。そして実は、その3点目をとるチャンスは前半に何度も訪れていた。
33分、大木の完璧なスルーパスに飛び出した森崎浩司が豪快にシュートを突き刺して2点差とした直後、同じように大木がまたもスルーパスを出す。今度は服部が飛び出し、決定的なシュート。44分には、CKから大木が飛び込んでシュートをネットにたたき込んだが、ハンドの判定。さらにロスタイム、駒野のラストパスで大木がフリーになる。しかし「あまりにフリーだったため、力が入ってしまった」(大木)ために、シュートをミスしてしまった。
サッカーの神様が、広島に「さあ、点をとりなさい」とメッセージを発していた前半。しかし、広島は2度まではそれをモノにしたが、3度目は手中にできなかった。それによって、運命の流れはゆっくりとG大阪へ、動いていく。それが、広島に与えられた試練だ。
前半途中から、G大阪は左サイドに二川を回し、吉原をFWにいれる。後半、この形が機能した。51分、ミスパスを拾ったG大阪が遠藤のパスを起点にして二川が突破し、クロス。大黒が真ん中でDFを引きつけてスペースをつくり、そこに吉原が飛び込んでダイレクトボレー。ネットに突き刺さった。さらに57分、最終ラインにいた山口の縦パス1本に吉原が飛び出し、スピードで突き抜けてシュート。G大阪があっという間に、同点に追いつく。広島に与えられた試練は、厳しいものだった。
その後、広島はG大阪の猛攻にさらされる。ゴールエリアまで切り込まれ、ゴールまで1メートルというところまで迫られたこともあった。二川に2メートルの至近距離からシュートを打たれ、下田がはじき返したこともあった。
特に、この日コンディションが悪い駒野のサイドを、二川に攻め立てられてしまい、そこから決定的なシーンをつくられた。小野監督は、吉弘を右サイドに入れて二川対策をほどこし、さらに運動量が落ちている中盤を活性化させるために、李を投入した。しかし、それでも二川の勢いは止められない。吉弘は対応に追われ、リカルドは引き出され、ペナルティエリア前の守備ブロックは崩壊寸前に陥った。
それでも何とかG大阪に「3点目」を与えなかったのは、下田と小村を中心とする「絶対にゴールを割らせない」という気迫だった。ゴール前に何度も迫られても、決してパニックにならずに互いに声をかけあい、ギリギリのところで跳ね返す。大黒に嵐のようにシュートを打たれても、粘り強く落ち着いて処理する。ベテランで固めた守備ラインは、確かに吉原のスピードにやられはしたものの、その後は崩れ落ちそうになったディフェンスを、広島ユースの森山監督流に言えば「気合いと根性」で跳ね返し続けた。
それだけではない。跳ね返してマイボールにした後は、少しでも、1メートルでも前に押し上げよう、という意志を見せた。彼らの頑張りに呼応し、全員が球際で勝負し、気迫を持って戦い続けた。そういう気持ちを見せたからこそ、広島が失った勝ち点は「2」でとどまった、と言っていい。
サッカーの神から授けられた愛を、自ら手放してしまった観のある広島。しかし、ズタズタになりながらも執念と粘りを見せ、年間順位3位の相手から勝ち点1をもぎとった。本来は3ポイントとれた試合だっただけに、広島サポーターにとっては歯ぎしりする思いだったはずである。しかし試合後、肩を落として挨拶にやってくる選手たちに対して、バックスタンドやメインスタンドのサポーターは、大きな拍手で迎えた。さらに、前回のホームゲームで応援拒否を貫いたサポート・リーダーたちからも、拍手が贈られた。広島の選手たちの気持ちは、確かに見る側に伝わっていた。
広島は、確かに健闘した。それは何より、浦和を追うためには痛すぎる引き分けを喫したG大阪の選手たちが、悔しさをあらわにして引き上げたことが、証明している。
しかし、せっかく素晴らしいサッカーから2点を先制したのに、フワッとした雰囲気の中で失点し、広島が勝てる試合を引き分けてしまったことは事実。こういう試合を、確実に勝ち点3につなげていく勝負強さ、巧妙さを身に付けていかないと、広島は上位に進出できない。若さが、勢いではなく未熟さとなって、出てきてしまっている。それが、今の広島の厳しさである。
以上
2004.10.17 Reported by 中野和也
J’s GOALニュース
一覧へ【J1-2nd:第9節 広島 vs G大阪 レポート】広島2点リードも「3点目」を取れず。G大阪にとっては痛い引き分け(04.10.18)















