11月13日(土) 第84回天皇杯4回戦
ベガルタ仙台 0 - 1 FC東京 (13:00/仙台)
得点者:阿部 吉朗(F東京)
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「加地が上がってきた時は…やってみないとわからないっすね」
3バックの左に入った小原は、試合を2日後に控えた木曜日に、笑いを浮かべながらこう語っていた。
ケリー、あるいは石川が仙台の左サイドから仙台ゴール目掛けて突出してきた際、その選手に対処するために左サイドで一人余るという、言わば「左サイドのスイーパー」的な役割を持っていた小原にとって、加地の「進撃」は確かに懸念の一つではある。
しかし、前述の発言の裏をあえて読むとすれば、こういうことだったのだろう。「そもそも前目の選手を抑えてこそ、サイドバックが上がってこざるを得ないシチュエーションが生まれるわけで、話はそれからだ」
その目論見は少々外れたかもしれない。
カウンター狙いという大きなくくりでは一緒だが、仙台が「肉を切らせて骨を絶つ」的な、まずしっかりと自陣深く引いた上で相手の攻勢を呼び込み、その上でスカスカになった相手守備陣を素早く襲うという発想ならば、F東京のそれは「殺られる前に殺る」とでも言おうか。相手が自陣で攻撃の準備を整えている段階から高い位置でプレスをかけて急襲、狼狽する相手に乗じてそのままゴールをこじ開けてしまうという「攻撃的な守備」(原監督)がモットー。前でボールが奪えるのならば、後方からの攻め上がりも自ずと積極的になる。序盤のF東京は、まさにその状態だった。
自陣に引くあまり前線へのボール供給もままならず、相手エンドでボールキープすることすら叶わない仙台を尻目に、F東京は序盤から積極的な攻撃を仕掛ける。特に右サイドだ。梁と菅井でそれぞれ石川、ケリーを捕まえ、あふれたら小原…と考えていたところに、恐れていた加地、さらにボランチの三浦まで飛び込んでくるのだからたまらない。
ただ、仙台のゲームプランも「引いて守って耐えて」だと考えるのだとすれば、こういう状況の中で失点を許さずに踏みとどまるのは、まさに仙台の想定どおりの展開だ。
また、試合後に敵将である原監督が絶賛したように、この日の仙台は選手一人一人に気合がみなぎり、球際の争いでも決して引かない。前半23分にはボールを奪ったところでファールを取られた中田が声を張り上げ、異議として警告を受けるも、今思うとこれも気合の表れだったと言えなくもない。
内容でも決して負けてない。「チャンピオンチーム」を打ち負かすことができるかもしれない。可能性を確信した仙台の選手たちは徐々にF東京を押し返していった。
やがて、仙台の時間がやってくる。それも何度も。
1つ目の波は前半25分辺りから。負傷をおしてトップ下で出場したシルビーニョがフリーになるシーンが目立ち始め、彼のパスセンスが輝き出す。と共に前線との連係が形になり始める。浮き球スルーパスを受け、GK土肥との1対1を掴みかけた佐藤は、シュートの形に持って行くことこそできなかったが、それでもF東京を脅かすには十分だった。
このペースは10分ほどで一度潰えるが、2度目の波は後半11分のこと。原監督がリスク覚悟で取った策が、仙台の攻勢の呼び水となった。前線に起点が欲しかった原監督は、2人目のトップとして阿部を投入。代わりに三浦を下げたことで中盤の底が今野1枚になった。それにより守備の負担が増えた石川、戸田の両サイドが後方に引っ張られ、サイドアタックの迫力が低下。結果、仙台の両サイドで守備に負われていた梁、中田の2人が積極的に前へ出始め、仙台の攻撃に前半にはなかった厚みが加わり出した。
それでもゴールを決められない仙台に訪れた最後の波。それは茂庭の負傷退場だった。慌てて増嶋を投入するものの、元々ジャーンを負傷でメンバーから欠いた上に茂庭までもが離脱ということでF東京のゴール前から安定感が消えた。
だが、守備的なカウンターを戦術とするチームは、もともと得られるゴールチャンスが少ない以上、そのわずかな決定機を逃し続けることで「報い」が必ずやってくる。
さらに、切り札である関口を投入するために、菅井を外した仙台。これによってボランチの位置にシルビーニョがスライドするのだが、病み上がりで疲労困憊のシルビーニョが、ケリーに対しての守備をこなさなくてはいけない状況が生まれてしまった。
流れはじわじわとF東京へ。同時に仙台の選手にも「ガス欠」が目立ち始める。それでも90分耐えられれば、延長に可能性を見出すこともできたが、後半41分、仙台は決定的なミスを犯してしまう。センターサークル付近から大柴が放った後方へのパスがコントロールを欠き、そのままF東京の阿部へのスルーパスとなってしまった。仙台も一応、3枚のDFは残っていたが、スピードに乗った阿部はその守備陣を完全に抜き去った上、GK高桑との1対1にも冷静に対応、決勝点となるゴールを突き刺す。残り時間は約5分あったが、仙台にもう余力は残っていなかった。
結果を分けたのは終盤の集中力、ということになるだろう。F東京がこの神経戦に勝利できたことは、初タイトルを苦しみ抜いて勝ち取った経験も無縁ではないかもしれない。
一方で、序盤に一度ペースを握られたとは言え、後半41分までの仙台の奮闘も見事だった。この高いテンションを90分間、そして1シーズンに渡り継続することができるのなら、仙台は必ず来季も昇格争いに参戦するはずである。
とはいえ、今日の試合を例に挙げれば…この「86分間」を「90分間」にすることこそが、チームにとっては本当の戦いなのだ。
以上
2004.11.13 Reported by 佐々木聡
J’s GOALニュース
一覧へ【天皇杯4回戦:仙台 vs F東京 レポート】終盤の集中力でチャンスを生かしたF東京が、奮闘の仙台を退ける(04.11.13)
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