第83回全国高校サッカー選手権大会 2回戦
2005年1月2日
西武台 0 - 2 藤枝東
得点者:52分中村(藤枝東)、79分三輪(藤枝東)
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チームが勝つための自分の役割。それは得点を奪うこと。藤枝東(静岡)の9番中村祐輝(3年)は、いつも同じ言葉を口にする。「得点王とかより、チームが勝つゴールを奪いたい」
サッカー王国を制した古豪、藤枝東と激戦区埼玉を勝ち抜いた新進気鋭の西武台はともに組織的なパスサッカーを展開するスタイル。勝負の行方を見ようと埼玉スタジアムには13000人を越す観衆が集まった。
天敵ともいえる積雪のため、1回戦は思うようなパスサッカーが展開できなかった両チームだったが、この日は澄んだ水色の空がスタジアムを包んだ。
1試合目の国見の圧勝劇でざわつくスタンドを横目に、両チームは静かに出番を待った。先に姿を見せたのは西武台。「楽しもう!」とGK小澤宏亘(3年)が声をかける。一度ベンチに向かった守屋保監督が選手と固い握手を交わし、一人一人に話しかける。藤枝東は、最後尾にいた赤星貴文(3年)が「行くぞ!」と大きな声をあげ、控え選手とハイタッチをしながらピッチへ向かう。
立ち上がりは予想に反して静かだった。中盤での高い組織力を持つ両チームだけに、激しいボールの奪いあいがセンターライン付近で繰り広げられるも、ゴールへはなかなか近づけない。まさに一進一退の白熱した攻防に、スタジアムが息を呑んで見守っていた。
西武台は藤枝東の攻略のひとつに1回戦で千金のゴールをあげたFW島田祐輝(3年)と、悔しい思いをしながらもリベンジを誓う中村祐人(3年)のポジションチェンジをあげていた。もともと激しくポジションを代える特徴を持っていたが、攻撃的センスのある藤枝東の右サイド閨谷太希(3年)を上がらせないためのカードを試合開始から切ってきた。しかし、相手はサッカー王国復活を担う藤枝東。島田を常に2人が囲み前を向かせない。中村祐人に対しても縦への突破を封じ、決定的な仕事はほとんどさせなかった。逆サイドの那倉夢人(2年)に足しても鈴木崇記(3年)がしっかりケア。その上で赤星貴文(3年)へのマークが集中していると見ると、トップ下の柴田公章(3年)や中村祐輝が下がりながらボールを運びだす。
試合が動いたのは後半12分。ゴール前に切れ込んだ中村祐輝のミドルシュートに「たぶん(西武台の)DFにあたってあの回転になったと思う」(中村祐輝)ドライブがかかり、美しい縦の弧を描いてネットを揺らした。その後も、攻め手に欠け、やや単調になった西武台に対し、残り10分となってからは慌てず、したたかにボールをキープする藤枝東がロスタイムに、三輪健太郎(3年)の追加点が入り緊迫した攻防戦が幕を閉じた。
厳しいマークで苦しんだ赤星は「あそこは狙っていました。点かアシストをしたいというのがありましたし、自分に対してのマークが集中していたけど、そこで結果を残さないと、という気持ちがあった」と振り返る。
そして、赤星は続けた。「去年悔しい思いをして、精神的な部分で強くなったところがこういうタフなゲームで生きたんじゃないかと思います」。先制点を挙げた中村祐輝も口を揃える。「去年は自分がという気持ちがあった。けど今は、チームが勝つためのゴールを奪いたい」と。
昨年の初戦敗退から1年。藤枝東は悔しさから学んだものを発揮し、3回戦、王者・国見への挑戦権を手に入れた。「王者に対して挑戦するという気持ちよりも、全国制覇目指しているもの同士戦うという気持ちでやりたいです」。赤星は力を込めてそう話しながら、明日の決戦に目を向けていた。
その他、各会場(等々力、柏の葉、西が丘)の第二試合の結果は、津工業(三重)が試合終了直前に梅原拓也(2年)のゴールで福島東(福島)に辛勝。17度目の選手権に挑む多々良学園(山口)は前半16分に石田聖雄(2年)が挙げたゴールを主将村上晋悟(3年)が中心となった守備陣が守りきり3回戦へ。北海(北海道)対韮崎(山梨)は韮崎が後半ロスタイムに追いつくもPKで及ばず惜敗。北海がベスト16にコマを進めた。
以上
2005.1.2 Reported by 青柳舞子
[ 第83回全国高校サッカー選手権大会 2回戦 試合結果]
・埼スタ、等々力開催分試合結果
・柏の葉、西が丘開催分試合結果
・駒場、駒沢開催分試合結果
・三ツ沢、市原開催分試合結果
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