「昨シーズンは、19もの引き分けがありました。サポーターの皆さんには、ずいぶんとフラストレーションを感じさせてしまったと思います。しかし、今シーズンは引き分けではなく勝ち試合を、そして見ていて楽しいサッカーを、お届けしたいと思います。キャッチフレーズは『ストロングハート』。強い気持ちで最後まで戦い抜きます!」
2月12日に行われた壮行会での前田秀樹監督のコメントだ。その自信あふれる表情の裏側には、戦力の補強とオフシーズンのトレーニングでの手ごたえ、その充実ぶりがはっきりとうかがえる。
昨シーズンの水戸は、「まずはしっかり守る」「そしてシンプルにオープンワイドから攻撃する」というチームコンセプトのもとスタートした。
ディフェンスラインを幾分低い位置にして、相手の攻撃陣に背後のスペースを与えない。このコンセプトはシーズンを通して徹底され、そして水戸のチームカラーに定着していった。上位チームからは「勝ち点3を取らせてもらえない難しいチーム」として一目置かれたのも事実だ。そして、シーズン後半から加入した永井俊太と森田真吾の活躍もあり、攻撃でのアクセントという面も徐々に改善され「見ていて楽しいサッカー」になりつつあるところでシーズンを終了した。
2005シーズンは、昨シーズンの成長過程をそのまま踏襲し、上位を狙うことも可能な、よりコンセプトに磨きをかけた熟成度の高いチームになるだろう。昨シーズン終盤から導入している4-5-1のシステムをとることが予想されるが、高い守備力をベースにした流動的な攻撃を見せ、得点機会を多く演出するチーム。2005シーズンは、そういう水戸を見せてくれるに違いない。
昨シーズン、スタンドのサポーターに「今シーズンのベストゲームは?」と質問を投げかけたことがある。回答のほとんどは「5月5日の大宮戦(笠松)。結果は2-0の完封勝ち。理由は、勝とうという選手の気迫がいちばん伝わってきたから」というもの。2005シーズン、『ストロングハート』のキャッチフレーズのもと、強いハート、勝ちにこだわる気迫を持ってどれだけの旋風を巻き起こすことができるのか、注目して追い続けてみたい。
【新戦力・注目のキープレーヤー】
プレシーズンマッチなどを見ていても、選手の顔と名前を一致させるのに一苦労する。それもそのはず、実に3分の1もの選手が入れ替わった。また、東北2部リーグ・グルージャ盛岡から戻ってきた金子剛や、昨シーズンを怪我で棒にふった岩舘侑哉などを含めると、およそ11人ものフレッシュな顔ぶれが並ぶ。
今シーズンの補強のポイントは「スタミナがあり、走れることが第1条件」だったという。前田監督が目指すサッカーの中でも、最も走力を必要とされるサイドバックのポジションには、大分から吉田智尚が、札幌から吉瀬広志が期限付きで加入し注目されている。
昨シーズン、前田監督の頭を悩ませていたのがこのサイドバックのポジション。須田興輔や伊藤仁、ユーティリティプレーヤーとして頭角を表してきた小椋祥平なども含めた、複数でのポジション争いによる相乗効果が期待される。
ちなみに、先に行われた鹿島とのプレシーズンマッチ(2/20)では、吉田と吉瀬がスタメンで登場し、アグレッシブかつ堅実なプレーでサイドの基点として機能していた。開幕戦スタメンの座を誰が勝ち取るのか興味は尽きない。
中盤の選手としては、筑波大から加入の秋田政輝と柏から期限付き移籍の中井昇吾が注目株。どちらも上背はないが、持ち前のスタミナを活かし、あらゆる局面に顔を出し、ゲームに絡むのが身上。特に秋田は視野が広く、正確なフィードで状況を打開できる能力を備えている。
昨季、永井が加入したことにより、良い意味での競争が起こったセントラルMFのポジション。昨シーズンから固定されている感があるこのポジションに、新たな風を吹き込んでもらいたい。
大注目はFWの新戦力だ。ワントップというチーム戦略上、たった1つの定位置をめぐる最も競争の激しいポジションだ。怪我から復帰の岩舘は、ディフェンスラインの背後を突く動きに非凡なものを感じさせる。常に後ろ側のスペースを狙う動きは、相手DFに強烈なプレッシャーを与えるだろう。
盛岡から戻った金子は、東北2部リーグとはいえ10試合25ゴールという実績を積んだことが何よりの成長の証。プレシーズンマッチでも絶好調で、ぜひリーグ戦本番でその活躍を見せてほしい。そして最も注目されるべき新戦力が、昨日(2/23)リリースで発表されたばかりの新外国人選手、デルリス(21歳)だ。パラグアイ1部リーグ、エスポルティヴォ・ルケニョからのレンタル移籍。パラグアイU-20代表にも選出された実績がある。
実際のプレーはまだ目にしていないが、各大会での得点王やMVPに選出されていることから見て、ゴールセンス・得点能力の高いストライカーと予想される。水戸がのどから手が出る程に欲していた決定力を、これで手に入れる結果となりそうだ。
永井、森田、関隆倫を軸にした攻撃に、デルリスの決定力。前田監督の強気のコメントが、現実味を帯びてきた。
【開幕時の布陣予想】
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前田監督の公言どおり、4-5-1のシステムが濃厚。対戦相手というよりは、試合展開によって4−4−2にシフトするといった感じか。
現時点で調整が遅れているのが、センターバックでチームキャプテンの吉本岳史とFWの磯山和司。そして、2月26日に行われた湘南との練習試合でMFの北島義生が全治3週間の怪我を負ってしまった。特に吉本の調整遅れは痛いところ。これによってセンターバックは森直樹と名古屋から新加入の深津康太が組む模様。
左サイドは吉田、右サイドは吉瀬の新加入コンビとなりそうだ。深津・吉田・吉瀬がスタメンとなると、ディフェンスラインの4人のうち3人が新加入選手。戦術の浸透とコミュニケーションという部分で少々の不安はぬぐい去れないが、新たな水戸のディフェンス能力を見てみたいというサポーターにしてみれば期待が膨らむところでもある。
中盤は、左サイドに森田、右サイドに関を置くと考えるのが無難だろう。
運動量が落ちる後半、スピードのある選手として伊藤の投入が効果的と考える。中央には守備的な位置に栗田泰次郎と2年目の小椋祥平。前目に永井という布陣か。前田監督は2シャドーと話しているが、永井の攻撃センスを最大限活かすために、どちらかというと相手のプレッシャーの薄い位置でプレーさせ、その守備負担を栗田と小椋で分配するという1トップ&1シャドー的なニュアンスになるだろう。
そしてFWだが、「見てみたい」という個人的な期待感も込めてデルリスを押す。次いで岩舘。磯山復帰までの間が、岩舘と金子のアピールチャンスだ。
GKは成長著しい武田博行かと思われたが、ディフェンスラインの構成も考えて、経験・リーダーシップに秀でる本間で行くのが妥当な線といったところか。
Reported by 堀 高介

















