5月1日(日) 2005 J1リーグ戦 第9節
広島 5 - 0 新潟 (16:05/広島ビ/12,408人)
得点者:'35 ガウボン(広島)、'44 佐藤寿人(広島)、'65 佐藤寿人(広島)、'84 大木勉(広島)、'88 茂木弘人(広島)
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43分、山口が前を向いてドリブルに入った。と同時に、エジミウソン・ファビーニョ・上野の3トップが臨戦態勢に入る。ここまで広島のサイド攻撃に圧倒されていた新潟にとって、前半最大のチャンスがやってこようとしていた。
が、ここでビッグプレーが出る。新潟のパス交換に一瞬置いていかれそうになった広島のボランチ・森崎和幸が、美しいスライディングタックルで、山口のボールを奪ったのである。ボールを正確に右足で狩り出し、かつ近くのベットへのパスとなる完璧なもの。もちろん、ノーファウルだ。
パスを受けたベットが前を向く。新潟、素早いプレス。しかし、ベットは慌てない。すぐに森崎和と服部、茂原にボールをまわし、速攻から遅攻に切り替える。このパス交換の間に、駒野がスルスルとあがってきた。
茂原のパスを受けた大木が、その駒野にパスを出す。ボールを受けた駒野は、スッとゴール前を見た。逆サイドに佐藤寿人がいる。その時、駒野の頭のなかに、ゴールへのストーリーが見えた。駒野は、まず自分のマークをはがすために、大きな切り返しを入れた。単純に縦に来ると考えていたはずの梅山は、バランスを崩して駒野の術中にはまる。この瞬間、駒野とゴールの間に一本の道筋ができた。
佐藤寿は、駒野がボールを持った瞬間、ギラリと決断した。「クロスが来る。ニアに飛び込むんだ!」。が、佐藤寿のその決断は一瞬だが、速すぎた。駒野がクロスを放った瞬間、佐藤寿は「やばい、ボールは(自分の背中を)通り過ぎてしまう」と感じたという。が、駒野は、ゴールをほしがって飛び出しが速くなりすぎる傾向にあった佐藤寿の動きを、敏感に察知していた。右足で放ったクロスは、ライナー性。得意の「スピード・クロス」だ。それにより、クロスは佐藤寿のギリギリ後ろ足にひっかかるタイミングになった。しかしその態勢では、いい形でトラップ&シュートに持ち込むことはできない。
その瞬間、「生まれながらのストライカー」佐藤寿の感性が爆発した。マークについたアンデルソン リマを身体全体で抑え込みつつ、駒野のボールをジャンプして自分の股の間に呼び込み、右足の内側に微妙にボールをかすらせたのである。この時、彼はゴールに完全に背を向けていた。しかし、彼の本能はGKの位置とゴールマウスの位置を見なくても正確に把握していた。すらせたボールは意表をつかれて反応が遅れた新潟GK・野澤の脇の下を通り、ゴールネットに吸い込まれたのである。
広島サポーター、爆発。広島ビッグアーチの上空を覆う雨雲に突き刺すような歓声が、巻き起こった。選手たちが一斉に佐藤寿のまわりを取り囲む。タッチライン際で両手をつきあげる佐藤寿に飛びつき、激しく抱き合った。
ここまで、リーグ戦8試合だけでなく、カップ戦2試合、練習試合・プレシーズンマッチ・サテライトリーグを含めて、一度もゴールを決められなかったこのストライカーを、サポーターはずっと信じていた。どんな苦境に立たされても決して逃げず、ピッチで120%のパワーを振り絞ってチームのために走っていた佐藤寿人という男のことを、サポーターは認めていたのである。
それは、選手も同じだった。「寿人にどうしても決めさせたいんです」と、森崎和幸は語っている。期待をかけられながら結果が残せない佐藤寿の悩み、苦しみ。それでも明るく振る舞い、チームを盛り上げるために周囲に気を使い、メンバーから外された時もいっさいモチベーションを落とさなかった彼の人間性に、誰もが打たれていたのだ。だから、彼の移籍後初ゴールに、スタジアムとピッチが一体となった喜びが爆発したのである。
この試合は、事実上、この「寿人ゴール」で決まった。後半、新潟は2点差を追って強引に攻めに入るが、パスをつないでいるように見えて、実は「パスをまわさせられていた」(反町監督)。新潟は決定機をつくることができず、逆に広島のカウンターを浴び、決定機をつくられてしまう悪循環。そこを解消しようと反町監督が3-5-2に変えたその次の瞬間に、再び佐藤寿が爆発。これで新潟の選手たちの気持ちが切れてしまい、結局5失点。だがそれも前半終了間際の失点がなければ、新潟が後半立ち上がりからあれほど無理をしてバランスを崩す必要はなかったのだ。「1-0で終わっていたら」という丸山の想いは、そのまま反町監督の悔いだったはずだ。
広島はこの連戦の体力的な山場といえる新潟戦を完璧な試合で乗り切り、千葉(5/4・市原)・横浜FM(5/8・広島ビ)という強豪との対戦に最高の形で臨める。
一方の新潟は、心配されたコンディション面での問題があったのか、試合途中から完全に足が止まってしまって、J2以来のライバルに完敗した。怪我人が多数出ている上にこの精神的ショック。厳しいチームマネジメントとなることは、間違いない。しかしサポーターは、反町監督を、選手たちを信じている。その証拠に、広島ビッグアーチにやってきた新潟のサポーターは、失点するごとに応援のボルテージをあげ、一度もコールや歌を切らすことはなかった。悔しさ、怒り、憤り。もちろんあったはずだ。しかし、そこをグッと腹の内に沈ませ、悲壮感すら漂わせながら必死で選手に向かって声をかける新潟サポーター。彼らの必死の想いに、今度はチームが結果で応える番だろう。
以上
2005.05.01 Reported by 中野和也
J’s GOALニュース
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