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【J1:第14節 広島 vs G大阪 レポート】厳しいピッチコンディションを味方につけたのは、ホーム広島ではなく、攻め続けた強者・G大阪。(05.07.07)

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7月6日(水) 2005 J1リーグ戦 第14節
広島 1 - 2 G大阪 (19:01/広島ビ/7,058人)
得点者:'47 アラウージョ(G大阪)、'65 森崎浩司(広島)、'89 アラウージョ(G大阪)
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 左から右から、つい先日まで広島を襲った豪雨のようにクロスが飛び交う。紫のDFたちは、身体の中に残ったほんのわずかなエネルギーを振り絞って、G大阪の強烈なアタッカー陣に対し身体を寄せ、ボールを跳ね返す。

 後半のロスタイムは3分。そして、すでに2分をすぎていた。左サイドでG大阪・家長がボールをキープする。ワールドユース選手権で自信をつけた若きテクニシャンは、自分の技術を信じきって突破をはかり、そして広島の堅守の隙を見つけて、左足を振った。
 あがったクロスの先にはアラウージョがいた。90分間、常に動き続け、ここまで6本ものシュートを広島に浴びせていたストライカーにも、さすがに疲労の色が見えていた。しかし、最後の最後、力を振り絞ってそのクロスに頭を当てた。ジャストミートしなかったボールはゆるやかに、ここまで神懸かり的なセーブでG大阪のシュートを跳ね返しつづけた広島のGK・下田崇の前に落ちる。
「シモの正面だ、止められる」
 広島のDF・小村は、そう確信した。が、その時、「事故」がおこった。

 この日の広島ビッグアーチのピッチは芝がはげ落ち、土がむき出しになった状態。特に、下田が守るゴール前は、90分間の激闘の結果、スパイクで荒らされてでこぼこになっていた。
「あっ、バウンドが……」
 変わった瞬間が、小村には見えた。大黒も「キーパーがとれるボールやったのに、ボールがはねなかった」と、間近で見ていたこのシーンを表現している。
 ボールは下田の予測を裏切り、彼の身体の下をすりぬけて、ネットの中に転がりこんだ。G大阪、2点目。イレブンがアラウージョを中心として歓喜に包まれている間に、時計は93分を回っていた。広島が反撃する時間は、もう残っていなかった。

「ボールが止まらないんですよ」と遠藤保仁は嘆き、アラウージョも「スパイクが滑ってしまって」と表情を曇らせる。リーグの2位と3位の直接対決、鹿島追撃のためには両チームとも勝利が必要というきわめて重要なゲームだったのだが、選手たちはボールが不規則に弾むピッチ状況に苦しみ、それによって心身の負担が大きくなった。試合後、両チームの指揮官が異口同音に「肉体的に相当なダメージを負った」と語っていたことからも、その状況が想像できる。

 しかしその中で、どちらにより肉体的・精神的負担がかかっていたか、と言えば、それはホームの広島だった。前半、G大阪は互いの距離を近くとり、ショートパスでボールをつないだ。特にアラウージョとフェルナンジーニョは、この荒れた状況でもトラップがぶれず、キックにも乱れがない。彼らの技術を生かしてG大阪がボールをキープしていたことがボディブローとなり、広島のスタミナを奪った。そのため、後半にG大阪がピッチをワイドに使い始めると、彼らはもう足が動かなくなる。75分以降、広島はクリアした後のセカンドボールを拾えなくなり、ただ守るだけとなってしまった。さらに自陣ゴール前のプレーの連続によって精神的な負担が増大して、フラフラになった。それでも「なんとか勝ち点3を、最低でも引き分けを」と、広島はあがいた。しかしその想いも、ロスタイムでの衝撃的な失点で打ち砕かれた。

「この試合だけは絶対に勝たなあかん」(宮本恒靖)という激しい気迫で臨んだG大阪は、この勝利で鹿島との勝ち点差を7とし、追撃体制を整えた。一方の広島の選手たちは、自分たちのサッカーがまるでできなかった悔しさに精神的なショックを抱いた。しかし、そのまま崩れてしまっては、リーグ前半の快進撃がバーチャルだったことになる。広島の成長がリアルだったことを証明するためには、次の大分戦で選手たちが自ら、たくましい姿を証明するしかない。

以上

2005.07.07 Reported by 中野和也
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