7月9日（土）J2 第20節 福岡 vs 徳島（19:00KICK OFF/博多球）
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44試合を戦う長丁場のJ2も、第2クールの終盤を迎えた。折り返し地点までの残り試合は3つ。悪い流れを断ち切って第3クール以降の戦いに勢いをつけたい福岡にとっても、上位進出への足がかりを掴んでおきたい徳島にとっても、重要な戦いが続く。鍵となるのは、水曜日をはさんで3連戦となる初戦の戦い。次の試合に備える時間は十分には与えられておらず、初戦の結果が残り試合に大きな影響を与えることになる。その初戦にぶつかり合う両チーム。どちらも勝利は譲れない。

勝ちきれない試合を続けるうちにチームのリズムを失ってしまった福岡は、最近の5試合で1勝1分3敗。チームの状況は底にあると言っていい。勝負所での注意力に欠き、硬直化した攻撃はチャンスを作れず、同じことを繰り返すチームにサポーターの苛立ちは頂点に達している。しかし、前を向いて戦わなければ何も解決はしない。「ネガティブなことを考えても、ネガティブな結果しか生まれない。とにかく必死になってやるだけ」（松田監督・福岡）。チームは悪い流れを断ち切るべく、トレーニングに取り組んでいる。

そして、トレーニングにも変化が現れてきた。指示を送る監督に対して、選手たちから意見や質問が積極的に投げかけられるようになり、不用意なミスに対しては、選手間での注意を促す声が目立つようになってきた。福岡は過去2年間で積み上げてきたベースを持つチーム。どんな状況でも、それを発揮する少しの勇気と強い力があれば、チームの状況が変化する可能性は大きい。精神面での変化を形にして表すことが出来るのか。次の試合では、この点に注目したい。

一方、J2初参戦の徳島は積極的なサッカーを志向して、ここまで4勝9分6敗。Ｊリーグの壁にぶつかっているのか、勝ちきれない印象はぬぐえないが、総得点22は、2位争いを繰り広げるチームと比較しても遜色のない数字。上位進出を狙うチャンスは十分にある。1トップの羽地と、シャドーストライカーの役割を担う伊藤、小山の3人でゴールを狙う動きと、両ＷＢの金位漫、片岡のスピード豊かな突破力は相手にとっては脅威。福岡に対しても、積極的な姿勢を前面に出してゴールを奪いに来るだろう。

戦い方としては、羽地へ早めにボールを集めたいところ。ここで起点が出来れば、2列目からの飛び出しと、両サイドの攻撃は活性化し、ゴールチャンスも生まれるはず。前回の対戦での引き分けという結果は、後半、羽地が自由にボールを受けていたことと無縁ではない。一方、注意を要するのは攻め上がった後の守備か。ここまで26失点という数字が表しているように、勝ちきれない原因のひとつは失点の多さにもある。3バックの両サイドを突いてくるであろう福岡の攻撃をいかに防げるか。それが鍵を握りそうだ。

見所は両サイドの攻防。サイド攻撃が持ち味である両チームにとって、ここでの主導権争いは、そのまま試合の主導権争いに直結する。また、ホベルトを欠く福岡が、どのようにして中盤の構成力を維持するのか。あるいは、攻守の切り替え役を務める秋葉が、福岡のプレッシャーをいかにかいくぐるかにも注目が集まる。

いずれにせよ、順位に関係なく厳しい戦いになることが予想されるこの試合。最終的には、自分たちのサッカーを表現する強い気持ちを持ち続けた方に軍配が上がることになる。そして、勝利を手にしたチームが第２クール終盤戦の戦いで優位な立場に立つことは間違いないだろう。

以上

2005.07.07 Reported by Reported by 中倉一志