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【J2:第21節 甲府 vs 横浜FC レポート】置かれた現状でベストの選択をし、勝利を掴んだ横浜FC。藤田の存在価値を改めて知ることになった甲府(05.07.14)

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7月13日(水) 2005 J2リーグ戦 第21節
甲府 0 - 1 横浜FC (19:00/小瀬/5,136人)
得点者:'20 城彰二(横浜FC)
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 前節札幌に敗れ、再び勝点で並ばれてしまった甲府。今節は11位の横浜FCに勝って2位を確保したいところだったが、J2リーグは第2クール終盤になって下位チームの健闘が目立ち、順位をシャッフルする面白さと厳しさを更に増して来た。

 不動のボランチ・藤田を出場停止で欠く甲府。注目されたその位置に大木監督は奈須を先発させてきた。一方、毎試合のように退場選手を出し台所事情の苦しい横浜FCは、長身の富永(189cm)をFWに、20歳のDF岩倉を初先発させて挑んできた。横浜FCのキックオフで始まった前半の立ち上がりは、甲府がいつも通りのサッカーを展開した。しかし、それは長くは続かなかった。横浜FCはボールを奪うと、シンプルに富永や城を狙ってロングパスを入れてくる。甲府はこのボールを奪って細かいパス回しで攻撃に繋げようとするが、高い位置から積極的にプレスをかけられ、再びボールを失いピンチを迎えることが続いた。また、富永と城が落としたボールやルーズボールを横浜FCに拾われることが多く、甲府は徐々に下がってプレーするようになる。シンプルにロングパスを入れられ、それを跳ね返すことができない現状に選手が困惑しているように見えた。

 しかし、チームとして成熟度を増してきている甲府は、自陣の深いところから繋ぐのを止めてロングパスでリスクを回避して、リズムを取り戻そうとした。ロングパスとルーズボールの処理を甲府のDFラインが誤れば、横浜FCは2列目の選手が飛び出してきてシュートチャンスに繋げてしまうからだ。前から積極的にプレスをかけられることで甲府のDFラインは、ファーストタッチの質と判断を高いレベルで問われる展開になった。
ロングパスでリズムを取り戻したかった甲府だが、バレーにロングパスを当ててそこから攻撃を展開するというサッカーは未熟だった。パスを繋ぐ、個人技で突破する、ポゼッションからスペースを狙う、というサッカーで得点を重ねてきただけに、バレー頼みのようなサッカーは必要なかったからだろう。ロングパスの精度もよくなかったが、ロングパスに対してバレーと長谷川が同じ動きをしたり重なったりと、セカンドボールを拾うためのコンビネーションもよくなかった。

 結局、甲府のロングパスは横浜FCのDFラインに大きな脅威を与えることがなく、ラインを上げる間もなく再びロングパスを放り込まれてしまう。甲府が失点しそうな匂いが徐々に強くなった20分、そのゴールは予想外の形で決まる。甲府のDFが小野(智)を倒してPKを献上してしまう。そして、城が右足でゴール左隅に決めて横浜FCがリードを奪った。ロングパスだけではなく、前からプレスをかけて奪ったボールから内田、小野(智)がドリブルで切れ込んで甲府に挑んでいったプレーが生んだPKだった。開幕からここまでの結果、プレーの内容では明らかに甲府が上だったが、横浜FCは置かれた現状で、勝つために残された唯一といっていいゲームプラン(ロングパスの多用)を実行して、得点を奪った。
 ここ4節、上位チームが横浜FCに苦戦を強いられた理由がよくわかる。甲府に必要なプレーは、下がらずに前から積極的にプレスをかけてロングパスを入れさせない、例え蹴られてもプレスによってその精度を下げることだった。しかし、前半はそのプレーができないまま終わった。第1クールならサポーターの不安は増大するだけだったが、第2クールの甲府は跳ね返す力があることは証明している。ハーフタイムの修正で後半にどう変わるのか、甲府サポーターは失望することなく後半を迎えることができたはずだ。

 横浜FCよりもかなり早めにピッチに出てきた甲府の選手たち。円陣を作って、横浜FCの選手たちが出てくるのを待つ姿には、自分たちがやるべきことを理解し、それに自信を持っていることが感じられた。そして、後半開始から甲府はロングボールにはシンプルに対応し、ファーストディフェンダーは厳しく横浜FCのボール保持者にプレッシャーを与えた。そして、自分たちの攻撃のリズムを取り戻した。このリズムで同点に追いつくことができれば、この試合は甲府のものになると思われた。しかし、そのリズムが続いた15分間に甲府はゴールを奪うことができなかった。15分が過ぎると城のヘッドがバーを叩くなど、横浜FCもカウンターからシュートチャンスを掴み、甲府の出足を止めることができるようになる。攻撃の流れを止めたくない大木監督は、先に交代カードを切ってきた。山崎を入れて3トップにして、ボランチを奈須1枚にするという攻撃的な布陣がそれだ。対する横浜FCの足達監督は、フレッシュな選手を投入して逃げ切りを図る。

 サイドを破ることができるようになった甲府は、ラストパスを出すシーンを何度も作る。しかし、そのラストパスの精度が悪く、ラストパスを出すもののシュートに繋がらないというシーンを何度も繰り返す。横浜FCのDF陣の健闘を称えたほうがいいのかもしれないが、甲府サイドから見れば、イライラが増幅する展開だったということは間違いないだろう。ラストパスを入れる選手が焦っているのか、単に技術がないのか、中の選手のポジション取りが悪いのか、コンビネーションが悪いのか。サイドを破りながらも何度もチャンスを潰す間にいろいろなことを考える時間があった。試合後、山崎は「焦りはなかった。少なくても同点にはできると感じていた」と言った。確かに、成熟度を増している今の甲府なら同点にはできるだけの力も自信もあっただろう。

 しかし、結果的には決めることができずに、今季初の連敗を喫することになった。後半の攻勢から得点を挙げることができなかった理由を考えてみると、チャンスを作っていただけに「決定力不足」の一言で片付けられてしまう。しかし、いつもとは何かが違っていた。そのヒントは横浜FCの城が試合後に言った「甲府は藤田チームだからね」という言葉にあった。藤田は倉貫とボランチを構成して、藤田がオフェンシブ、倉貫がディフェンシブという役割分担をこなしてきた。しかし、藤田が不在の甲府では、オフェンシブな仕事が十分にできる選手がないのだ。確かにサイドは崩すことができた。しかし、中央の2列目から脅威を与える選手が不在では、数的バランスを崩すことができない。

横浜FCのサイドの選手はサイド見ていればいいし、中央の選手はバレーと長谷川を見ていればいい。終盤になって倉貫が何度か上がりを見せたが、90分を通じてこのプレーができる選手がいなければ、甲府の得点力は下がってしまうことを証明することになった。横浜FCはようやく勝利を掴んだ。しかし、城は「このサッカーをやっているだけでは勝てない」という。これも現実だろう。しかし、足達監督と横浜FCの選手は、置かれた現状で勝利を目指すための唯一といっていいゲームプランで勝利を掴んだ。この点は高く評価していいはずだ」

以上

2005.07.14 Reported by 松尾潤
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