12月10日（土）名古屋vs大宮（13：00キックオフ/日本平）
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　今季14位と、過去最低順位でリーグ戦を終えた名古屋。監督解任、外国籍選手の相次ぐ移籍などドタバタ劇もあり、一時は降格争いの危機にも直面した。それを思えば、降格を免れたことで良しとしたいところだが、このままシーズンを終えてしまってはサポーターも納得がいかないだろう。そして、チームを瀕死の状態から脱出させた中田監督の目指す「来年、それ以降のチームの土台づくり」をするために、ぜひとも、天皇杯で結果を出しておきたいところ。

　そんな名古屋にとって、この5回戦は厳しい戦いを強いられそうな様相だ。まず、今季3度目の対戦となる大宮は、名古屋が苦手とするラインディフェンスを得意とする「引く」チーム。勝敗も1敗1分と分が悪い。前回の対戦（11/12）では、クライトン、吉村の相次ぐ負傷交代で勝ち星を逃した苦い経験もある。ただ、この嫌な展開は、次節のG大阪戦で快勝し「同じことを繰り返さなかった」（中田監督）ため、さほど気にすることはないように思われるが・・・。さらにここへ来てGK楢崎、DF古賀・増川、MFクライトン・吉村・山口、FW中山・豊田と、故障者が相次いでいるのも心配だ。

　しかし、この状況で、若い力がチームに活力を与える光明も見えてきている。たとえば、リーグ戦終盤で頭角を現したFW鴨川、最終戦で負傷した山口に代わって12節以来の出場を果たしたMF中島、そして出場こそならなかったが、サブでチームに帯同したFW津田。いずれも中田監督がトップチームのベースづくりとして、サテライトで指導していたルーキーばかり。そして忘れてはならないのが、すでにリーグ戦で活躍しているFW杉本、MF本田の活躍。彼らルーキーの台頭が今後、チームの底上げとなるのは、負傷者続出の天皇杯において頼もしい材料だ。

　そして中田監督がリーグ終盤に話していた「トーナメント戦の天皇杯では、ニューヒーローの誕生が勝負を分けることもある」というように、今年の名古屋の天皇杯は、ニューヒーロー誕生が握っていると言えるかもしれない。また、日本代表の守護神・楢崎がいるにもかかわらず、高いレベルを目指して昨年、大宮から移籍してきたGK川島が、自身初対戦となる古巣相手に、どんな『恩返し』をするかにも注目したいことろ。

　ルーキーがズラリとスタメンに名を連ねる予想の名古屋に対し、大宮は、降格を脱したチーム力で対名古屋戦を勝ち越す公算だ。4バックと全員守備で攻撃の芽を摘み、カウンター。決定力不足と言われているが、守備＋攻撃参加ができるMFが揃っており、2列目の飛び出しなど豊富な運動量は、前回の対戦で名古屋のDFをかく乱した。こと藤本は、かつて名古屋に所属しており、名古屋に対するときのモチベーション＆パフォーマンスは、いつも高いものを見せている。もちろん、今回も同じはずだ。昇格1年目のリーグ戦は苦いものとなった大宮だが、天皇杯では「J1昇格1年目で初優勝」の快挙を目標に、底力を見せてくれそうな予感。

　ともにリーグ戦での思いを胸に戦う名古屋と大宮。モチベーションを保つのが難しい試合と言われるが、こういうときこそが真の正念場。この試合で今シーズン学んだことが活かされているかが証明される。来シーズンへの「期待」が見える試合となることを祈る。
以上

2005.12.9 Reported by　茂木美佐子