12月10日（土）J1・J2入れ替え戦 第2戦 柏 vs 甲府（15:00KICK OFF/柏）
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　「もっと戦わないとダメ。今日の2倍くらいのプレーしてもらわないといけない」
　甲府での第1戦に敗れた後、ラモス瑠偉コーチは冷え込むスタンドで声援を送り続けた熱狂的サポーターの気持ちを代弁するかのように激しい口調で言った。1−2の敗北。まさかの結果に選手たちは大いに落胆していた。が、落ち込んでいる暇はない。最終決戦はもう明日に迫っている。「まだ180分の半分が終わっただけ」とGK南が前向きに話すように、ホーム・日立台でのゲームで勝利すればJ1残留は可能なのだ。崖っぷちに立たされた彼らは全身全霊を賭けて重要な戦いに挑む。

　2005年J1・J2入替戦、柏対甲府の第2戦が、明日15時から柏の本拠地・日立柏サッカー場で行われる。7日の第1戦は大野のFKからレイナウドがヘッドで先制したにもかかわらず、相手の勢いと豊富な運動量に押されて痛い敗戦を喫している。この劣勢を跳ね除けて逆転残留を果たすためにも、今回は絶対に勝利が必要だ。2点差以上をつけられれば90分間でJ1残留が決まるし、1点差勝利なら15分ハーフの延長戦へともつれこむ。そこまでの死闘は避けたいものだが、どんな状況に陥っても勝ち抜かなければJ2降格は現実になってしまう。選手たちはかつてない苦しさを味わっているだろう。

　まずはこの「負けられない重圧」に打ち勝つことだ。今の柏は目の前の敵と戦う前に自分たちをコントロールしなければならない。「サッカーをやらないやつが多すぎる」と大野がはき捨てたように、第1戦の彼らはミスをこわがり、大事に大事に行こうとするあまり、試合展開をスローダウンしてミスを冒すという悪循環に陥った。そんな恐怖心を克服し、本来の「走ってかき回するサッカー」を取り戻すところから全てが始まるのだ。

「タテのボールを入れても競り合いタフさに欠けていたし、セカンドボールを拾われ奪ったボールも展開できない。ランニングの量でも負けていた」と早野監督も初戦の後、苦渋の表情を浮かべた。相手より一歩先に出てボールを取りに行く、あるいは勇気を持って体を投げ出すといった「戦う姿勢」を指揮官もサポーターも強く求めているのだ。選手たちもその重要性に改めて気づいたはず。明日は気持ちを切り替えてくれるに違いない。

　明るい材料があるとすれば、左足首を痛めて半月も戦線離脱をしていた明神が、痛み止めの注射を打って強行出場する予定であること。「明神さんがいると中盤が落ち着くし、バイタルエリアを突かれることもなくなる」と大谷がしばしば口にするように、彼は間違いなく攻守の要であり、チームの精神的支柱だ。甲府の攻撃はFWバレーや2列目の藤田、倉貫らがゴール前に次々と飛び出してくるところに特徴がある。これをしっかりと封じるためにも彼の存在は必要不可欠だ。本人も「できるところまでやるしかない」と悲壮な決意をのぞかせている。

　明神が入ったうえで最終ラインと中盤の連携を再確認し、しっかりと守備を安定させること。それが失点ゼロにつながる。相手に点をやらず、柏らしいスピーディーな攻撃を復活させられれば、勝機は十分にあるのだ。第1戦は相手に合わせることばかり考えすぎていた。この反省を踏まえ、今度は自分たちのサッカーに徹してほしい。幸いにしてリーグ終盤戦を欠場したレイナウドが久しぶりのゴールを挙げるなど、攻撃陣の調子は悪くない。矢野や宇野澤といった若い選手たちも控えている。実際、前回のゲームでも決定機の数は少なくなかった。甲府は前線からのプレッシングを得意とするが、最終ラインは高さも1対1もそう強くない。この弱点を突くことが勝利への大きなカギになる。

　柏にとってはセットプレーという武器もある。甲府の守備陣で高さがあるのはアライールとボランチの奈須くらい。初戦でも長身選手をズラリと揃える柏が制空権を制していた。このアドバンテージを使わない手はない。キッカー・大野も精度の高いボールを蹴れる。ファウルをさそって積極的にFKやCKを取り、早い段階で得点に結び付けたいものだ。

　8〜9日と非公開練習が続いたため、明日のスタメンを予想するのは難しいが、現時点ではGK南、DF（右から）土屋、波戸、小林、ボランチ・大谷、明神、右サイド・小林、左サイド・増田、トップ下・大野、FW矢野、レイナウドか。最終ラインにベテランの薩川、左サイドに平山、トップ下にクレーベルを使ってくる可能性もある。いずれにしても、リーグ戦33節の東京戦で見せたような闘志を前面に押し出してほしい。黄色に染まるスタンドの熱烈な声援に応えられるのは、J1残留という確固たる結果だけだ。

以上

2005.12.9 Reported by 　元川悦子