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利府高校(宮城県)
絶対の信頼関係で全員攻撃・全員守備を見せる
利府のグラウンドから宮城スタジアムが見える。日本代表がワールドカップを戦った場所、2000年オールスターサッカーが行われたスタジアムでもある。今年は日本代表戦も行われ、会場周辺はサッカーの熱気に包まれていた。利府イレブンはその熱気を感じる場所で、憧れの国立競技場を目指してきた。
技術、戦術の基本を重視し、毎日、徹底して練習をした。そこから生まれたのが『全員攻撃・全員守備』。利府高校のサッカースタイルはシンプルだ。
2年生の司令塔、千葉友幸を中心に前線から素早いプレッシャーをかけ、ボールを奪うと速攻、遅攻を使い分けトップで待つ小関和明(3年)らにつないでいく。また、主将の及川準(3年)がセンターバックを務めるディフェンスラインは、県予選4試合で無失点と安定度が抜群。1点を守りきる力がある。この守備陣がいるからこそ、東北学院、東北といった優勝候補を接戦の末に下し、念願の全国初出場をつかんだ。
守備陣が守ってくれるという信頼と、守りきれば前線の選手が得点を決めてくれるというお互いの信頼が、利府の一番の強みなのかもしれない。
さて、利府の1回戦は、三重県代表の四日市中央工業が相手。かつて選手権での優勝経験も持つ名門校に、全員で挑む選手権となりそうだ。
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湯本高校(福島県)
ドリブルで勝負!?
ドリブルが『カギ』となりそうなチームである。
県予選の得点パターンは、ドリブル突破を得意とするFWの鈴木政俊(2年)、ボランチの根本卓也(2年)が自ら仕掛けてゴールを奪うシーンが多かった。
練習では特にドリブル練習などを取り入れているわけではなく、より早く、より正確にプレーすることを目標に同じ練習を繰り返してきた。だからこそ、チームの特徴ともいえるドリブル突破の得点パターンを、櫛田正則監督はドリブルの崩しが多すぎると、不安視している。
湯本を率いる櫛田監督は、現役時代にインカレや天皇杯などの出場経験があり、また、車椅子バスケットや軟式野球など、さまざまな競技の指導歴を持っている異色の監督だ。多くのスポーツを知っているからこそ、ドリブルという大きな武器が、逆に一つのものに捕らわれすぎてしまっているのではないだろうかという危惧につながっているのだろう。
しかし、スタメンの7人が2年生という若いチームが、ドリブル突破のスタイルで勢いを得て、県予選を勝ちあがってきたのは間違いない。本大会でドリブルという武器を選手たちがどのようにとらえるか。あえてドリブルで勝負するのか。監督がどのような指示を送るのか。注目したい。
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伊勢崎商業高校(群馬県)
粘って粘って、後半勝負!!
全国へ名乗りを挙げるには全国常連の前橋育英、前橋商業を倒さねばならない。天然芝の学校グラウンドで中島信樹監督は、基本技術とスタミナ面を徹底して強化。最後まで走りきる粘り強いチームを作り上げた。結果、県予選準決勝で前橋商業に3−0、決勝で前橋育英に2−1と勝利し、代表切符を手に入れた。
伊勢崎商業は、中盤がフラットに並んだ4−4−2のシステムをとる。チームを動かすのが、攻守の要でもあるボランチの福島祐太郎(3年)だ。奪ったボールを精度の高いサイドチェンジで左右に振り分け、素早いサイド攻撃につなげていく。突破力のある点取り屋、FW関涼太(3年)がトップで待ち、自ら仕掛けてゴールを狙う。サイド突破、中央突破と攻撃バリエーション豊富なのが魅力なチームだ。
また守備陣は、センターバックの萩原彬久(3年)、萩原麻人(2年)を中心に連動したディフェンスを展開。キッチリとしたカバーリングで相手の攻撃を跳ね返してきた。
さらに伊勢崎商業の一番のポイントは、予選6試合で奪った総得点18のうち12点を後半にあげていることだ。高い得点力に加え後半に強いというのは、大きな武器になる。
毎年、代表やJリーガーを多く輩出してくる群馬県勢だが、『全国』という舞台では苦戦が続いている。伊勢崎商業は群馬の新たな道筋となれるのか。まず倒さねばならない相手は、強豪・東福岡(福岡)だ。
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流通経済大学付属柏高校(千葉県)
なるか!? 初出場・初優勝!!
初出場チームの中でも、今大会最も注目すべきチームが流通経済大柏だろう。
選手権4度出場、インターハイ優勝など全国でも高い成績を残した習志野(千葉県)の監督を務めていた本田裕一郎氏が監督に就任し5年目。「結果にこだわるチームを」と本田監督が育て上げた芽が息吹、全国初参戦となった。
豊富な運動量を持ち、『個』を生かした戦術で果敢にゴールを目指していくスタイルが特徴。ゴールゲッターとなる187cmの長身FW長谷川悠(3年)は決定力、突破力も高くU−17、18と日本代表に選出されたこともある逸材だ。長谷川と2トップを組むFW特出翔平(3年)は、足元が器用なテクニシャンで攻撃の軸となる。
この2人にボールを集める中盤は、高い位置でフラットに並ぶポジションを取る。積極的に前線からプレスをかけ、速攻につなげていくスタイルだ。セカンドストライカー的な存在のMF千明聖典(3年)らもチャンスがあれば豪快なミドルシュートを放ち、攻撃に厚みを加える。
個性が光るのは攻撃陣だけではない。先日のアジアユース選手権予選で日の丸をつけたGK林彰洋(3年)は、リーチが長くハイボールに絶対の自信を見せる頼もしい守護神だ。センターバックを務める清水貴之(3年)は1対1に強く、落ち着いたプレーが持ち味。的確な指示で堅守を牽引する。
初出場となるが、テクニック、状況判断、イマジネーションに優れる選手たちを名将・本田監督がどのように采配していくのか。屈指の好カードとなった多々良学園(山口)との初戦から目が離せない。
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甲府東高校(山梨県)
ヴァンフォーレに続け! 甲府旋風を巻き起こす
ヴァンフォーレ甲府のJ1昇格で盛り上がる山梨県の代表は、県内有数の進学校でもある甲府東。
ヴァンフォーレ甲府をJ1へ導いたバレーに劣らないエースストライカーがFW深澤卓也(3年)だ。県予選5試合で甲府東が奪った総得点21のうち、深澤は9得点3アシストと(得点の)半分以上に絡んでいる。チームの信頼も厚いエースの活躍は、全国でも必要不可欠だ。その深澤にパスを送るのがMF斉藤大介(3年)。2人の関係は『最強のコンビ』とチームも太鼓判を押す。主将を務める斉藤は、攻撃の起点となり、精神的な支柱でもある。
甲府東の強みはそれだけではない。右のMF内藤周一朗(3年)、左の手嶋浩喜(3年)のスピードに乗ったサイド突破も迫力がある。豊かな攻撃陣を誇り、どこからでも攻められる。
攻撃色の強いチームだが、守備も手堅い。飯野弘明(3年)、間下貴嗣(2年)のダブルボランチが3バックと連動してディフェンスをこなし、相手攻撃陣にスキを与えない。
甲府東の選手権は開幕戦となる『夢の国立競技場』。一足早くあこがれのピッチに立てる。チームを率いるのは甲府東OBでもあり、甲府クラブ(現甲府)でヘッドコーチの経験を持つ岩崎雄治監督。監督就任わずか1年半で全国へ導いた岩崎監督が国立でどのような手腕を振るうのか。注目したい。
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上田西高校(長野県)
打倒・鹿児島実業! まずは初戦突破にかける
前回の覇者・鹿児島実業との対戦が選手権の初戦となる上田西。初陣で大きな壁が立ちはだかった。
1試合を通して走りきれる体力作りに力を入れてきた上田西は、走って走って、スタミナを強化。そして、己と向き合わなければいけない走力トレーニングで、精神的にも強くタフになった。1点差ゲームやPK戦に競り勝ち、悲願の全国への切符を手に入れただけに、粘り強さは保証済みだ。
3−5−2のシステムをとる上田西の攻撃パターンを見てみると、低めにポジションを取るFW笠原涼太(3年)とDF佐藤優樹(2年)の両サイドが突破口となり、相手陣内に攻め入る。得点力抜群の荒井洋太(3年)、宮崎淳貴(3年)の2トップがそこに絡み、勝負を決める。
守備陣は県予選でも大崩れなく、安定度は高かった。しかし、鹿児島実業は試合巧者だ。堅守に加え圧倒的な攻撃力を持つチームでもある。鹿児島実業戦でカギとなるのが、試合の状況によってバックラインに下がることもある、チームの心臓・ボランチの小澤光(3年)だ。試合展開を冷静に見て判断し、攻撃を組み立ててきた小澤が、守備に奔走されるようだとチームも苦しくなる。小澤をいかに攻撃の起点にできるのかが、勝負の分かれ目かもしれない。
持ち前の粘りを発揮するためにも、前線から積極的にプレスをかけボールを奪い、自分たちの得意な形に持ち込めれば、大金星もありえそうだ。
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常葉学園橘高校(静岡県)
堅守で頂点を目指す
初出場にして優勝候補。今大会最も注目を集めるチームの一つが常葉学園橘だ。
昨年は、惜しくも予選敗退となったものの現在の2、3年生が中心のメンバーで静岡の激戦を勝ち抜き決勝まで進んだ。さらに現在の2年生は中学3年時に全国中学校サッカー大会を制覇したときの選手たちだ。全国大会の経験という点でも他の強豪校にひけをとらないのだ。
激戦が続いた予選で、すばらしい活躍を見せたのが、さまざまなスタイルを持つ県内の攻撃陣を1失点で抑えた守備だ。冷静で1対1に強いU−17日本代表の薗田淳(2年)と、高いカバーリング能力を発揮し、的確な指示を出す内田和志(3年)がセンターバックを務め、攻撃を跳ね返してきた。前線から積極的なプレスで相手の攻撃の芽を摘んできたのも大きい。
一方、攻撃面は、細かくパスをつなぎ、高いテクニックを発揮する個人技やドリブル突破を織り交ぜるが、やや得点力が低いのが気になるところだ。2トップは185?の長身FW勝亦祐樹(3年)と160?の杉本真(3年)。勝亦はポストプレー、杉本はスペースに走り回るといった、特徴がまったく違うスタイルの2人だが、相性は抜群。予選では影をひそめた攻撃力だが、秘めた能力は高そうなだけに、本大会で爆発となるか。チームを率いる長澤和明監督は、日本代表としてプレーし、J1の磐田やJFL本田技研の監督経験を持つ。守備に磨きをかけるのか。課題ともいえる攻撃に厚みを加えるのか。長澤監督の手腕も見所だ。
さて、注目の初戦は選手権の常連校でもあり、優勝候補の一つとなっている滝川第二(兵庫県)との対戦。個性が光る滝川第二の攻撃に守備陣が堅守を見せるのか。面白い試合となりそうだ。
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柳ヶ浦高校(大分県)
柳ヶ浦の四銃士に期待
前の『4人』が面白い。県予選5試合で24得点をたたき出した攻撃陣は魅力だ。基本システムは4−4−2だが、4−2−4といった方がいいかもしれない。
2トップを組む新野展弘(3年)と仁部屋和弘(3年)が予選で奪った得点は12。チーム総得点の半分を記録した。ともに卓越した得点力を持ち、決定機を逃さない。足元の基本がしっかりしているため、テクニックが高い。フェイントやパスなど、ゴール前の多彩なアイデアで楽しませてくれる。
トップ下にポジションを取るMF西尾直輝(3年)は視野が広く、1本のパスで状況を打破できるセンスの持ち主。インテリジェンスにあふれ、2トップに送る決定的なパスは必見だ。
『4人』の最後は韓国からの留学生、MF金尚佑(3年)。左サイドをスピードに乗ったドリブルでかけ上がり、チャンスと見るや自らも切れ込んでいく。熱いハートと芯の強さでチームを盛り上げる。また、豪快なミドルシュートも魅力だ。
タレントぞろいの攻撃陣が目立つが、DF豊村将大(3年)が統率する4バックも手堅く安定している。
初出場とは思えぬほど戦力も十分な柳ヶ浦を率いるのは、大分トリニティ(現大分トリニータ)でプレーしていた野口健太郎監督。野口監督自身は、東海大第五時代に2度、選手権に出場しており、独特の雰囲気などを選手たちに伝えられることも大きい。
1回戦の相手はインターハイ王者の青森山田だが、番狂わせも十分考えられそうな魅力的なチームに仕上がり、試合が楽しみだ。
2005.12.20 Reported by 青柳舞子
J’s GOALニュース
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