今日の試合速報

チケット購入はこちら

J’s GOALニュース

一覧へ

【2006シーズン 戦力分析レポート:徳島編】課題はズバリ「失点減」。積極的な攻撃と昨季の経験を生かして克服なるか。(06.02.16)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
【今季の見どころ】

ズバリ、今季の見どころは『ジャンプアップ』。昨シーズンの経験を活かし、どれだけ大きな飛躍を果たせるかというところだろう。それは決して希望的推測によるものではない。まだJリーグ2年目であるとはいえ、今季はその期待に応えられるだけの要因が揃う。  

「ヴォルティス元年」として迎えた1年目の昨季。チームも、そして選手個々も強い意欲とチャレンジ精神を持って臨んだが、結果としては厳しい長丁場のJ2の戦いに翻弄されることとなってしまった。 
初めての経験となる休息が許されない連戦に、チームは好不調を繰り返し、なかなか安定感を掴めない。選手たちも、シーズンが進むに連れて表れ始めた想像を超える疲労の蓄積によってコンディション維持に苦しんだ。リーグ終盤には数え切れないほどのケガ人も出てしまい、総力を尽くして当面の試合を乗り切ることに精一杯だったことがそれをハッキリと物語っている。  

しかし、今季は違う。まず何より昨季の経験を元に戦えるからだ。わずか1年の経験ではあっても、それがあるとないとでは全く異なる。余裕とまでは言えないものの、チームとしてある程度のプランを持ちながら試合に臨めるのは間違いない。選手ひとりひとりも消耗の激しい連戦の中で、どのようにコンディションを次の試合に向け合わせていけばよいか少なからず計算ができるはず。 
加えて、昨季の戦いで個の勝負がいかに重要かを痛感した選手たちの、準備期間での成長も大きなプラス材料となる。自らの課題を克服しつつ、全てをより高めるため全選手が妥協なくトレーニングに取り組んだ結果、その成果現時点でもはハッキリと見て取れるほど。さらには新戦力獲得に伴い激化したチーム内競争もそれに拍車をかけ、個々のレベルアップは格段に図られていると言っていいだろう。  

こうして戦いへの準備が整いつつあるチームに、今季への期待はますます膨らむ。きっと開幕を待ちわびる多くのサポーターたちも、選手たちが見せてくれるであろう成長したその姿と戦いを今から思い描いているに違いない。 
経験を大きな糧にジャンプアップを目指す今季の徳島ヴォルティスから目が離せない。  

【注目の新戦力】

新シーズンに向けて、チームは攻守に積極的な戦力補強を行った。その内容には、今季さらなる高みを目指す意欲がひしひしと伝わってくる。  

攻撃陣では、テクニックと瞬間的な速さを併せ持つジョルジーニョ(広島)や玉乃淳(東京V)らが加入。これにより展開にアクセントができる。得意のサイド攻撃に加え、今季は個の力を活かして相手ディフェンスを中央から突破するシーンも数多く見られることだろう。 
最も注目すべき補強は、守備陣に加わった辻本茂輝(京都)と井手口純(鳥栖)だ。昨季リーグワースト2位の「76」という失点を喫してしまった徳島の守備。攻撃ではJ昇格1年目とは思えない得点力(リーグ5位)を見せただけに、この失点数を減らすことこそが今季上位へ進出するカギとなる。そこへ加入したこの2人。ともに、高い身体能力と技術、そして冷静な状況判断をも兼ね備えている。さらにはJリーグでの経験も豊富なだけに、周囲とのコミュニケーションさえ確立できれば守備陣の核となりうる存在と言えよう。今季のキーマンとなるこの2人に集まる期待は大きい。  

【日本代表へイチオシ】

その男が敵陣左サイドでボールを持てば、スタジアムに詰め掛けたサポーターの視線はクギ付けになる。そして、誰もがこれから始まる果敢なドリブル突破に期待を膨らませる。すると、その期待に応えるかのように男は相手DFに勝負を挑み、抜き去る…。 
その男の名は「片岡功二」。今季新たにチームキャプテンとなった、徳島が誇る左サイドのチャンスメーカーだ。今回、彼を「日本代表へイチオシ」として推薦したい。  

理由は、もちろんまず彼の大きな特徴であるドリブル技術。緩急の変化とトリッキーなアイデア溢れるそれは、昨季幾度となくチームにビッグチャンスをもたらした。サポーターが選ぶ「2005徳島ヴォルティスMIP」を受賞したことが証明する通り、その活躍は誰もが認めるところだ。 
そして何より、常に相手に向かっていく積極性を彼の最大の魅力として推したい。170cmのやや小柄とも言える体格ながら臆することなく屈強なDFたちに勝負を仕掛けるその姿勢は、いつも観る者の心を強く引き付ける。もし日本代表としてプレーすれば、彼のそのプレーがきっとチームメイトや後押しするサポーターの力を今以上に引き出してくれるに違いない。ぜひ日の丸を付けた姿を観てみたい選手だ。  

【開幕時の布陣予想】

昨シーズン採用していた3-5-2から、今季は4-4-2に変更される可能性が高い。目的は、やはり「失点数を減らすこと」。と言っても、単純に自陣ゴール前の枚数を増やしてそれを図ろうとするのではない。その反対で、積極的な攻撃の狙いを持ってDFを4枚にしたのである。 
昨シーズンの失点場面を振り返ると、「サイド」が大きなポイントとなったことが少なくない。そこを起点に、あるいは最後にそこを突かれて失点に至ったシーンが幾つも思い出される。そこで、『その重要なサイドを制する』というのが本当の狙いだ。
具体的には、守備の際には前線からのプレッシングで相手を意図的に「サイド」へ追い込み、数的有利の状況を作ってボールを奪うということ。ボールを奪えば、サイドDFがサイドMFを常にサポートすべく果敢に押し上げ、攻撃面でも数的有利を作り出して突破を図る…。こうした積極的な「サイド」の制圧で攻守両面において優位を奪い、結果的に失点の減少にも繋げようというのである。 
選手全員の豊富な運動量と高い集中力が要求されるこのシステム。しっかりと機能しさえすれば、魅力的なアグレッシブなサッカーが展開され、望む結果を引き寄せられるに違いない。  

Reported by 松下英樹


2006開幕直前 クラブ別キャンプ・戦力分析レポート
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2025/12/21(日) 10:00 知られざる副審の日常とジャッジの裏側——Jリーグ プロフェッショナルレフェリー・西橋勲に密着