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【2006シーズン 戦力分析レポート:鳥栖編】新加入選手15人で厚くなった選手層。松本監督3年目の今季、狙うは「J1昇格」。(06.02.16)

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【今季の見どころ】

松本育夫監督がチームに携わって3年目となる今季。就任当時から残っている選手は、GKシュナイダー潤之介とMF村主博正の2人だけになってしまった。 
チーム再建を託された1年目、がむしゃらに突っ走った。チームの半数以上を入れ替えた2年目、『戦う姿勢』を植えつけた。そして勝負の3年目、経験豊富なベテランと将来性豊かな若手とで昇格を見据えたチームとなった。 
昨季までは数少ないチャンスを生かしつつも失点を繰り返し、勝点に結びつけることができなかった。過去最高勝点の52を上げたものの8位に甘んじた。58得点は12チーム中6位、58失点は6位と健闘したものの、負け試合数が草津に次いで11位と多いことで妥当な順位に納まったと言わざるを得ない。その大きな原因は、中盤でのボールの支配率によるところが大きかった。簡単に失っては、DFが身体を張って守るシーンが多く見られた。身体を張って守るがゆえのセットプレーを与えるシーンも多く、失点の原因につながっていた。  

今季の選手補強は昨季の反省を踏まえた効果的なものになった。中盤でのボールの支配率を上げるべく、技術と戦術を有している選手が多く揃った。特筆すべきは2002年W杯韓国代表でC大阪にも在籍した尹晶煥である。彼の加入は、DFとFWの縦の関係を『つなぐ』だけでなく、DF・MF・FWという横の3ラインでフィールドを使い、攻守のバランスを取ることができるようになった。
昨季までの『戦う姿勢』に加え、狙って攻めることと狙ってボールを奪うことが加わった。この『狙う』ことこそ、今季掲げる『つなぐサッカー』の集大成と言える。  

48試合の長丁場の今季、クラブの目標は『負け数プラス10の勝ち試合』。昨季のような得点を取っても失点してしまう内容を減らすことで、無用な負け試合は減るに違いない。『試合数よりも少ない総失点数』も今季掲げた具体的な目標で、前述した『つなぐ意識』で達成可能な数値と言える。キャンプ中から岸野ヘッドコーチの指示を受けながら、狙ってボールを奪う練習を繰り返していた。リーグ終了時には総勝点75を狙う。  

DFには高さと強さを備えた金裕晋が入り安定感を増した。その前で尹晶煥がチーム全体をコントロールする。FWには新加入ながらポストプレーに上手さを見せる藤田祥史(立命館大)が利いている。結果的に放り込まなくてもつなぐことが出来るようになった。 
昨季、ゲームを引っ張った選手たちも健在である。もともとサイド攻撃には定評がある。昨季までの早いプレッシャーに上手さが加わることで、確実に試合内容を計算できるようになった。今季、多くの感動を与えてくれるに違いない。

【注目の新戦力】

今季は15人(2月15日現在)の新戦力を迎えた。その中でも尹晶煥の存在が光る。尹にボールが渡ることにより、濱田武や高橋義希が自由に動くことができ、中盤での攻撃幅が広がった。昨季までサイド攻撃に頼っていた戦術に、センターからの攻撃も加わった。FW藤田祥史の加入もその一翼を担う。昨季までの鳥栖にはないポストプレーに上手さを見せる。2トップを組む新居の得点機会が増えるに違いない。 
DFに加入した189cmの金裕晋の存在は、守備だけでなくCKからの得点力も期待できる。代表暦こそないものの、厳しい韓国リーグやAFCチャンピオンズリーグでの出場経験も豊富で、鳥栖のDFに安定感と強さを与える。 
経験を持った選手も今季は多く加入した。吉田恵(広島)・山口貴之(草津)の多くの経験は、若い選手にとっては貴重なものになるであろうし、チームの戦力を確実に底上げしている。衛藤裕(福岡大)や廣瀬浩二(阪南大)もルーキーらしからぬ生きの良さで開幕のラインナップを狙える活躍を見せている。  

【日本代表へイチオシ】

●MF 7 濱田武 
今季、鳥栖では若い主将が任命された。弱冠20歳のMF高橋義希である。年上選手が多い中での主将任命は、チームの期待と彼の将来性を示している。昨季途中には、「第33回ツーロン国際大会」(フランス)でU-21日本代表として日の丸をつけてプレーした。スピードとパスセンスに非凡なところを見せ、今季は中盤の要として文字通りチーム牽引の責務を負う。素直な性格と貪欲にサッカーを学ぼうとする姿勢は、多くのファンをも惹き付ける。 
同じ中盤でしのぎを削る濱田武も非凡な才能を見せる。U-22・U-23で代表経験を持ち、J1(C大阪)でも要所で持ち味のパスを見せていた。鋭いパスと視野の広さは、ゲームメーカーとしての資質を十分に有している。 
この2人の才能が、鳥栖のFW新居辰基の得点能力をさらに生かすことになる。彼ら2人が中盤で自由に動き回り、ボールが入ることにより攻撃のオプションが無限大に膨らむ。2002年W杯韓国代表の尹晶煥と一緒にプレーできることも彼らの能力を伸ばす要因となるだろう。遠慮することなく自身のプレースタイルを前面に出し、積極的に動いて回ることにより、日本代表が必ずや近づくに違いない。  

【開幕時の布陣予想】

昨季までの主力に新加入選手を加えて、選手層は随分と厚くなった。DFからFWまでをコンパクトに絞り、ボールを失うことなくシュートまで持っていくことができるようになった。高さのあるDF陣が加わり、安定感も増した。 
基本陣形は4-4-2。2枚のサイドのDFにはスピードのある選手を配置して、積極的なサイド攻撃を見せる。中盤にはパスとドリブルが得意な選手を配置して、前線への起点となることができる。FWには昨季のJ2で日本人得点王となった新居辰基を中心に、積極的にゴールを狙う陣容となる。  

GKには実績のあるシュナイダー潤之介が開幕GK候補の一番手。これを若手の中林洋次が追う。 
センターのDFには、新加入の金裕晋とDFリーダーの飯尾和也が入り、確実に攻撃の芽を摘む。左サイドDFには、スピードのある高地系治と新加入の廣瀬浩二がしのぎを削る。右サイドDFには、衛藤裕がコンバートされるかもしれない。加藤秀典・立石飛鳥・小井手翔太らが怪我で出遅れているのが心配の種。 
MF陣は尹晶煥を中心に濱田武・高橋義希と組むものと予想される。今季よりボランチの位置に入る高橋の出来が、チームの浮沈を握るといっても過言ではない。これに新加入の山口貴之・小林成光・山城純也が絡んでくるものと予想される。 
FWは新居辰基を中心に戦術によって新加入の藤田祥史とスペースに飛び込むのが上手い鈴木孝明を使い分けるものと予想できる。 
様々な攻撃の形を作ることができるようになった今季。昨年以上の攻撃力を有していることは間違いない。守備においても昨季の早いプレッシャーに加えて、1対1の強さと高さを備えた今季は安心して見ることができそうだ。  

Reported by サカクラゲン


2006開幕直前 クラブ別キャンプ・戦力分析レポート
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