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【2006シーズン 戦力分析レポート:福岡編】昨季をベースに経験豊富な即戦力を補強。5年ぶりのJ1に挑む!(06.02.16)

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【今季の見どころ】

「ある程度、選手の持つ可能性も確認できた。大きなけがもなく、いいコンディションでみんなが仕上がっている。非常にいいキャンプだった」(松田浩監督)。福岡は上々のうちに宮崎での2次キャンプを打ち上げた。新加入のベテラン勢の存在感、J1戦士になった自覚、そして補強による競争の激化。そういったものが有機的に作用して、チームはひと回り大きくなった印象が強い。まずはいいスタートが切れたと言っていいだろう。  

5年ぶりにJ1で戦う福岡だが、戦い方のベースは変わらない。特定の誰かに頼ることなく、チームのディシプリンに基づいて、全員攻撃・全員守備の組織サッカー。戦う意識と、ひとつひとつのプレーのレベルを上げてJ1の舞台に戦いの場を求める。ほとんどの選手がJ1のプレーを直接知らない若いチームの最大の懸案事項は「経験」だったが、J1から経験のあるベテラン選手を中心に補強することで解決を図っている。 
そのベテラン選手たちもチームに溶け込んでいる。戦術理解度も高く、トレーニングマッチでは全く違和感を感じさせずにプレーしている。中でも布部陽功は早くもチームに欠かせない存在になりつつある。「声がよく出て、ゲームをコントロールしてチームメイトを落ち着かせたり、集中を促したり、そういう面で非常に効いている」(松田監督)。「ああやって声を出してくれるベテランがいると助かります」(古賀誠史)とチームの信頼も厚い。  

残された課題はFWか。宮崎キャンプでは、グラウシオは相変わらずの切れを見せ、トレーニングマッチ3試合で3得点を挙げた田中佑昌は更なる飛躍の予感を感じさせるが、それに続くFWは出てきていない。宮崎でのトレーニングマッチではアレックスと川島眞也をFW起用したが、現状ではまだ決め手はないようだ。決定力の部分はJ2時代からの福岡の課題。この解消がJ1での戦いに大きな影響を与えるだけに、残された期間で他の選手たちの奮起を期待したい。  

「去年からやっていることは変わらない。満足せずに、その質をもっともっと上げていくことがやるべきこと。選手たちは非常にいい競争をしてくれているが、それが個人の意欲をすごくかき立てている。その結果、個人が大きくなっていけばチーム自体も強くなっていく。精神的な部分研ぎ澄まして開幕に向けて高めていきたい」(松田監督)。福岡はベテランの経験と、若手の勢いを融合させて5年ぶりのJ1の舞台に立つ。  

【注目の新戦力】

チームに経験をもたらすために獲得したフィールドプレーヤー5人が今シーズンの補強の目玉。サッカーに対する真摯な姿勢と、J1で戦い抜いてきた実績はチームに変化を与えている。練習場には緊張感が漂い、ひとつひとつのプレーの精度が上がった。「やはり来た人の影響が大きいと思います。チームが違うチームになったというくらいのものがあります」(千代反田充)。積み重ねてきた経験は血となり肉となって、チームを逞しくさせている。  

その中でも注目の選手と言えば布部と久藤清一の2人だ。布部は中盤ならどこでもやれるユーティリティプレーヤー。福岡ではホベルトと組んでボランチの位置に入る。時には積極的に攻撃に参加し、時には慎重に守備組織を整えてチームのバランスをコントロール。持ち味であるキャプテンシーを発揮して若い選手たちを引っ張っている。「信頼関係が少しずつ出来てきたことを感じる」とは本人の弁。コンビネーションの高まりとともに、その実力を余すことなく披露してくれることだろう。 
「ポジションは?」と尋ねると「中盤」と答えたのは久藤。その言葉どおり、MFならどのポジションでもこなす。J2からJ1優勝まで、さらには98年には福岡の補強選手としてJ1参入決定戦でもプレーする等、その経験は豊富。背番号10を与えられたことから分かるようにチームの期待も大きい。そして、ゲームの流れを読む高い能力はチームに落ち着きをもたらす。けがのために出遅れたが、開幕までには間に合わせてくれるはずだ。  

【日本代表へイチオシ】

●GK 1 水谷雄一 
日本代表でプレーしてもらいたい選手は? と問われれば、文句なしに水谷雄一を推す。2004年シーズンは43試合でフルタイム出場。そして昨年は全44試合にフル出場した不動の守護神。至近距離から放たれたシュートをすばやい反応で弾き返し、ピッチに響き渡る大きな声で仲間に檄を飛ばす。誰よりもプロ意識に徹するプレーヤー。「1日24時間をちゃんと使わないと」。しかし多くは語らない。努力は人に言うものではないとの信念があるからだ。 
技術とフィジカルの向上のためには何でもやる。昨年の夏からは個人で契約してメンタルトレーニングを行い、暮れからは筋力強化のために新たなコーチとも個人契約を交わした。自分が必要だと思ったことは何でも取り入れ、忍耐強く続けていく。その絶え間ない努力の積み重ねが2年間で87試合にフルタイム出場したという実績につながった。それでも全く満足は感じていない。「フル出場といってもJ2」。常に高い位置だけを見つめる姿がある。  

「代表のことは全然考えていない。とにかくJ1でどれだけ出来るかを考えている。もし出来なかったら、そのレベルでしかないということ。どこまで通用するかが楽しみ」。本人に日本代表入りについてを尋ねると、そんな答えが返ってきた。しかし、変わらぬ努力を続けるのなら、いずれは意識せざるを得ない状況が生まれてくるはずだ。GKとして円熟期を迎えるのはこれから。更なる成長と代表入りを期待したい。  

【開幕時の布陣予想】

GKのポジションは不動のGK・水谷雄一で決まり。本人は今年も全試合フル出場を目指す。最終ラインの中央は千代反田充と金古聖司が東福岡高校以来のコンビを組む。「とてもやりやすい。高さはもちろんあるが技術が高い」と千代反田。トレーニングを積む中で連係を深めている。また、中村北斗は右サイドバックでプレー。1対1に強い特徴が最も生かせるポジションで、レギュラー定着と北京五輪代表をめざす。  

レギュラー争いが最も激しいのが中盤のポジション。その中で絶対的な存在感を見せているのがホベルトと布部だ。特に布部は早くもリーダーシップを発揮して中盤をコントロール。大きな声で仲間に指示を与えている。「ああいう人がいるとやりやすい」(古賀誠史)と、チームメイトからの信頼も厚い。そして左サイドは古賀。随所に見せる献身的な守備が示すように、精神的な充実度は素晴らしい。右サイドは久藤清一の先発が予想されるが、けがでの出遅れが心配されるところ。切れ味の鋭さを維持する宮崎光平が、開幕スタメンの座を虎視眈々と狙っている。  

2トップはグラウシオと田中佑昌。キャンプ中に3試合で3得点と結果を出した田中は覚醒の予感を漂わせる。しかし、唯一層の薄いのがこのポジション。この2人に次ぐFWは現在のところ現れていない。状況によっては、ポストプレーヤーとしての可能性を感じさせる川島眞也や、アレックスを前線に投入することも予想される。  

Reported by 中倉一志


2006開幕直前 クラブ別キャンプ・戦力分析レポート
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