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【J2:第11節 山形 vs 仙台 仙台レポート】先制点を上げた仙台は強い。一気に形成を逆転し、ダービー史上初の3点差をつけ圧勝。(06.04.22)

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4月22日(土) 2006 J2リーグ戦 第11節
山形 0 - 3 仙台 (14:04/山形県/11,142人)
得点者:'23 熊林親吾(仙台)、'50 ロペス(仙台)、'59 萬代宏樹(仙台)
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ダービー用の特別の席割りがなされた、山形県総合運動公園陸上競技場。ハーフウェイラインをスタンドまで延長して、スタンド全体のメインスタンドから見て左側が山形、右側が仙台に仕切られたのだが、最近のこのスタジアムでのダービー同様、右半分の大半は仙台サポーターが埋め尽くした。

サポーターは立派な仕事をした。ではチームはどうかというと、ここ数節同様、立ち上がりから山形の攻撃にさらされる。ただ正確に言うと、ピッチ内の実情は過去の数試合と若干違っていた。最後尾で守る高桑は述懐する。「今までは撃たれる前にしっかりとケアができていたが、今日は危険なシュートを撃たれたり、変な取られ方をしている」。つまり、同じように序盤、シュートの雨あられを食らいながら、結局3ゴールを上げて快勝した前節・東京V戦では、ある意味相手攻撃陣を「手のひらで躍らせていた」が、今回は決してそういう状況ではなかったということだ。事実、前半半ばには、佐々木が放ったミドルシュートがバーを直撃するなど、この試合まで5試合続けた無失点記録があわや潰えるかという場面もあった。
だがそんな状況でも、チームとして最低限の集中力は切れておらず、それが23分の場面で花咲いた。中盤低い位置でロペスが持った時、彼に対しての山形のプレスが一瞬緩まった。そのロペスから、右前方のチアゴ ネーヴィスへ長いパス。チアゴがドリブルで右サイドを持ち込んで行った時、ここまでバランスを取ることに務めていた熊林が、チアゴを追う形で右サイドを駆け上がっていった。そしてチアゴがこぼしたボールが、ちょうど上手くスイッチしたかのような形で熊林に渡る。熊林はスピードに乗ったまま、右サイドからセンタリング…ではなかった。ゴール前に向かったボールは、センタリングかと思いマウスを空けた山形GK清水をあざ笑うかのように、彼の頭上を越えて左のサイドネットに吸い込まれていく。ゴールマウスの背景にあった黄金色が、一気に沸点に達する美しいゴールで、仙台は先制点を掻っさらっていった。

どんな形であれ、そしてそれまでの展開がどうであれ、先制点を得た仙台は今シーズン、とんでもない強さを発揮する。仙台の攻撃陣を、自分たちが前がかりの状態で完全に止められるチームは決して多くないのだから。
しかもこの試合では、出場停止のボルジェスに代わりスタメン出場した萬代が、ボルジェスに負けない貢献度を見せていた。「ボルジェスにはない」と自ら語るラインの裏を取る動きで、山形守備陣を徐々に脅かし始める。それが50分に活きた。萬代のポストプレーを受けたチアゴは、左サイドで裏を取った萬代にスルーパス。萬代はそこから強いグラウンダーのパスで折り返すと、山形・GK清水が何とか弾いたその先には詰めてきたロペス。絡んだ皆が各々の長所を発揮して生まれた2点目に、勝利を確信した仙台サポーターも多いのではないか。
そしてその9分後、さらに勝利を決定付ける3点目を、おそらく皆がゴールを取らせたいと思っていた男が決める。ロペスが右サイドを強引に突破しながらマークを引き付け、ここぞとばかり上がってきた菅井にスルーパス。ダイレクトで狙い済ましてゴール前に入れると、後は完全フリーの萬代が流し込むだけだった。
山形も終盤に人数をかけて反撃を試みるが、3点のビハインドの精神的ダメージは大きいか、人数をかけるのみで形にならなかったことも幸いした。0-3で仙台の圧勝。ちなみにJ2開始の1999年以降、このカードで3点差以上が開いたことは、この試合が初めてである。

振り返るが、5試合連続無失点を誇っていた守備陣は、今日は決して本調子だったわけではない。だがチームの多くの選手が語るように、最近の仙台は先制点さえ何とかあげれば、あとは全てが上手く進んでいく。こうした「信じられる何か」があるチームは、強い。次節はボルジェスが戻ってくる。萬代の活躍に触発された彼の発奮も楽しみだし、守備ではJリーグタイ記録となる、7試合連続無失点がかかる。仙台は日に日に、目の離せないチームへと変わりつつある。

最後に蛇足だとは思うが、一言どうしても書きたい。
今日の試合は「好敵手」という意味を考えさせられる一戦だった。先ほど「3点差以上の試合はなかった」と振り返ったように、これまでのダービーは、両チームのチーム状況や順位に関係なく接戦が続いてきた。これは思うに、互いの意地やプライドが一方的な内容を許さなかった部分が大きいのだと思う。だからこそ仙台と山形は、互いに意識しあう存在として成り立っていたのだ。
今日の大勝、仙台側として喜ばしいのはもちろんだが、0-3となって以降、ピッチ上は緊張感を欠いた撃ち合いとなり、これまで常に存在していた「張り詰めた空気」は明らかに薄らいでいた。寂しかった。
試合後、山形のサポーターはスタンドに居残り叫び続けていた。彼らはきっと、勝ち負けと同じくらい、ダービーなのに自分たちを燃やしてくれないチームにいきり立っていたのではないだろうか。もしそうだとすれば、勝ち負けの違いこそあれ、少なくとも私も同じ気持ちだ。もちろん、仙台が自らのサッカーを下げることなど誰も望まない。次回のダービーでは、東北のサッカーシーンに根付いた「みちのくダービー」という祭りの火を絶やさないために、山形の奮起を望みたい。


以上

2006.04.22 Reported by 佐々木聡
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