5月27日（土） 2006 J2リーグ戦 第18節
柏 2 - 1 札幌　（14:04／柏／8,594人）
得点者：'9 大谷秀和（柏）、'27 砂川誠（札幌）、'80 岡山一成（柏）
----------

「ありがとうございます！ついに決勝点を決めちゃいました！次のホーム戦（vs東京V）では友達も誘って12,000人以上集めましょう！そしたら又、勝ちます！！」

ヒーローインタビューで、マイクを自ら手にしてサポーターに向けて叫ぶＤＦ岡山。それからチームキャラクターのレイ君と共に足早にゴール裏に向かい、イレブン全員とサポーターでの大合唱。DF小林（亮）もサポーターの大旗を受取り、バックスタンド前で掲げて喜びを分かち合った。

晴れ間が出たのも束の間、試合開始30分前からは再び雨が降り出していた柏サッカー場。にも関わらずユニフォームにポンチョ姿で黄色に染まったゴール裏・バックスタンド。
そのレイソルサポーター達と、選手達がひとつになって、首位を守り続ける手応えを噛みしめた様に、誰の顔にも笑顔がほころぶ、そんな温かい光景が長い時間見られた。

岡山の決勝点は後半３５分、左CKのリカルジーニョのクロスを見事なタイミングでのヘディングゴール。ディフェンダーでありながら、５ゴール目を記録した。
前回のゴール（第１５節のｖｓ鳥栖戦）では、その後２点追い突かれてドローという結果だった為、翌日の岡山は「サポーターに本当に申し訳ない。あんなサッカーをしたのでは、ゴールの意味はなかった」と悲壮感を漂わせていた。一方今日のゴール後は、今朝第３子が誕生したばかりのチームメイトMF瀬戸の為に満面の笑みでゆりかごパフォーマンス。何よりもサポーターとチームの為、そして全てが一体となる瞬間を大切にする岡山の気持ちが、今日の拮抗した試合での決勝ゴール、ホーム戦４連勝という最高の喜びとなって伝わってきた。

試合は前半９分、カウンターから右サイドMF谷澤が飛び出し受けたボールのクロスを、MFディエゴがスルー。そこへ左サイドから上がり中央にいたDF大谷のヘディングがピタリと決まったゴールで柏が先制する。

しかし、その後は「（札幌の）３−５−２に対して、プレスを前線からかけたいという意図で４−１−４−１としたが、プレスをかける前に蹴られてしまった」と石崎監督も語った様に、FW中山の頭に目掛けてボール蹴られ、そのセカンドボールを拾われるなどピンチを招いていた。
そんな中、前半２７分には、セカンドボールを拾った札幌MF大塚からＦＷ相川に渡ったボールを前・柏のＭＦ砂川の右足シュートで同点にされ、振り出しに戻ってしまった。

しかし「同点になっても焦らずに修正できた」とＤＦ大谷も語った様に、石崎監督のハーフタイムでの指示と、「もう少し点を取りたいということで、ＦＷ李忠成を入れたときに３バックにし、こちらは李とＦＷフランサの２トップにした」というシステム変更が功を奏した。

攻守の切替えやタイミング、運動量の少なさを課題にあげていた柏だが、ここ1週間で戻ってきた選手が加わり、選手層が厚くなり始め、いくつかのシステムパターンを采配のオプションとして、状況に応じて使えるようになった感がある。
また、ゴールをしたＤＦ岡山にしても「次は守備をもっと徹底させないと」を反省を忘れない。決勝点をアシストしたＭＦリカルジーニョも「今日のＣＫはグランドも濡れていたし、これまでは強すぎたので少し力を抜いて合わせてみた」と語るように、選手個人が各々の役割りをはっきり見据えて落着きを持って、何となくの勝利を『ホンモノの強さ』にしてきた印象を受ける。

さらに「苦しい中２−１で勝てたことは、選手の勝ちたいという気持ちが出たのだと思う（石崎監督）」と言う通り、本日出場停止のＭＦ山根に代わって６試合ぶりに９０分出場を果たしたＭＦ永井からは「今日は全て出し尽くした。でも明日のサテライトも出られる準備はしておきます」とひたむきに貪欲に１試合１試合に向かうという気持ちが伝わってきた。前節Ｊ初スタメンデビューを飾ったＤＦ石川もベンチを温めて終わった今日を「凄く出たかった」と悔しさを意欲に変えている。

２位に迫る横浜ＦＣも勝利した今節。１試合数違う暫定の勝点の為、首位を守る柏も油断は出来ない。
しかし、札幌選手が認める柏の「ゲームをモノにする勝負強さ」は、復帰してくる選手と共に、そしてレイソルサポーターの大合唱の声と共に確かな強さに繋がる、そんな手応えを感じた一戦だった。

以上

2006.5.28 Reported by 脇本カオル