7月16日（日）J2 第28節 東京Ｖ vs 徳島（19:00KICK OFF/味スタ）
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「ここがチャンスなんだよ」。仙台戦で6試合ぶりの勝利を挙げた翌日のクラブハウスで、ラモス監督は自分自身に言い聞かせるようにこの言葉に力を込めた。チーム状況が上向きになったことを実感する今、「４連勝、５連勝して（ラモス監督）」再び上位に食い込んでいかなくてはならないのだ。

上向きの背景には、3連敗目となった２４節・札幌戦での惨敗後、「まず守備から」の戦い方へとシフトチェンジしたことがひとつ。
翌２５節・横浜ＦＣ戦では波に乗る上位チームを相手に引き分け連敗をストップし、続く鳥栖戦でも退場者を出しながらも引き分け。前節には「Ｊ２で今1番強いチーム」とラモス監督が評する仙台からこれも数的不利の中、勝ち点３を奪取することに成功した。
連勝ではないだけに最高の結果とは言えないが、チームに安定感がでてきたことは間違いない。ＤＦ藤田の言う「リーグを半分消化して、チームがフィットしてきた事と、ＭＦマルクスの存在も大きい（ＤＦ藤田）」こともその要因だろう。

いずれにしても、今チームには「巻き返しの時期がやってきた」との雰囲気が漂う。
そして今節の徳島戦では、その「巻き返し」に重要な役割を担う新外国籍プレーヤー、ＭＦゼ　ルイスがお披露目されることになりそうで、嫌が応にも期待が高まっている。

ゼ　ルイスはサン タカエターノ（ブラジル）から移籍の２７歳のボランチ。「ブラジルでも代表クラスと言われている選手」とラモス監督の話す通り、パルメイラスやコリンチャンスといったビッグクラブからのオファーもあったそうだが、東京Ｖを新天地に選び来日した。
木曜日の練習試合でも、シンプルにボールを捌きゲームを組み立て、チャンスと見れば前線に顔を出しチャンスメイク。ＦＷ森本に絶妙のパスを供給し、アシストも記録する活躍だった。
徳島戦では出場停止の久場に替わり３ボランチの一角に入ることになりそうだ。「ポジショニングもいいし、ハートも強い。試合の流れを変える力もあるし、前を向いてのプレーは相手に脅威になるね」と、ラモス監督は既に手放しで高評価を与えている。来日して1ヵ月、登録上の都合でここまで公式戦には出場できなかったが、この間にコンディションも上がり、チームにも随分馴染むことができた。いよいよ満を持してのＪ公式戦デビュー。この試合では特に注目していきたい。

とはいえ、相手は過去２回の対戦で苦しめられている徳島だけに、勢いこんで試合に入ると痛い目に遭うだろう。初対戦となった開幕戦での４−１の勝利も、そのスコアと試合内容は決して比例したものではなかった。ましてや１６節のアウェイ戦では、０−２で完封負けを喫している。

しかも当時徳島は１０試合勝ち無しの最下位というドン底の状況だった。現在も最下位に甘んじてはいるが、だからといって侮ってはいけない相手なのだ。
徳島がここまで挙げた５勝は、草津に2勝した他は、神戸、東京Ｖ、柏から。ということは去年までのＪ１チームからは全て勝利を挙げたことになる。それがチームコンセプトに沿うものかは別にして、トップの選手に徹底的にロングボールを放り込むという形が多い徳島に「あれだけカウンター狙われると、うちにとってはやりずらい」と東京Ｖ・藤田は印象を話す。今回の対戦でも、そうやすやすと勝たせてはくれないだろう。

その徳島の注目はやはりＭＦ玉乃の味スタ凱旋。柏戦での移籍後初ゴール以来調子を上げている玉乃は、前節山形戦でもゴールを決めている。玉乃が懐かしいスタジアムでどれだけ成長したプレーを見せるのかは、東京Ｖサポーターにも楽しみのひとつだ。

今回の会場は味の素スタジアムで、東京Ｖにとってはまさに「ホーム」。が、その味の素スタジアムで今季まだ未勝利というのはあまりにも寂しい。今節こそ慣れ親しんだ「味スタ」で、サポーターと共に勝利の喜びを分かち合いたい。

以上

2006.07.15 Reported by 高木聖佳