7月19日（水）J1 第13節 福岡 vs Ｆ東京（19:00KICK OFF/博多球）
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　突然の監督解任で始まった福岡の中断期間。その後の２ヶ月間は選手にとっても、サポーターにとっても濃厚な２ヶ月間だった。中々決まらなかった後任監督。不明確なクラブのビジョン。自らの力不足を悔やみ、方向性を見つけられず、思い悩む日々が続いた。しかし、川勝良一監督就任とともにチームは一変。Ｊ１残留の目的を果たすべく、限られた時間をフルに使ってチーム改革に力を注いできた。そして１９日、福岡は新たなチームとして博多の森に戻ってくる。

　チームの合言葉は「意識を変える」。それはトレーニングに臨む姿勢を変えることであり、プロ意識のさらなる徹底であり、そして、攻守に渡っての考え方を変えるものだった。相手の攻撃を凌ぎながらチャンスを探るサッカーではなく、自らが仕掛けて点をもぎ取りに行くサッカー。高い位置から激しくボールを追い、チャンスには人数をかけてゴール前に飛び込んでいく。そして組織的な守備を継承しながら、相手を封じ込める個の強さを求めた。

　その成果は特に攻撃面に顕著に現れている。守備面では若干の戸惑いも見られるが、それは不慣れから来るもの。「こちらの伝えたいことは理解している」（川勝監督）。総じて見ればチームの調整は順調と言っていい。ただし、時間が足りなかったことも事実。ディテールの部分は試合を重ねながらつめていくことになる。勝ち点を落とす余裕がない福岡は、新しく身につけたスタイルに加え、勝利にこだわる強い姿勢を持って試合に臨めるかが大きなポイントになりそうだ。

　一方のＦ東京は序盤戦を終えて５勝２分５敗の９位。新しく就任したガーロ監督の目指す方向性が上手く選手たちに伝わらず、内容的に浮き沈みの激しい前半を過ごした。しかし、２ヶ月間の中断期間は、両者の間の壁を崩すには有効な期間になったはず。もともと、才能のある若い選手が多いチームだけに、勢いに乗れば手強いチーム。ナビスコカップの予選は福岡の１勝１分だったが、福岡にとって簡単な相手ではないことだけは確かだ。

　金沢浄が右アキレス腱断裂の大けがで戦線離脱したのは、Ｆ東京にとっては大きなマイナス材料だが、その一方で約９ヶ月ぶりに石川直宏が復帰するという好材料もある。復帰戦はスピードを生かすべくＦＷでの起用が予想されており、サポーターも大きな期待を寄せている。１２日に行われた川崎Ｆとのトレーニングマッチでは、中盤でボールをつなげてもフィニィッシュに持ち込めないという従来の課題が顔を見せたが、１９日までに、どこまで修正してくるかが鍵を握りそうだ。

　２ヶ月間の中断期間を経て、福岡も、Ｆ東京も、新しい姿をピッチの上で披露するはず。中断前の互いの戦い方は参考程度でしかないだろう。しかし、どのような戦い方をしようと、勝負事のベースにあるのは勝利に対する強い意欲と、どんな状況に追い込まれても自分自身を見失わない強いメンタリティ。そこでまさったチームが勝利の二文字を手にすることになる。博多の森では激しい戦いが繰り広げられることになりそうだ。

以上

2006.07.18 Reported by 中倉一志