7月29日(土) 2006 J1リーグ戦 第16節
清水 2 - 0 磐田 (19:05/静岡/24,920人)
得点者:'31 高木純平(清水)、'55 枝村匠馬(清水)
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試合前の時点では、順位も勝ち点も近く(清水は勝ち点25で6位、磐田は勝ち点23で7位)、得失点の数値も近かった両チーム。だが試合が終わってみると、両者のチーム状態には数値的な差以上の開きが感じられた。
まだ梅雨明けは発表されていない静岡地方だが、この日は真夏の天気となり、公式記録では気温28.0度、湿度65%。傷んだ選手が出て時計が止まると、全員が一斉に水を飲みに行くという状況でのゲームとなった。
キックオフ直後にまず目を引いたのは、磐田がこれまでの4バックから3バックに変えてきたこと。田中がケガで欠場したDFラインは、大井がマルキーニョスに完全なマンツーマンでつき、茶野と金が2人で受け渡しながらチョ・ジェジンをタイトにマーク。清水自慢の2トップに対して、マークを徹底させるという意味での3バックだった。
メンバー表ではDF表記だった服部は、中盤の左アウトサイドに入り、菊地が右アウトサイド。ボランチはいつもの福西とファブリシオで、トップ下の左寄りに成岡、右サイドに張った位置に太田、そして1トップ気味に前田という布陣。
対する清水は、いつも通りの4-4-2で、ケガで欠場した藤本に代わって高木純平が中盤の左ワイドに入った以外は、これまでのレギュラー布陣と変化なし。
アジウソン監督になってから人へのマークをはっきりさせる守備を行なっている磐田は、この日はさらにマンマークの意識を強め、DFラインは前述の通り。そして中盤では、兵働と市川(清水の右サイド)を服部とファブリシオが受け渡しながら見張り、左の高木純は菊地がマンマーク。清水のボランチに対しては、福西が主に枝村を見て、成岡が伊東を担当するのが基本形だった。
逆に清水の守りでは、左サイドバックの山西が攻撃参加を完全に捨てて、磐田の最大の武器である太田の突破をケアしたのが、いつもと少し異なる部分。
両チームとも守備の整備をきっちりと行なってきた結果として、序盤はある程度守備優位の展開となった。しかし、時間とともに相手のシステム変更にも対応し、攻撃の糸口を見出していったのは清水。
清水が優位に立ったポイントは、2ヶ所あった。まず中盤のインサイドでは、枝村と伊東が運動量で上回り、磐田のマンマークを引きはがす場面を多く作るとともに、兵働や高木純らとセカンドボールもよく拾って、主導権を握っていく。
そうしてポゼッションで優位に立つと、目立ってきたのが右サイドからの攻撃。前節を出場停止で休んだ兵働が、前後左右に精力的に動きながら、スペースに飛び出してボールを受け、そこでしっかりとキープして、市川の攻め上がりを引き出す。そこを市川の走力でオーバーラップされれば、さすがの服部とファブリシオにも捕まえきることは難しかった。
先制ゴールは、まさにその形から。31分、兵働が服部の裏に飛び出してキープし、その外側を追い越す市川にヒールパス。そこから市川がファーサイドにクロスを入れ、チョのヘッドはバーに当たるが、跳ね返りを高木純が頭で押しこんで清水が先制点を奪った。「相手はマンツーマンでギャップがすごくできていたので、そこをうまくつこうと意識していた」(兵働)という狙い通りのきれいな崩しから生まれたゴール。久しぶりの先発となった高木純が結果を出したことも、清水にとっては大きかった。
一方、磐田の攻撃は「人と人との距離が離れすぎていた」(服部)という問題を何人かが指摘した通り、ボールを持った選手に対するサポートが不十分で、パスが思うように前につながっていかない。クサビのボールもなかなか入らず、太田への長いパスも山西にうまく止められて、前線でもサイドでもあまりタメを作れなかった。前半のシュートは、わずか2本。清水がゲームを支配したまま45分が経過した。
後半は、磐田が頭から上田(←服部)と西(←成岡)を投入して、左サイドを一気に2人代え、システムも4-3-3(状況によっては3-4-3)に変更。リスクを冒しながら攻めに出ることで前への圧力を強め、市川の攻め上がりを抑えた。
この戦略はある程度成功したが、後半10分には清水が追加点を決める。自陣のゴールキックの競り合いから相手のミスをついて枝村が縦に飛び出し、ミドルシュートをゴール右隅に突き刺して2-0。これが清水にとっては、J1通算700ゴール(7チーム目)となった。
その後は、さすがに厳しい暑さの中で疲れの見え始めた清水に対して、攻めるしかなくなった磐田が激しい攻勢をかける。福西がポジションを前に上げてタメを作って、中盤を押しこむことで山西も意識を内側に向けざるを得なくなり、太田の前にスペースができ始めた。そこにファブリシオや菊地からもボールが出て、山西に走り勝った太田からクロスが入る場面が多くなった。これを受けるFW前田も、空中戦で強さを発揮して好調ぶりを示したが、GK西部の好セーブにも阻まれてゴールを奪うことができない。
終盤、中盤のスペースが広がって徐々に大味な展開となってきたのは、この暑さの中ではしかたない部分だろう。それでも清水の守備陣がゴール前でしっかりと身体を張って、磐田の意地の攻撃を最後まで防ぎきり、静岡ダービーでは6年ぶりに2点差をつけての完勝。首位・川崎Fに勝ち点で2ゲーム差に迫り、内容的にも上位陣を脅かす雰囲気を備えてきた。
敗れた磐田のほうは、やはりまだ新しいサッカーを作り上げていく途上にあり、戦術的にも綻びが出てしまった。ただ、今の時点では、結果に左右されすぎてチーム内の意識がバラバラになってしまうのが、最も危険なこと。ここから2週間のインターバルがある中で、どれだけ立て直していけるのか、アジウソン監督の手腕に注目したい。
以上
2006.07.30 Reported by 前島芳雄
J’s GOALニュース
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