7月29日(土) 2006 J1リーグ戦 第16節
甲府 1 - 1 浦和 (18:34/小瀬/17,000人)
得点者:'62 藤田健(甲府)、'75 三都主アレサンドロ(浦和)
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試合後、サポーターに挨拶にやってきた選手たちを、無言という意思表示で向かえた浦和サポーター。対して、甲府サポーターは拍手で迎えた。引き分けという試合結果ながらチーム状況、試合内容がこの対応の差になった。
試合開始後から、意外な印象を受けた。甲府と対戦する殆どのチームが狙うポイントを浦和は突いてこなかったからだ。4−3−3の中盤の底、大木監督が「アンカー」と呼ぶポジション(鶴見)に対するプレッシャーの少なさ、田中(達)、小野、山田の前線の3人の淡白なディフェンスがそうだ。
甲府のパス回しの基点となることが多いアンカーは、林がレギュラーを獲得しているが、今節は警告累積で出場停止。先発は鶴見だった。予想では鶴見に執拗なプレスがかかるはずだったが、鶴見が嫌なところでボールを奪われるシーンは殆どなかった。甲府が前節の広島戦からサイドを使うことを意識するようになったことも、マークを絞り難い要因になったかもしれない。また、甲府の3トップの両ウイング・長谷川、藤田がサイドに大きく開いたことで、浦和の中盤の三都主、平川がマークに追われて高い位置に上がれなかった。そのために、甲府がサイドを使いやすかったことも鶴見へのプレッシャーが厳しくならなかった要因に繋がるのかもしれない。しかし、それでも甘いと感じた。
浦和の前線3人の淡白なディフェンスは、甲府の組み立てを助けてくれた。彼らは前線からプレッシャーはかけるのだが、ボールが自分たちより後ろ(甲府から見て前)に行くと下がってボールを追いかけることはほとんどなかった。あそこで、執拗にボールを追えばボランチと連携してボールを奪い、高い位置からカウンターを仕掛けるチャンスが増えたはずだ。石原は「外国籍監督と日本人監督の差。日本人監督は徹底的に研究して嫌なところを突いてくる。でも、外国籍監督はそうではない人が多い」と話す。浦和は甲府を甘く見てはいなかったが、研究という点では甘かったということになるだろう。
ブッフバルト監督は会見で「ゲームを長い間コントロールすることが出来た」と話したが、甲府はパスを回させられているのではなく、回していた時間の方が長かった。悪い時の甲府は人が動かずに、ボールだけが動く時間が多くなるが、この日は人も動いていたしワンタッチパスや、プレッシャーをかわすミドルパスがいいタイミングで出ていた。ただ、その時間に比例するシュートチャンスやシュートの数を得ることが出来なかっただけ。この点は大木監督のいう「クロージング」という課題だ。ただ、選手個々の能力の高さという点では浦和は凄いチームだった。完全に数的不利な状況でも、スピードと技術の高さでシュートまでチャンスを繋げてくる。ゴールは決まらなかったが、田中、小野、山田、平川らが絡む攻撃は脅威だった。
後半17分に甲府のサイド攻撃が藤田のゴール(ヘディング)に繋がったのだが、左サイドで1対1の勝負を仕掛けてセンタリングを上げた長谷川の動きがよくなったことは今後の甲府にはプラスの要素。彼が前を向いて積極的に仕掛け、落ち着いてシュートを打つシーン増えれば得点力は高くなる。ただ、3トップの頂点のバレーがなかなかその能力を発揮できない。交代で入った須藤の方が、長谷川が活きるスペースを潰さないでくれるのだ。J1最低の予算で戦う甲府が、J1最高といわれる予算を誇る浦和に勝つ瞬間が刻々と近づくと思われたが、リードを保つことが出来たのは13分間だけ。大木監督も選手も「2点目を取れなかったのが甲府の弱さ」と話したが、まさにその通り。失点シーンを細かく見れば、甲府の右サイドで三都主と杉山が1対1になったときに、ワンサイドカットが不十分だった。スピードとテクニックある三都主だけに、間合いを詰めたマークが難しいのは理解できるが、中を切りながらもシュートがゴールのファーサイドに決まってしまう点は、GK・鶴田を含めて組織で守るための意思疎通や、カバーリングの重要性を高い授業料(勝ち点2)を払って学んだということになるだろう。
一方、選手個々のレベルでは甲府を上回る浦和だが、ワシントンやポンテが不在では歯車が全開で回らない。しかし、外国籍選手の不在だけを理由にして優勝戦線を戦い抜くことは難しいのではないだろうか。
以上
2006.07.30 Reported by 松尾 潤
J’s GOALニュース
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