7月29日(土) 2006 J1リーグ戦 第16節
F東京 0 - 2 広島 (18:34/味スタ/31,684人)
得点者:'20 佐藤寿人(広島)、'48 佐藤寿人(広島)
−ダイジェスト映像は【こちら】
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浴衣に身を包んだ人々、久々のホームスタジアムでの試合、ハーフタイムには艶やかに夜空に華が咲き、あとはホームチームの勝利さえあればゲームは最高のシナリオになるはずだった。だが、この日スタジアムは2度に渡り大ブーイングに包まれることとなる。一度は前半終了後に、そして試合終了後にも同じ光景が繰り返され、F東京が最高の舞台で勝利の美酒に酔うことはついに叶わなかった。
「就任以来最悪の試合」。指揮官がそう試合を振り返ったように、この試合のF東京には決定的に何かが欠けていた。得点ランキング首位タイのルーカス、左サイドで高質な攻守のバランス感覚を見せていた伊野波雅彦というふたりの欠場は、戦前の予想以上に大きな影響をチームに及ぼしてしまう。
注目されたF東京の布陣だったが、アレッシャンドレガーロ監督は大勝した前節のシステムは動かさず。1トップに馬場憂太を置き、その下にケガで出場が危ぶまれた梶山陽平、そしてルーカスの代わりには栗澤遼一が起用された。また、伊野波が務めていた左サイドMFにはベテランの川口信男、そのほかは前節出場した選手たちが再び名を連ねた。一方の広島では、出場停止明けの戸田和幸がDFラインの中央に座り、ストッパーにはボランチとしてプレーすることの多い中里宏司を急遽起用、これまで3バックの一角を担っていた駒野友一、森崎和幸はそれぞれ中盤へとポジションを上げて試合に臨んだ。
序盤、互いに速い攻撃を繰り出し一進一退の攻防が続いたが、阿吽の呼吸を見せる佐藤寿人、ウェズレイの2トップを起点に広島が次第にペースを握っていく。20分にはそのウェズレイのFKが佐藤のもとへ送られると、背番号11はこれをダイレクトでゴールに叩き込み電光石火の先制弾。次期日本代表候補に目されるストライカーの仕事は貫禄すら漂うものだったが、この1点はその後の試合展開において得点以上の重みを持つことになる。
失点以降、F東京のDFラインは徐々に押し上げが効かなくなった。ウェズレイの巧みなポストプレー、佐藤寿の圧倒的なスピードが、ジャーンを中心としたF東京の3バックに恐怖心を生み出したのか、いわゆるバイタルエリア(ボランチとDFラインの間のスペース)で広島に自由なプレーを許してしまう。これに対し、戸田和が丁寧にラインコントロールを見せる広島は、3バックが小刻みに動いてスペースを埋め、中盤での激しいプレッシャーを引き出していく。さらに守備時には両サイドMFが下がり、石川直宏らの攻め上がりの脅威に対し徹底的に蓋を閉めた。
F東京のガーロ監督も、これをただ黙って眺めていたわけではない。前半のうちに栗澤に代えリチェーリをピッチに送り込み、馬場のポジションをひとつ下げて中盤でのボールキープ率向上を図る。後半開始には三浦文丈を阿部吉朗と代え、前線で起点となる枚数を増やした。しかし、中盤にスペースが広がり続けるなかで、梶山などF東京MF陣の疲弊が露になっていく。後半開始早々、リプレーを見るかの如く同じようなシーンを立て続けに繰り返された末に、佐藤寿に決められた2点目。この瞬間、もはや勝負は決していたのかもしれない。
「あそこで自分がボールを貰いにいかないと、誰もボールを貰いにいかないような状態になってしまった」と語った馬場は、強烈な意志を放つように前線に勝負の縦パスを送り続けたが、激しく消耗した選手たちの足は徐々に止まっていった。頼みの今野泰幸も攻撃面で特徴を持つ川口や戸田光洋の後方のケアに回ったことで、前節見せた攻撃力を披露することはできず。また、「FWの動き出しと噛み合わなかった」(馬場)こともあり、交代で入った選手たちを活かすこともついにできなかった。
「広島は今日、東京ですばらしいサッカーを見せた」。再び迎える中断期間を前にした快勝劇を振り返ったペトロヴィッチ監督の言葉には、静かな口調ながらもこれ以上ないほどの自信がみなぎっていた。F東京のストロングポイントを完全に抑え込み、攻守に集中しホームチームを圧倒する姿には、15位に低迷するクラブの嫌な雰囲気は微塵も感じることはできなかった。積極的な守備、前線でのコンビネーション、F東京が今欲しいものがそこにはあった。
以上
2006.07.30 Reported by 平松順二(ISM)
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